感想11『竟芥フォーリナー』 野良黒 卜斎 さま
■こんにちは、天音朝陽です
興味をひかれる展開が、つぎつぎと・・・オルガンの音色に乗って
『竟芥フォーリナー』
作者 野良黒 卜斎 さま
https://kakuyomu.jp/works/16817139557014567873
序曲~第7話の感想
*1~2話の大事なとこのネタバレはないですが、ストーリーの紹介的な部分があります。
★魔人族ならぬ魔塵(まじん)族と呼ばれる、最凶種族の物語
★作者さんの思想が垣間見える作品
★オルガンの音色を聞いているような読感
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読者としての率直な、一番伝えたい感想
『単純に面白い』
つい依頼の7話までを通り越して9話まで読んでしまい、強制的に読むのを止めました。
イチ読者モードの私として読んでいるので、
・なぜ面白いのか?
・どこが面白いか?
これが説明できません。
普通の小説はだいたい読者モードでも説明できるんです。ストーリーが秀逸とか、キャラが好きとか、エッチであるとか、ですね。
ただ【説明できません】で終わるわけにはいきませんので、あとから創作者モードに入って分析したいと思います。
■
創作者モードに入って分析する前に、イチ読者として面白かった部分。
主人公のひとりアスベルが、報奨金をもらって肉を食べるシーンですね。
店主の描写が
初めて登場したシーン、肉をサービスするシーン、下の引用にある大変な目に会うシーンと変化していき読者目線で楽しいものでした。
>アスベルは目の前にある肉を見つめ、舌舐りをした。
>それから1時間も男性はアスベルによって拘束され、次々と肉を焼いていた。
>さすがにこんなに食うとは思わなかったのか、男性の顔が青くなっている。
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好きなキャラ
1位 怠惰の魔塵=エルマ・アメスアメル(武道家)
狼型の獣人女性キャラというのが個人的に良いですね。美しい獣人の姿が、私の脳内で描けたときググッと惹かれるのですよ。
名前の響きも良いですし、主要キャラの中での役割もはまっていると思います。
しかも、強い。
ストライクど真ん中(表現が古くてすみません)、かつホームラン王(こちらも表現が古くてすみません)なキャラでした。
2位 ギルドマスターのカティス・マーズ
赤い髪に顔の傷、まさに最強のギルドマスターという感じが良いですね。仕事に対する姿勢が素晴らしい、上司にいたら頼もしくも怖いキャラです。
3位 ルネさん
序盤で登場した訳アリそうな少女。背景がありそうな少女なので、また出てきてくれないかなあと思いました。
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読んで、こころ踊る部分
バジリスク(鶏冠王蛇)とコカトリス(蛇尾石鳥)の戦いですね。個人的にバジリスクとコカトリスは好きなモンスターなのでテンションが上がりました。この2匹がセットであるという設定も良いですね。
コカトリスの登場で「うおおぉ!すげえ」と叫んだら、外を歩く人がびっくりしていました。
欲を言えば、この2匹との戦いをもう少したっぷり楽しみたかったのですが、設定上仕方ない部分もありますよね・・・。
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その他、イチ読者目線で良かった文章
第3話
>魔王城の中央にある中庭でそこにはバシーニードでは珍しい何種類もの花が咲き誇っていた。
魔王城の中庭に花が咲き誇る・・・こういう表現好きですね。地獄の戦場に讃美歌が響くみたいな感じで。
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読む上でのベースとなった部分
この一文が、私を捉えて物語を読み進める気持ちにさせたと思います。
第2話
>ルネの言葉をアスベル達は黙って聞いていた。
否定も肯定もせずにただただ黙ってルネを見つめていた。ルネが肩で息を吐くとアスベルは口を開く。
「やり方が間違っているんだ」
一言、まるで自分やローラン、エルマにも問いかけるような口調だった。
*空白の行は詰めて表示しています。
このやりとりの持つ、深さというか重みですね。
否定も肯定もせずに・・・やり方が間違っているんだ、との言葉。
これが物語の骨子であり、作者さんの哲学なのかなと感じました。
この物語は私にとって読む意味があると感じさせる部分でした。
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では創作者目線で、なぜ私がこの『竟芥フォーリナー』を面白いと感じ、ついつい読み進めてしまったのか?を考えたいのです。
1
テーマに引き込まれる
まず、第一は上記の段落にある部分を読んで、この物語はこういった物語だと明確に認識した点です。
(作者さんの意図したテーマとは違うかもしれませんが、イチ読者としては その時点でそれをテーマとして認識したということです)
もちろん読者モードで読んでいる私は、文章化してそう考えている訳でありません。意識の深い所でそう認識しているわけですので、実際の読書中は「ほほう、あ~、深いね」みたいな言葉しか脳裏に浮かびません。
2
なぜそうなったのか?を知りたい
主人公たちは、魔王の城から自由を求めて外の世界に出たのですが、なぜ外の世界にでたのか?の説明がないため主人公たちの動機がわからないのです。
批評的に物語を読む人は「主人公たちの動機がわからない→読者はついてこれない」と一方的な意見を出すかもしれません。
しかし、私の場合は「そのわからない動機」がミステリアスな魅力として「知りたい!先を読みたい!」という欲求がふくらみました。
魔王も別に悪い人っぽくない
主人公たちは魔王を嫌っているふうではない
人々から魔王の被害の声も聞こえない
主人公たちの(魔王城からの)逃走を応援してくれる者もいる
アスタロトと魔王の関係とは?
気になる、気になる、どういうことだーーーーーーーーーーーッ!?
このあたり、1テーマ × 2なぜ? の要因が私が読者として物語をついつい読み進めた理由と思われます。
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また、月並みなんですが
主人公達と脇役たちのやりとりが絶妙なものがありました。軽いようで、重みもある、なんかものすごい適度な重量感のあるやりとりでした。
楽器で例えるなら、オルガンの音色を聞くような感じです。
ピアノのように跳ねるような音色ではなく、やや重みがあり土台がしっかりした音楽を聴いている感じです。
■
このような感じで、作者さんのもつ思想、物語の奥行き(世界観、思想性)、表面上の物語の流れなどのバランスが絶妙にとれているんだと思います。
■
実に不思議な感じでした。
感想はただ「面白い、続きが気になる」なのです。
しかし、なぜ「面白い、続きが気になる」のか?を考えていくと膨大な数の理由があるのです。
創作者として、どのように物語をつくっていくか?
ものすごく勉強になりました・・・・が、やはり感想は「面白い」でした。
では、このあたりで終わりにしたいと思います、ありがとうございました。
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