第7話 レムレスとの初戦闘 後編
鋼陽は鋭利な視線でレムレスから祖父の遺体を守護するためにレムレスの前で構える。誰かを守りながら戦うことは慣れていないが……やるしかないっ!!
『鋼陽!』
「――――やってやる!!」
息を整え、目蓋を瞬かせると刀剣に聆月の水が宿る。
鋼陽は鋭く、刀をレムレスの頭へと叩きつける。
「面!!」
『ガガガガぁ!! ガガガガガ!!』
「……効いているな」
『ああ、そのようだ。続けて叩き込め!』
「ああ!」
再度鋼陽は、レムレスに斬りかかり斬撃を与える。
『ガガガガガぁ!!』
このまま、攻撃を与え続ければ、あるいは……いけるのかもしれない。
「面!!」
レムレスは額に叩き込もうとすると手で薙ぎ払われる。
まるで怯えるように燃える体で中庭へと出る扉を乱暴に通っていった。
『ガガガガガぁ、ガガガガぁ!!』
『逃げるぞ! 鋼陽っ』
「待て! 聆月っ」
炎を纏ったレムレスが無理やり中庭の扉から出て言ったせいで、扉の周辺が燃えている。中庭への扉に、聆月に付与された水の加護で扉の火を鎮火させていく。
屋敷に燃え移らないのを確認して、安堵の息を漏らす。
「……これで問題ないな」
「うわぁあああああああああああ!!」
「っ!!」
永嗣さんの悲鳴が聞こえ、鋼陽は中庭の扉を潜る。
レムレスを追いかけ、且つ急いで叔父の声がする方へと走り出す。
視界には腰が抜けたのか立ち上がれない永嗣さんと襲い掛かるレムレスが見えた。
「ひ、ひぃ、来るなぁっ!!」
『ガガ、ガガガっ』
燃えるレムレスは口を大きく開け永嗣さんを喰おうとしている。
まだ、体が馴染んでないが……やるしかない。
息を整え、鋼陽は刀の使を握る。
静寂と緊張が張り詰めた空気の中で、一人その言葉は発せられる。
「――――
二人の間に割り込み、永嗣に襲い掛かろうとしているレムレスの腕を刀で受け止めた。
「こ、鋼陽君!? どうして、」
『ガガッ!!』
「……動けますか!?」
「い、いや、」
ッチ、しかたないっ。
「手早く片付けます……!! 聆月!!」
「わかっている!!」
聆月は目を瞑り鋼陽が構えている刀に力を込める。
すぅ、と息を吸いながら鋼陽も目を伏せる。
レムレスは、鋼陽の動きを隙と判断し襲い掛かる。
『ガガガガガ!!』
「鋼陽君っ!!」
「――――させないぜ!」
見知った男の声に、一瞬目を見開いた。
レムレスの影が忍者の影踏みのごとく拘束しているのが目に入る。
「継一郎君!?」
「やれ! 鋼陽!!」
彼の言葉を信じ意識を集中させる。
足に力を込め、息をゆっくりと吐く。
『ガガガガガガッ!!』
「――
口に出した言葉と同時に一気にレムレスの背後に回る。
『ガ!?』
「――――
怪物の驚愕の声を無視し鋼陽は抜刀する。
水飛沫が刀に纏い、流れる刀剣は半月を描きレムレスの首を切り落とした。
流月花……前世では、敵の首を背後から切り落とすための技だったが、レムレス相手にも役に立つとは想像もしていなかった。
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