日記
ある日、うんこをした。
少し腹を壊していたからか、うんこはいつものように一体感がなくて、ホコリが積もっているようだった。急いでいたからか、うんこは奥の穴まで到達せずに、砂浜に寝っ転がっている。よく見てみるとその姿はきれいに星形になっていて、柔らかみがあった。さながら打ち上げられたヒトデだった。ただ、小さな毛が飛び出していたり、その飛んでいきそうな軽さは、ぬいぐるみに詰められた茶色のわたにそっくりでもあった。それがうんこであることをどっかにやれば、もこもこしてそうですらある。
腹部にできた気持ちいい解放感と恍惚で、うんこに声をかけてみる。
「やあ!トイレの中は気持ちいいかい?」
すると、声が帰ってきた。
「気持ちいいわけないだろ。すぐ後ろに待っている結末で、体が震えるよ。」
「ふーん。」
そいつの声はしわがれていて、全身から発せられていた。まるで、つぶつぶの雑音が重なって、ひとつの声になっているみたいだ。
「なんで自分の状況を理解してるの?」
「そりゃもともとお前の身体の一部で、何度もうんこが流されるのを見てきたからさ。」
「へえ、うんこなのに喋れてるのもそういう理由?」
「もちろん、かつてはお前だったんだから、声を出すくらいはお手のもんよ。」
「なるほどね、じゃあなんでそんなきれいな星形をしているんだい?」
「そんなことは知らんよ。もう自分の姿を見るすべなんて持ち合わせてないし、お前のケツの穴が星形だったんじゃないのか?」
うんこの癖に生意気な口を利くやつだな。そう思って水洗レバーに手を伸ばすと。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。もっとおしゃべりしようぜ。まだ数秒しか話してないじゃないか。」
少し、イラっときて。
「うんこなんて最初から流されるものなのだから、数秒でも話せただけありがたいと思うんだな。」
「でも、最初に話しかけてきたのはお前じゃないか。」
レバーを引くと、そのきれいな星形はバラバラに崩れ去って、排水溝の奥へと消えていった。
その渦の中から、
「いつかはお前もこうなるんだからな。」
そう聞こえた気がした。
それ以来、うんこをしていない。
腹が破裂しそうで、夜も眠れない。
11/23 木曜日
自己満 @aiueokakikukeko123456789
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