感想10『虐殺のフランチェスカ』手塚エマ さま
■こんにちは、天音朝陽です!
卓抜したセンス、感性、センス!
『虐殺のフランチェスカ』
作者 手塚エマさま
現在、再構成で物語はリスタートしております。
https://kakuyomu.jp/works/16817330669327652086/episodes/16817330669327658613
序章・1話~2話
第一章・1話~6話 計8話分の感想
★男性にはけっして出せない世界観
★登場人物の瞳が美しい
★灰色の世界に、不穏な風が吹く
*物語の感想ではあり、ネタバレはないと思います
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作者さんに伝えたい読者としての第一感想。
これは創作者としてではなく、読者としての感想です。
第一に来るのは世界観です。
「作者さんは間違いなく女性だな」と感じる文体なんです。
大人の女性です、愛というものを抱えた女性です。
ここからは感想として書くために、読者としての感覚を自己分析したんですが、ゆっくり立ち止まって、この感覚を手に取ってみると・・・
・大きなうねりを持つ海
・子宮
の、ような感じですね。骨太とか繊細とか流れるようなとか、そういった文体は時折目にします。2番目の『子宮』と表現しますのは、柔らかく、深い力強さがあるんですが女性的と言いますか乱暴に取り扱ってはいけない(=乱暴・適当に読んではいけない)神秘性みたいなものを感じるわけです。
文体の『完成度』って感じではなく、作者さんにしか書けない文体と感じます。
ですので、作者さんが違うペンネームで違う作品を書かれていても読めば「あ、手塚エマさんじゃないか!」と分かる文体です。
月並みな言葉ですみませんが、すげぇ!
■
それで、作者さんプロフィールみてますとBL作品で書籍化される予定とのこと・・・
なるほど、納得。
雰囲気がBLなんです。これは悪い意味で言っているのではなく、ファンタジー小説としては独特の世界が形造られますので、興味をひかれます。
読んだ中で登場する『陸軍大佐ゲオルグ』と『海軍少佐エーミル』
この同性ながら二人は恋愛関係にあるのか?そのような雰囲気が伝わってきます。
(ただ、これは私のみの感想かもしれませんのでご了承ください)
私としては、足元を揺らされ、物語の世界に体ごと持っていかれそうになりますね。
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では、文体や世界観が私の心が動いた第一感想としまして、物語の感想としてはどうか?となるのですが
すみません、また次に来るものがありまして・・・『灰色』です。
『灰色』というのが読者として次に来る感想です。
第一章のはじまりが
>鈍色(にびいろ)の空から大粒の雨が降りしきる。
検索して調べましたところ 鈍色とは灰色にちかい、悲しみを含んだ色でした。
空の色、海の色、風の色、ツルギとカタナの色、ゲオルグとエーミルの心の色
そういったものが『灰色』なのですね。
読者目線として意識にのぼるのはここまででして、ここを創作者目線で更に自分の深層を覗いてみると、序章の幕末の風景や、知識としてある戊辰戦争や函館五稜郭の戦いなどとイメージがつながっていき「先を読みたい」という気持ちになります。
余談ですが、土方歳三の「俺の未来は戦争のなかにあり、血と火薬の匂い一緒にやってくるんだ」みたいなセリフがありました。私はこのセリフに血と火薬のにおいと共に銃火器の煙をイメージしたものです。
そういった記憶が、ごごごっと揺り動かされて、次を続きを見たいって情動がうまれてきました。
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あと、すみません少し戻りましてタイトルですね。
これも良い感じで興味をひかれます。
フランチェスカ・・・意味は分からないが語感がいい、何だろ、花とか銃の名前か?とか思って検索すると『イタリア語圏の女性名』と出てきました。そうだったのか。
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物語の読者としての感想です。
ものすごく個人的なところでは、土方歳三が序章1話で「強そうなキャラ」として描かれていて「おおっ」となります。それを語る女性剣士もセリフだけで魅力を感じる。このあたりは男性読者としてのストレートな感想です。
しかーし、この女性剣士は序章の2話のラストでああなってしまいますので、これはアレか? 多分あれだな、という期待を抱きます。
一章ですが、タイトルの「ツルギとカタナ」の名付け方からして、ちょっとカッコいい。で、ほほう・・・という事は序章の刀をもった女性剣士か新選組の人かが関わって来るのか?という期待を持ちます。
ただ、指示範囲の第6話では日本国幕末との関係性は不明。気になっている所です。
物語の感想として第一に来ますのは「えっ? なんでそうなるの? なんでその人がそう来るの?」が大きな第一感想です。続きが気になります。
創作者目線で、私個人はどのように続きが気になるのか?を自己分析しますと
ゲオルグさんとその人の関係はどうなるのか? という点より、なんでその人はそう来るのか? こちらのほうが気になります。
(もちろん、普通に読んでいるだけではここまで考えません)
さらに自己分析していきますと、
・ゲオルグさんとその人の関係は多分ドラマチックになるのだろうと予測がつく
→予測がつくのだが、この作者さんだと『そのドラマチックな展開を、間違いなく楽しませてくれるであろう』という安心感が文体から伝わって来るので、そこは意識を支配しない
→であるから、意識の大半は『なんで、その人がそう来るの』にもっていかれます
へんな話ですが、手塚さんではない作者が違う文体で書いた同一の物語なら、私の興味関心は「ああ、ゲオルグさんとその人の今後はどうなってしまうんだよおぉ」という方面に向いたように思います。
ここは妙に入り組んだ話ですみません。
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読者として物語をみるとき、ほとんどの人はそうだと思うのですが、
・キャラクターの体に乗り移って、そのキャラクターの視点で物語を楽しむ
か
・物語を舞台上、もしくは映画のスクリーン上で進行しているとして観客の視点で楽しむか
のどちらかだと思います。
私の場合、今回の『虐殺のフランチェスカ』は後者目線で楽しむことになりました。
ただ、これはまだまだ物語が始まったばかりであり、進んでいくとキャラの中に入っていくかもしれませんので作品全体を通したものではないですが、指定範囲内では映画を楽しむような感じで至福の時間を過ごさせていただきました。
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さらにひとつ、創作者目線での感想になりますが
意志
を、感じる作品でした。
作品という単位に感じるもので、物語、キャラクターの想い、文体、文章内に選び出された単語に、そういった全体を通して感じるものです。
どのような意志なのか?というと自分が感受したものを言語化しないといけないために、私の力量では稚拙な表現しかできないんですが
作者さんがもつ『硬質で叩きつけてくる戦う意志』みたいな感じです。
その叩きつける範囲は『社会~向き合う個人』という風に読む者によってとらえ方が変わる気がします。私的には、ある程度の人数をもつ社会にむかうものであるように感じます。
また、叩きつけると言いましても、烈火のごとき気合で斬りつけるようなものではなく、日本刀もしくは西洋の剣をもって構えているような気迫を感じます。
もちろんですが、それは嫌なものではなく『気概』といいますか、作品作りに対する姿勢なのではないかなと感じました。
(私ごときが偉そうに言えるものではないのですが)
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読者としての感想と、創作者目線での感想をのべさせていただきました。
嘘偽り忖度なく私自信の感想を全力で書きました。
読者としては、手塚エマ様にしかない世界観を
創作者としては、気概を学ばせていただきました。
ああ、自分もこういった作品を作りたい! 作れるかな? いや作れる、作ってやるぞ!!
物語のほうも指定範囲をついついオーバーして読み込んでしまいました。
明日への気力を充電させていただいた事を感謝しつつ、このあたりにしたいと思います。
ありがとうございました!
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