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これが僕たちが百物語会に参加した経緯である。
参加してみると、これが意外と盛り上がりを見せた。例えば弦尾美冬は先述の通り、先ほど経験したばかりの話も語ったが、彼女の過去の体験談も語ってくれた。友人の背後に取り憑く何か、街中で必ず霊を見かける場所があるのだがそこがかつて事故が起こった場所だったと言うような霊感エピソード、また彼女の祖母も視える人だったらしく、その祖母から聞いた話や不思議な思い出話なども多く語ってくれて聞き応えがあった。
弦尾だけではない。中野も長田もそれぞれ聞いていて面白い話があった。話の傾向というか、方向性にも個性が出てくる。
弦尾は経験談が多く、特に自身の霊感に根差したエピソードが多い。
中野も経験談なのだが、こちらは「不思議な現象」「辻褄の合わない状況」といったシチュエーションの話が多い。それを霊感的なエピソードと解釈していないのも特徴だろうか。不思議だったが、あれは何だったのだろう……で終わらせているのである。
長田はと言えば彼女は人から聞いた形式のエピソードが多かった。友人から、とかネットで見た、というようなところから語りがスタートするのである。内容も人間関係のゴタゴタなどの所謂ヒトコワ系、厭系に特化したところがある。個人的な好みを言えば彼女の話が一番面白かった。
それに引っ掛かる部分もある。彼女が語った話のひとつに『苛めを行っていたグループが不可解な死を遂げる』というものがあった。彼女は「人から聞いた」と語っていたが……先日、僕が関わった夢にまつわる事件の時に沙巫から聞いた話とそっくりだったのである。どう考えても彼女自身の話だった。となると、他の話も「人から聞いた」という言葉を額面通りに受け取ることが出来ないのではないかと思うのだが。
三人が語ったエピソードの中でも面白かった話をいくつか記していこう。
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