再発[企画参加作品]

紫雨

第1話 病の再発

真っ白な病室の香りが

体に染み付いてとれなくなった

君に気づかれる前に

「さよなら」を伝えにきたよ

出会ったことを後悔している?

守りたいなんて言って

結局傷つけている

これじゃ、馬鹿みたいだね

何のために生きてきたのか

わからないや


思い出して

悲しくないのに

つらくもないのに

涙が溢れ出す

君が今日を

思い出したとき

前を向くためには

今ここで

私は何を言えばいい?


部屋の中で刻む時計の音が

無情なカウントダウンを意識させる

君を巻き込む前に

早く消えてしまいたいよ

出会ってよかったと言ったら?

そばにいてと言ったら?

私が壊れてしまう

これじゃ、馬鹿みたいだね

君のために

まだ何も出来ていないよ


思い出して

悲しくもなったよ

つらくもなったよ

涙が止まらない

君が今日や

私のことを

忘れるためには

今ここで

私は何をすればいい?


本当は

恋する気持ちも

愛する気持ちも

まだここにあるんだよ

君のそばから

離れること

それだけが

君のためにできる

最後のことだから


幸せになってね


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