感想19『ダンジョン配信者になることは承諾しました。でも、ハーレムになるなんて聞いてない!!!』 作者 下手な小説家

 ■こんにちは、天音朝陽です。


 人に大事なのは、力でも、言葉でも、心でもない。

 一番大事なのは、そこに生きる勇気。

 心よりももっと奥深く。

 人間として生きるという強さ。

 生から逃げないという強さ


『[圧倒的感謝!2万PV!]ダンジョン配信者になることは承諾しました。でも、ハーレムになるなんて聞いてない!!!』

 作者  下手な小説家 様

 https://kakuyomu.jp/works/16817330666044784409


 ★思っていた内容とは、良い意味で全然ちがった

 ★「別の層」が見える作品でした

 ★完結を心待ちにしています。


 ■

 正直言いまして、ワタクシは昭和の生まれでして、おそらくここ最近の流行りであります「ダンジョン配信もの」の楽しみ方が、いまひとつわかりません。

 もちろん『これがダンジョン配信もの』の王道的楽しみ方であるという決まりなどはないのでしょうが、それでも昭和の生まれのワタクシには

『水戸黄門みたいに月曜の20:45あたりに悪者が懲らしめられてスカッとする』という物語の楽しみ方のテンプレートが欲しいものです。


 以前に個人的興味で何本かのダンジョン配信ものを呼んでみましたが、その時は

 ・主人公(たち)が『ダンジョンを冒険する』。その過程で、作者さんのオリジナリティなバトルなり怪物なりイベントなりを楽しむ。

 ・主人公(たち)の人間模様

 ・外野コメントの反応、その他 PV数や登録者が増えていく現象

 こういったものを楽しむのが『ダンジョン配信もの』なのかな?とワタクシなりに考えておりました。


 今回の『ダンジョン配信者になることは承諾しました。でも、ハーレムになるなんて聞いてない!!!』というタイトルから

 ―――これは! ハーレムという単語がタイトルにある以上は、私の好きな叡智(=H)な描画が溢れた作品に違いない! と、感想依頼を頂いた直後から興奮を隠しきれずに、隣の部屋の義理姉の箱ティッシュをくすねて準備していました。(*´Д`)ハァハァ ←キモッ!


 □

 ✑なぜか、ここから表現は、ですます調から、だ・である調に切り替わる…… 


 いざ物語を読みはじめたら、どうもおかしい。数本読んだ『ダンジョン配信もの』とは違う、似ているけど違う。似ているのは何か? それはだ。そして、違う、これは普通の『ダンジョン配信もの』にはないものがある、違和感があるのだ。


 そして、早くも「これは私の期待した『おぱい』とか『パンツ』とか『&え%@X』とかは出てこない」と悟り、義理姉の箱ティッシュをこっそりと返却。(この後出てくるのであれば、よろしくお願いしたい)


 さて、上記の違和感は何か? を考えながら、かつ、この作品の楽しみ所を模作しつつ話を読み進めた。


 ✑で、ここから表現は、ですます調にもどります。(何の意味があるのだ!)

 

 ■

 今回、一番伝えたいことは後で書きます。それは作者さんが欲しいであろう感想と、私が伝えたいことの差が大きいんじゃないかなと思うからです。


 ■

 まず、依頼のコメントでまんべんなく読んで欲しいとのことで、同じ熱量を維持して一気に(と、いってもじっくりと)読ませていただきました。


 イチ読者として物語の感想をいうなれば、第13話が異様に私にとっては面白かったという事です。


 その第13話は主人公が、いわゆる凄い魔法を使うのですが、そこにどうにも言い表せない透明な悲しみみたいなものが同時に重ねてあるように思えるのです。

 それは主人公の悲しみでもあるし、物語の世界のもつ悲しみでもあるし、作者さんの心の内側にある悲しみに似た感情かもしれない。

 私はそう思いました。


 この投稿の出だしにコピペしてある一文

 >人に大事なのは、力でも、言葉でも、心でもない。

 一番大事なのは、そこに生きる勇気。

 心よりももっと奥深く。

 人間として生きるという強さ。

 生から逃げないという強さ(ここまで)


 すこし創作者目線を入れます。

 この一文ですが、これは悪い意味ではないのですが、「長い事小説を書いている人」「小説の批評に厳しい人」「なるだけ減点されない文章を書こうとする、守りに入った人」には、絶対に書けない 攻めたもの だと思います。


 理由を説明しますと、上記の一文は、物語の前後、物語中の人間関係、主人公の心情の流れの中で考えると『文脈的にかなり突然』に描写されたセンシティブ(取り扱いが難しい感情的)なものだからです。

(注>読解力がある人には、かなり突然とは思わないかもしれません)


 そして読者目線に戻りまして、この13話にしてようやく主人公が何故強いのか? 否、何故強くなった・強くならなければならなかったかのヒントが、おそらくたった一文だけ出てきます。


【過去を変えようと思っていた】


 なるほど、主人公はただ意味なく強いわけではなく『過去を変えようと思っていた』過去を背負っているわけです。

(それまで私は、物語を読んでいて主人公が何故ここまで強いのか疑問でした。ひょっとしてダンジョン配信ものの主人公は、意味なく強いという約束ごとでもあるのかと‥‥…)


 実にこの第13話は、深く透明で、なにか悲しさ(哀しさ?)を感じさせるものがあります。

 じつに秀逸で詩的なものも感じられ、心を打つものがありました。 


 □

 つぎに物語をまんべんなく読んでの読者としての感想は、スケールの大きさです。

 これは作者さんご自身の視点がそうであられると思うのですが、取り扱っている時間と空間のスケールが大きい。

 何百万年前の過去が物語の出だしで触れられ、ダンジョンが出現したのも現代日本の一角ではなく世界中の広範囲にわたるのです。


 しかし、一方こまかく微細な視点も描いてありました。

 第5話で、主人公の日常・朝のシーンが描かれますが、この描写が細かい。自分のアパートの部屋の中を移動するだけで リビングに到着 みたいな表現があり、細かいがそれをスケール大きく描画してあるのが個人的にはツボです。


 雑な表現で、申し訳ないのですが『スケールが大きく、そして芸が細かい』物語を楽しませてもらいました。


 僭越ながら、一点申し上げて、『スケールが大きく、そして芸が細かい』について。

 小説の作法にのっとりたい批評家みたいな人は「視点が広すぎ、視座を定めろ」とか「引き算が大事」とか言うかもしれません。しかし、それは小説というものを、コンテストに出すものとか、出版するものとか、大勢の人に読んでもらわねばならないもの、そのように固定した視点で考える人の意見だと思います。

 私は、『[圧倒的感謝!2万PV!]ダンジョン配信者になることは承諾しました。でも、ハーレムになるなんて聞いてない!!!』は、人気を取るのが目的ではなく、作者さんが自身の想いや哲学をぶつけている作品のように感じます。そうじゃなかったら、すみません。

 ですので、まずは書きたいものを全て詰め込んで、この現代世界に創作物として投下してほしいなと思います。


 ■

 ちと、文字数が変なことに使ってしまいましたので、ありきたりかもしれませんが、その他の感想を箇条書きしていきます。


 ・導入部のスケールの大きさ(時間軸、世界という規模での話という設定)

 ・主人公 神吉 悠人 の意味不明な強さは印象に残る

 ・モンスター 黒角聖獣(シュヴィユニコーン)、石像の蝶(バタフライロック)、枯れた血のゴブリン(=ブラッディブラッキィ)

 これらのネーミングセンスは個人的に恰好イイなと思います、あくまで個人的に。

 ・宮崎 雫(ミヤザキ シズク)、神崎 雅(カンザキ ミヤビ)さんら女性キャラの名前の語感も個人的に好きです。


 □

 ダブル主人公とのことで、15話まで神吉くん達がメインキャラでしたが、そこからは逆の立場のキャラが出てきました。あと叡智ぽいケモミミも。

 非常に興味をひかれる展開です。



 ■

 で、読了後に感じた最後に一番私が伝えたいことですが

 文章の行間といいますか、選択してある単語・文章・文脈から作者さんがどのような方が感じられる気がします。

 とても頭の良い方で、物事を 遠くからでも、思いきり近くからでも見定めることが出来る。さらには独自性というかわからないのですが、自分なりの物事の見方をもっていらっしゃる。

 そして、作者さんは「何かを知って(経験して?)いる」ように感じます。


 ですので、第13話で神吉悠人が、時魔法を放った時に神吉が感じている事


 魔法を使うと何時もこうだ。

 虚しい。悲しい。

 一人の弱さ。人との繋がりの強さを確認できる。

 人に大事なのは、力でも、言葉でも、心でもない。

 一番大事なのは、そこに生きる勇気。

 心よりももっと奥深く。人間として生きるという強さ。生から逃げないという強さ。


 これが、文中最後のほうにある「心よりももっと奥深く」の部分で作者さんは神吉とつながり、この文を描かせたように思えてなりません。


 私は第1話から読んでいて、どこかでこの文章が出てくるような気配を感じていました。

 これが伝えたかったこと一番目になります。


 では、変に長くなりましたが、このあたりで終わりたいと思います。

 制作環境などご苦労もあると思います。

 まずは、ご自分のペースを大事にしていただき、完成・完結を心待ちにしております。




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