感想2『伐魔剣士』ヌソン 様
*あなたのハイファンタジー作品読ませてください、感想書きます。詳細はこの投稿の第一話をご覧ください*
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私的に、哀しさが心に刺さる物語でした。
「伐魔剣士」(ばつまけんし)
作者 ヌソン様
https://kakuyomu.jp/works/16817330659589521899#work-information
第1話~18話
*感想にはネタバレが含まれます
★過去日本風の世界を舞台としたファンタジー小説、異形の者(妖魔)との戦い
★各キャラクターの『何か(誰か)』に対する『想い』に心を打たれる/各キャラが立っている
★話数が進むにつれて、盛り上がりと深みが予想以上に増してゆく
★私の頭のなかでは討魔隊→新選組のイメージ
出だしあたりでは、妖魔との戦いやヒロインと何やら楽しい雰囲気になる物語と予想して、ビスコを食べながら気軽に読み進めていました・・・・が、物語は深く、人間の情をはらんだ深い話へと突き進んでいきます。
まさか、ここまで練られた物語だったとは!
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作者さんに告げたい第一感想
指定された範囲を四時間ほどかけて読んだあと、私の心に残ったのは悪役・紅重蜂子の悲しい過去の話。もう感想、読後感の八割がた、ここに持っていかれています。
この過去話を読むまでは、普通に「くたばれ悪役」みたいな気持ちでしたが、一気に彼女を見る目が変わりました。
人間(彼女は人間ではないのですが)が狂気に走ったり、闇に堕ちていくきっかけというのは
本当に単純な気持ちのかけ違いや、偶然の食い違いであること
と、考えさせられました。
人は誰しも、自分は正常であると思い込んでいますが、その正常さも正常であるがゆえに
つまり「人を愛したい」「愛されたい」「人を大切にしたい」「大切にされたい」といった極めて健全な思いがあるゆえに、少しのズレが原因でも壊れてしまうものなのでしょう。
個人的感想としては蜂子になんらかの救いがあって欲しかったのですが、、、あくまで個人的感想です。一般的に考えると散々な悪行を働いていますので、なんとも言えませんね。
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物語の中で面白いと感じた点
1 寿麗の覚醒といいますか、最初は頼りなさげに見えた娘がここまで凄くなるなんて!という感じです。
彼女は、最初から町のためを思っての行動をとっていた人物ですので、雷鳴晃次郎の刀を奪ったシーンでは「おおっ!ここでこうきたか!」と心の中で拍手したものです。
また彼女が、人の心を動かそうと頑張るシーンも良いですね。
18話までの範囲でしたら、彼女が主人公のように感じます。
長陽辰之助を来客のような視点で描く寿麗主人公の短編「麗の旅立ち」みたいな話に再構成されたら面白いように感じました。(よろしければ私がパクらせてもらって書きたいくらいです)
麗さんの名字が寿となっていますが、これは赤子の命名の際に書く『寿』の文字が何故か苗字になったという意味でしょうか?
2 刀泥棒のくノ一のエピソード
言葉の響きも恰好ですし、興味をひかれます。彼女のその意図、そしてその後の嶋田親分とのやり取りへの流れは物語として面白く感じます。
3 千彩が宿に入り込むための戦略として、ボロボロの衣装をまとう
このエピソードが面白いですね、二回繰り返されるのが更に面白さを増しています。
4 討魔隊が後からどんどん追加登場
討魔隊みたいな妖魔と戦う存在が、後からどんどん追加で登場して来る物語は意外でした。私の思い込みで、辰之助ひとりが妖魔と戦うのかと思っていました。
香色千彩を弱いと切り捨てる雷鳴晃次郎(→新選組の土方歳三をイメージしました)、屍樂田姉妹ともにキャラが立っていて魅力的です。
創作者目線で見て、私の場合ここまで強いキャラ達を出してしまうと物語をまとめきれなくなるので・・・凄い!と感じました。
5 男性目線としては、紅重姉弟がなにやらエロいシーン。
こういうシーンはやはり個人的にいいですね。
6 町の設定として
>>街の北東部、その半分程度の区画遊郭として機能させて、その区域にも一つの城が点在している事だ。
この設定は興味ぶかい、そこに敵ボスがいるのだろうと予想させて、実際に強キャラの敵ボス、しかも設定にマッチした天姫花魁が・・・・
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天音朝陽が好きなキャラベスト3とその理由
1位 天姫花魁
すみません、問答無用にこういったキャラ好きです。強キャラ感と美しさと怪しさがたまりません。これは完全に個人の好みで、このような読者もいるんだと思ってください。
2位 紅重蜂太
登場した時から、その異様さと悪さと、妖しい美しさが好き。単純に悪役のまま殺してもらっても好き。適度な能力設定も良かったです。(ところでこの方最後はどうなったのでしょうか?辰之助に負けた?見落としていると思います、すみません)
3位 虚
意味ありげすぎて、このキャラの背景を考えてしまいます。背景があったらあったで、なるほどと思うし、無くても構わない。そう思えるキャラでした。
以下
東さん>寿麗>香色千彩=紅重蜂子>島田親分>女将
みたいな感じです。
圧倒的なインパクトのあった蜂子さんですが、だからといって好きになるわけでもなかったですね。物語として心に残ったが、キャラとしての思い入れにはならないという不思議な感じです(←創作に関して何かのヒントになりそうです)。
主人公・長陽 辰之助さんについてはまだ描かれていない部分も多く、そこまでの強者でもないのか?という感じで
嫌いではないですが、島田親分や女将さんより私の中ではランクが下になってしまいました。
辰之助さんは今後の活躍に期待します。
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味がある脇役(ここでは脇役=主人公ではないという意味です)
1 虚という猫ですね。読者として読んでいても面白いし、創作者目線で見ても上手い!と感じます。名前や、その存在にもさまざまな意味がありそうで、実に興味深いものです。
2 女将。まさに女将といった感じで、いい働きをしました!
3 東さん。敵かと思いきや、みせてくれる漢気。娘も無事でびっくり。最後に自爆とかして町を救うとかしてほしかった。(←あくまで私の感想です)
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完全に私目線で一番印象に残った文章
10話 金菊亭の戦い① 紅重蜂太の外見描写
→白い紙に赤紫の瞳、そして女性を魅了するためだけに生まれたかのような端正で、何処か色気を感じさせる顔
蜂太の雰囲気を余すことなく伝えてくれる文章です。作中では数多くあるなかの、ひとつの描写であると思いますが、私の感性に触れ一番印象に残った文章です。
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最後に
所々創作者目線が入りましたが、九割がた私の個人としての感想を書けたと思います。
あくまで私の感想ですので、一般的な世間の目線とはズレがあると思います。
ほんとうに最後にエラそうにすみませんが、「読みやすさ」「物語構成の上手さ(どのような話を、どこに重点をおいて、どのように並べるか)」が加われば
ヌソンさんにしか書けない物語が創作できるように思います。
(私も全然できていないので本当に偉そうにすみません)
圧倒的な長所として
・ダイナミズム(物語の最後に向けて発展していく躍動感、力強さ)
・各キャラが読者が共感できる「想い」というものを持っている
・哀しみの深さ
こういったものを感じました。たぶんですが、ここは私個人の感情ではなく一般的な見解としても言えるものと思います。
では
今回、このような勉強の機会を与えて下さったことに感謝しつつ
作中各キャラクター、作者ヌソンさんの今後の輝きを祈念しております!
(3000文字)
★★★
作者PR
15万文字完結のハイファンタジー作品を投稿しましたが、散々な結果に終わりました。
悔しい! そして、愛着のあるキャラクターたちに申し訳ない。
どんだけ下手クソな小説かみてやるぜ!という方は以下のリンクからご覧ください。注)3話くらいまではまともだと思います。
【レヴァント・ソードブレイカー ~最強の騎士団長は幼馴染みと女司祭に命を狙われてますが、国を救いたいと思います~】
https://kakuyomu.jp/works/16817330663517019554
次こそは、読んでもらえるハイファンタジー作品を書きたい!
と言う訳で、先輩作家さんの文を読んで感想書いて基礎力をつけるぞ!!
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