20.人様のPC、SSDへ
地元には、30年来の付き合いのある理髪店がありまして、幼少時より先代のおじさんたちに散髪をお願いしていました。
時は流れ、お店も代替わりし、わたしが中高生の頃にちょこちょこ歩き回っていたちびっこ(お店の長女)が、もう成人しているのです。
いや~、時の流れとは恐ろしい。
ある日、髪を切ってもらっているとき、そこの奥さんから
「たまに使っているパソコンがあるんだけど、遅くてさー」
そんな話を聞きました。
「娘の専門学校で使ってるやつ借りたら、『こんなにあっさりネット繋がるんだ』って思っちゃってさー」
なんて言葉も聞きました。
聞くと、ながーく使っている安いノートPCらしく、「8年か10年くらい使ってるかなー」とのこと。「そんなに頻繁に使うわけでもないし、高いお金出して買い替えるのもな」とも。
以前動画サイトで『遅いノートPCをSSDに換装した』動画を見たことがあり、HDDをSSDに変えればいくらかマシになったことを思い出しました。
聞き取りを進めると、起動が遅く、ログインしてからもブラウザ開くまでに時間がかかる。しばらくマウスカーソルがぐるぐるしているとのことでした。
なんとなく、起動直後にストレージへのアクセスが続いているのでは?と素人ながらに予想します。
「多分時代と金額的にストレージはハードディスクだと思うんで、SSDに変えればある程度改善するんじゃないですかね?」
去年自分のゲーミングノートPCをバラシてSSDの増設とメモリ増設したこともあり(ちょいトラブルあり。詳細は『10.メモリパニックhttps://kakuyomu.jp/works/16817330666055800691/episodes/16817330667657179035』)、PCの中を開けるのにそこまで抵抗がなかったので何気なく言ったのでした。
結果、
「じゃあさ、頼んだらやってくれる?かかった分のお金は払うからさ」
「いいですよ。ネットで安いSSD探しときますね」
と、お願いを承諾。
HDDからSSDへの換装を受注(?)しました。
尚、請求は物品の実費のみ。技術料はパソコンバラせるウハウハ機会を与えてくださったことで相殺です。
対象のPCは、dell vostro15 3580 というフルサイズキーボード・15.6インチディスプレイ搭載モデルでした。
なんとなく、「CPUはceleronみたいな廉価版で、4GBメモリで、500GBのHDDで、グラフィックはオンボードとかだろ」って思ってました。
結果的に、この予測は50点だったんですが、それは後程。
とりあえず安いSSDを探しに数日間、楽天やAmazonを巡っていたのですが、『CFD MGAXシリーズ』というSATAのSSD(512GB ¥4,280)を購入。千円引きだったので即決でした。
あとはついでにストレージのクローンができるスタンドも購入。こちらはお値段重視で¥3,980です。この方が楽ちんなのです。
日取りを決め、実家に帰省。
理髪店でPC本体とACアダプタ、パスワードのメモを受け取り、帰宅。
ベッドの上に広げたタオルケットにPCを乗せ、夕食後に作業開始。
まずは背面のネジ11個を外し、タオルケットの上に本体の形に倣ってネジを置きます。長さが違うネジが混じっているので、戻すときに困らないようにするためです。これを怠ると、わたしは元に戻せなくなります。
さて。
……どこから開けたものかと悩みます。
合わせ目どこやねん、と。
ネットで型番入れて調べてみると、らしいものを発見。
どうやらキーボードの面の淵まで覆っている様子でした。少し力を入れると、確かに合わせ目があり、若干隙間ができました。
USBの端子や光学ドライブが干渉してそうですが、さて慎重に……、と思っていると、いきなり光学ドライブが飛び出しました。一瞬イジェクトしたのかと思いましたが、どうやらドライブごとごっそり外れた模様です。どうやら背面のネジの一つが光学ドライブの固定用で、それが外れたことで斜めにした際に接続端子から外れたっぽい。そして、そこから顔を覗かせたのは裏蓋と本体を固定する小さなネジ2つ。怪我の功名です。
新たに発見したネジを外し、これで邪魔者はいなくなっただろうと本体に出来上がった隙間に有効期限切れのプラスチック製ポイントカードを差し込み、すーっと滑らせていきます。
順調に背面と本体が分離していき、ディスプレイのヒンジ付近だけちょっと注意して、どうにかマザーボードにアクセスします。
そして、驚きます。
構造としては一般的なでかいノートPCと同様、背面のカバーが外れればストレージにもメモリにも簡単にアクセスできるようになっていました。
手前にはでかいバッテリー、その隣にはHDD(すでにSSDだったという『15. SSDにしようと…』のようなオチにはならずに済みました。詳細は→https://kakuyomu.jp/works/16817330666055800691/episodes/16818023213317290717)。中央奥にはL字のヒートシンクとファン、その右手にはメモリスロット×2。その下には――
PCIeっぽいスロットと、でかでかと書かれた『SSD』の文字。
え?こいつNVMeのSSD使えるん?
映像出力にHDMIだけでなくD-sub端子とかくっついてるくせに?
推定10年モノ廉価版PCのクセに生意気だぞ。
まぁ、そんなこともあるだろうと気を取り直してメモリを見てみると、そこでも驚きました。
DDR4やん。
予想通り4GBだったけど、DDR3Lとかだと思ってたら、DDR4やん。
しかも2666MHz。
わたしが去年クロック間違えて買って、そのまま持ち続けてるやつと同じやん。
しかし、この時は実家にいたのです。
間違って買ったメモリは自宅アパートにあります。
このためだけに取りに行くという選択肢はなしです。
メモリを手放すこと自体は(使い道もないので)全然いいので、せめて8GBに換装できればよかったなと、ちょっと後悔でした。
ちなみに、元の4GBと合わせて12GBにしようという気は起きませんでした。
わたし、この半端なメモリ容量嫌いなので。
さてさて、驚きはここで終わりではありません。
HDDを取り外し、再度驚くことになります。
固定用フレームのネジを外し、SATAケーブルを引っこ抜き、HDDをひっくり返して製品表示を確認。TOSHIBAの5400rpmのHDDだったんですが、その文字に続いて書かれていたのは『1TB』の文字。
一瞬、「あれ?1TBってなんのことだっけ?」みたいにバグりましたが、どう考えても1000GBのことです。容量、500じゃなくて1Tでした。
いや、事前にちゃんと調べろって話ですけどね。
完全に思い込みだけでスペック決めつけてました。
ですが、わたしが用意したSSDは500ギガ。このままじゃスタンドに挿してクローン作製ができません。クローン元容量≦クローン先容量でなければいけないのです。
リカバリメディア作る?
否。手頃なメディアはない。
ならばどうるるか。
わたしのゲーミングPC(3年モノのASUS TUF Gaming F15)に去年追加した1TBのSSDを思い出し、バラシて引っこ抜きます。所詮サブPC、たまの帰省時にゲームするだけになってしまったものであり、ほとんど中身は空です。
このゲーミングPCには今回のために購入した500GSSDに入れ替え、理髪店からお預かりのPCには取り外した1TB を使うことにしました。
惜しくないのか?
惜しくなかったです。むしろこのためにお預かりをリスケする方が面倒です。
というわけで、スタンドに2つのSSDを挿します。
取説を何度も読みながら、クローン元と先がどちらかをしつこいくらい確認します。やらかすわけにはいきませんから。
そして、夜の9時、クローン開始。
25%、50%、75%、100%のインジケータ、その25%が点滅を開始。
しかし、2時間経過してもやっと50%が点灯するくらいの進捗でした。
はい、寝ます。
作業は翌朝に持ち越しです。
ベッドの上に広げたPCやネジを、位置関係を変えないように別室に運び込み、就寝しました。
作業開始は翌朝6時。
クローンが無事終了したので、スタンドの電源オフ。SSDを引っこ抜きます。
ストレージ固定用のフレームに嵌めてネジ締め、SATAケーブルを挿してマザーボードにSSDを固定。
あとはフタ閉じて、ネジ締める前に念のため起動確認します。
事前の環境確認忘れていたので元々どれだけ起動に時間かかったのか正確にはわかりませんが、換装後には20秒ほどでログイン画面になり、事前に教えてもらったパスワードを入れると更に15秒ほどでデスクトップ画面に移行。
ちょっともたついてる感は否めませんが、事前に聞いていた話よりはだいぶ改善していそう。
タスクマネージャを起動してみると、CPU使用率がパンパンでした。microsoftのセキュリティでだいぶ喰っており、メモリも3.7ギガ超は常時使用している模様。8ギガにできなかったことを悔やみましたが、CPUは1.8GHzの2コア2スレッド。おそらくターボは望めないのでは?と思ったので、結局ボトルネックはCPUと判断。ここはストレージのアクセススピードが改善したことで良しとします。
そして、新たに「おいおい」と気づいたのが、Windowsアップデートです。
確認してみると、更新がかなり溜まっていました。ダウンロードすらされていません。たまに使う程度(しかも短時間)とのことで、仕方なしかもしれません。
さすがに、OSバージョンが1909なのは驚きましたが。
いつのだよ!とかひとりでツッコミ入れちゃいました。
こうして、Windowsアップデートを3時間かけて終え、背面のネジも締めたら最終確認のためにシャットダウンし、もう一度起動から確認しました。
起動時間ははやりログイン画面までが約20秒、パスワード入力から約15秒と変わらず。ただ、若干さっきより安定している印象でした。
もしかしてWindowsアップデートが帯域を圧迫していたか?
起動直後は少し重い印象ですが、20~30秒もすればブラウザは安定してストレスなく見られるようになりました。
まぁまぁ及第点かなと思いながら、午前11時、理髪店に引き渡します。
「動き確認してみてください。起動はだいぶ早くなったと思います」
「おぉ、ありがとねー。見とくよー」
ということで、一仕事完了。
細かい動作とか換装前後の感想は次回帰省時(お盆かな?)に確認になりますが、まぁ、なんだかんだで今回も楽しみました。
あぁ、やっぱりPCバラすのは楽しいな~。
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