無料小説投稿サイトの底辺作家の作品を好き勝手に扱き下ろしていたらその作品の異世界に飛ばされた件
yatacrow
第1話 終わりの始まり
投稿者:www [2019年 06月 25日 09時 12分]
感想欄。
良い点がぶっちゃけ無すw 誤字おおすぎw
やせぎすの女って何?w ストーリーはテンプレ盛り込みすぎ、パクってない?w
――作者からの返信。
夢の中の人 [2019年 06月 25日 10時 52分]
感想ありがとうございました!
誤字の報告もありがとうございます、パクってるつもりはありません!
それと〝やせぎす〟は、体が痩せて骨ばっているという言葉で誤字ではないです。
これからも拙作をお楽しみください!
◇
投稿者:www [2019年 06月 27日 21時 15分]
感想欄。
良い点。めるたん、可愛い!
気になる点。めるたんはいいけどさ、なんなのアイツ?
あんまり序盤でヘイト稼ぎすぎると手の平くるってされても納得行かないかも……。
このままハーレム展開はありきたり、出来れば純愛路線で!
俺はビアンカ派以外認めないw
――作者からの返信。
ドラゴンなクエスト好き [2019年 06月 28日 0時 04分]
めるたん、可愛いいただきましたぁ。
でもネタバレになりますが好敵手予定の〝みなもちゃん〟もよろしくですよぉ。
ハーレム展開が苦手であれば……ごめんなさいですよぉ!
あ、僕はフローラ派ですが本作品では両方が嫁ですよぉ。
◇
投稿者:www [2019年 06月 27日 22時 43分]
感想欄。
気になる点? むしろ全部w
三点リーダとかダッシュの使い方おけ?
まずはそこを直してから読むwww
――作者からの返信。
ルーキーな小説家 [2019年 06月 27日 23時 44分]
ご指摘ありがとうございます……。
なにぶん初めての挑戦でしたし、初めての感想マーク……ショックな感想ではありますが嬉しかったです。
ありがとうございました。
◇
投稿者:www [2019年 07月 02日 09時 15分]
感想欄。
新米プロ先生、新作はいいからさ、エタってんのどうにかしろ? ってこの感想の返事もなさそうだがwww
◇
投稿者:ワラワラ [2019年 08月 17日 04時 03分]
感想欄。
新米先生からブロックされてたw
アカ転生するからずっと追いかけます、ファンでぇすwww あ、コレもまた削除かな?w
◇◇◇
日本最大級の小説投稿サイト〝誰でもいつでも小説家〟。
現在、登録ユーザーは約160万人を超え、小説数は60万作品近く掲載されている。
うまく流れに乗れば出版社から書籍化の打診やコミカライズなんかあり、さらにその一握りは印税うはうは生活を叶えることが出来たりする。日本なのにアメリカンドリームを掴めるサイトだ。
もちろん投稿者はプロガチ志望の人からアマチュア作家、エンジョイさん、承認欲求叶え隊の人までぴんからトリオが揃っている。
そして、光と影は表裏一体……つまり、書く人がいれば読む人もいる。
げふん、読む人は無料でプロアマの
さあ、今日も新しい作品に出会うために旅をしようじゃないか。
レッツらゴー!!
俺は転生ものが好きだから、とりあえずブクマの更新分を消化したら、ジャンル別の日間ランキングのハイファンからチェックするのが日課になってたりする。
最近は〝めちゃくちゃ売れた小説の作品名ごっちゃ煮にした作品〟や〝サブタイトルにあらすじから結末までぶちこまれた作品〟がよくランクインしている気がする。
【ハイファンタジー(ファンタジー)】
1位 『最強のかかしに転生しましたが動けません~そのうち人化してハーレム築いて魔王も俺の嫁にしちゃいます、ただしカラスはお前らは許さない~』
うん、カラスに無双するところは面白いんけどこのあと人化しないと展開きつくね?
田畑を守るかかしが世界をどうやって守るんだろう……。
評価は……、改行一字下げなくて読みにくいな、まだ三話までしかないからブクマして様子見だな。
【ハイファンタジー(ファンタジー)】
2位 『転生したらスライムになっていた~ダンジョンで出会いを求めたら勇者パーティーから追放された超可愛い女の子に復讐の片棒を担がされました~』
ごちゃごちゃしすぎ……。
スライムだからって無限収納が使えるのはおかしいと思うのよ。
出会って3分で「スライムさん、しゅき!」ってどんだけチョロインなんだよ!
あと、読みにくいな。
作家のページに飛びたいけどペンネーム欄に、名前を入れてるせいか飛べないぞ。
感想に書いて教えてやっとくか。
って、さすがの高ランカー、すでにフルぼっこされていらっしゃった……。
……ふむふむ。
残りは昨日の高ランカーたちの作品だし、読んでるな。
よし、ハイファン、ローファン、恋愛 (ファンタジー)、VRMMO、コメディ、恋愛 (現実)、歴史とチェック完了っ!
他のジャンルの上位はほぼ固定してるし、しばらく放置だな。
よし、では俺の
◇◇◇
……ほう、本日の来場者数は少ないけどブクマ率高いな。
……へぇ、面白いなこれ。
でも、初心者なのかWeb小説のマナーがなってない! よっしゃ、いっちょ自称プロの読み専さんがご指摘して差し上げようじゃないか。
――あれ? ブロックされてるわ。
作者ページ……あ! こいつ以前に俺が書いたダメ出しを削除した奴じゃん、内容がどんだけ面白くてもこれじゃダメだわ。
姿勢がなってない、優しい感想ばっかりじゃ成長出来ないぞ? ってもうブロックされてるなら仕方ねぇか。
とりあえずブクマはして、今度のアカ転生のときにでも指摘してやろう。
うーん、なんというか。
読み始めた頃は作者に遠慮した感想しか書けなかったり、評価もなんとなく5を付けてたけど、面白いけど惜しいって作品を読んでいくうちに、だんだんと感想が厳しくなっちゃったんだよな。
でも、それを喜んでくれる先生も多かった……昔は。
……今は、豆腐メンタルの作家さんが多いよなぁ。
俺が感想で厳しく書いたせいとかでエタる作品が増えてきたって難癖もいいところ。
わざわざメッセージで苦情出してくる読み専門ズもいるし、Webで投稿するんだから叩かれる覚悟は持っておけよって話だよ。
まぁそんな感じで俺の事が某掲示板で問題視されて、晒され、叩かれ、運営から警告が来てbanされたりと酷い目にもあったけど、そんなんことぁ、ぜーんぶ無視してゴーイングマイウェイウェーイで感想で底辺作家を扱き下ろしてたら、だんだん嗜虐的というかSに目覚めてしまった気がする。
底辺作家さん達には悪いけど、ぶっちゃけストレス発散なんだよね。
人の足を引っ張るのサイコー! カイジが高級車のエンブレム集めてる気持ちが超わかるよ。
さて、今日もブクマ数の少ない奴で更新頑張ってる作家さんを弄りに行きますか!
◇◇◇
ユーザID :1AD1T95GOD
ユーザネーム:全能神ゴッド
フリガナ :ゼンノウシンゴッド
コメント:やっほー! 僕はこの世界の神様だよ、君たちの作る小説にハマっているんだ。
君たちの発想は面白い、だから僕も書いてみたくなったよ。
『暇をもて余した神様の遊び』
良かったら忌憚のない意見を楽しみにしているよ。
……なにこれっ!? こいつやべぇー!!
全能神の後にゴッドって神が2回続いてるとか、いい感じにイッてるわ!
作品はこの1本、8万字ちょいでエタってんの? 素人丸出しな神様だな。
……よし、君に決めた! 見せてもらおうか、自称神様のお力を。
タイトル :暇をもて余した神様の遊び
あらすじ :神様の暇潰しによって転移させられた男は勇者として世界を救う
作者名 :全能神ゴッド (黒文字)
キーワード:神 魔王 勇者 ハーレム 冒険
ジャンル :ハイファンタジー
連載中 全22話分 目次 1話目を読む 最新話を読む
……よし、ブクマなし、感想なし、評価もなし、もちろんレビューもなし!
くくっ、こりゃ叩きがいがあるな。
目次を開くと――
この連載小説は未完結のまま約2ヶ月以上の間、更新されていません。
あちゃ、エタり始めてるじゃん!
おそらく更新しても無反応が続きすぎて正解が分からなくなっていると見た!
神様なんだからしっかりしろよ、いや、神様だから気が長い?
まあいいや、活動報告には昨日の事が書いてあったし、チェックはしてるんだろう。
ちなみに神様の活動報告には、仲の良かった作者さんが作品をひどく侮辱された内容や上から目線の感想が寄せられたせいで引退したとか書いてる。
うーん、その作者さんの作品を最初に扱き下ろしたの俺みたいだな。
見たことある作者さんだと思ったけどね。
俺が厳しい感想を書いたら、他の奴らが擁護コメントしてきて、それに俺が応戦して、それを止めようとする奴が感想に突っ込んだりして結局南極郵便局で、感想欄が荒れまくって作者さんも感想欄を閉じてしまってたけど、そうか……、引退しちゃったか。
ま! そんな豆腐メンタル作家は捨ておいて、神様の作品はエタりかけではあるけど、感想書いたら反応がありそうだし、第一話から読んでいこうか。
◇◇◇
結論、くっっっそつまんねぇ!
男がコンビニ帰りに突然光に包まれて、やって来たのは剣と魔法のファンタジー世界。
森の入口辺りに飛ばされた男がまずやることはそう、ステータスオープン! はい、お約束いただきました。
チートは不老不死、異世界言語、鑑定? 鑑定というか頭の中に聞こえる謎の声。
謎の声とだべっていたら、どこからともなく女の子の悲鳴が聞こえてきて、現場に急行すると横に倒れた馬車、血を流して動かない爺とくっころな顔をしている絶世の美少女ちゃん、そして、下品丸出しのいかにも盗賊風な盗賊たちがわちゃわちゃやっていた。
「おい、お前たちぃ!! 何をやっているぅ!?」
颯爽と登場したのはいいけれど、死なないだけで身体能力が高いわけでもなく、その他チートがあるわけでもない男は盗賊たちにボコられなぶられ、女の子と一緒に奴隷候補として捕まってしまう。
盗賊のアジトに拉致られて、叩き込まれたのはくっさいブタ箱で、一緒に入った女の子と初めての会話を試みるも、女慣れしてない男はキョドって結局黙りを決め込んでしまう。
場面は変わり、神様が登場。
『あれ? せっかく呼んだ男が弱くてつまらないじゃないか、あー! チート授けるの忘れてたぁ!』ってなんじゃそりゃ。
場面が戻り、もう夜のお楽しみタイム直前で女の子はブタ箱から宴の生贄として囲まれているところだ。
男はブタ箱に監禁されたまま、自分の無力さを噛みしめているところだ。
『ごめん、ごめん、今から力を授けよう』
そんな声が男に聞こえた途端に、ホウレン草を食べたポパイのようにむきむきになった男はブタ箱を破壊、なんだなんだとやってきた盗賊たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ――
「きゃああああああっ!」
危うく女の子までちぎって投げそうになるところでストップ。
女の子に「そんな装備で大丈夫か?」と近寄る男の背中を盗賊頭が影からぶすり!
でも、死なない男、むきむきポパイは盗賊頭をそのままパンチで倒して終わり。
「……あ、あの、危ないところを助けていただきありがとうございました! 私はこの国の第一王女フローラビアンカです。私、勇者様の事がてゅき! きゃ、言っちゃった!!」
……フローラビアンカって好きなキャラを
お姫様を助け出した勇者君は、お姫様の説明を聞かずに町に入ろうとして門番に事情聴取を受けてしまうが、遅れてやってきたお姫様の助け船で何とか町に入ることが出来た。
お城に招待したいお姫様の言葉をやっぱり聞かない男が訪れたのは、定番の冒険者ギルド。
「おい、そこのガキ。いい女連れてるじゃねぇかぁ」
そこはバキっと一発食らわせて先輩冒険者を退場させるポパイ、その後も受付嬢と吸ったり揉んだりしたあと冒険者登録を完了させる。
「……登録、完了しました。冒険者の説明はうんぬん……」
受付嬢からお約束の冒険者ギルドシステムの説明を受け、最後に――
「あの、貴方のことがてゅき!」
いや、なんでやねん! とツッコミを入れるしかないチョロイン二号登場だった。
「あの、勇者様……。そろそろお城に送ってほしいのです!」
強権発動、最初から命令しておけば
場面が変わって謁見の間。
娘から事情を聞いた王様が、お礼を述べ、金銀財宝と勇者っぽい装備一式を男に渡してくる。
そして、お決まりの魔王討伐の無茶ぶりをされてしまう。
「勇者よ、どうか魔王を倒して世界を平和にしてほしい」
旅のお供はなぜか回復魔法が使えるとかで、第一王女なのにとても雑な扱いだと思うがお姫様のフローラビアンカ、剣の達人であるゾロミホーク、魔法使いのエロフ……じゃなくてエルフのツルペタン、東の島国から来た侍ロロノア、忍者で「ってばよ!」が語尾につくカカシ、謎のお助けキャラで全能ゴッドマンといった面々。
……もう気持ち悪い、ネーミングがパクリというより好きなもの並べました! って感じだけど、ゾロはせめて侍にしてやれよ。
というか、ロロノアとゾロって二人に分けるほど好きなんだろうけど、ワンピファンの俺からしたらぶちきれポイントだぜ。
ちなみに、話し方はゾロミホークとロロノアで使い分けが出来ていないのか、どっちがしゃべってるのかも分からない、マンガならまだ分かったと思うけど。
あと作者よ、自分の作品に本人登場はダメだろ。全能ゴッドマンはないわ。
はぁ、疲れてきた。
少し飛ばして読もうかな、いやでも最後までしっかり読んでから扱き下ろすのが俺の流儀だ、がまんして読む。
さて、勇者パーティ各人が主人公――あえて勇者と呼ぶ――との出会いを振り返る『私の名前はフローラビアンカ』『俺の名前はゾロミホークだ』などのド腐れ閑話が続いたあと、やっとお城を出る勇者パーティ。
お城の外に飛び出てレベル上げが始まるかと思いきや、いきなり料理に目覚めてメシテロ――結論、描写下手すぎて不味そうかすら伝わらないもの――からの定番のオセロ作りで金策を始めるという。
レベル上げどうしたよ、魔王どうしたよ! って思ってたらのじゃロリ魔王が向こうから攻めてきた。
のじゃロリ魔王だ、あとはわかるな?
「勇者よ! なかなか来ないからこちらから来てやったのじゃ!」
「ええぃ! わしを子ども扱いするでない! この姿でもレベルは千を超えておるのじゃ!」
「さあ、わしと戦うのじゃ。思う存分暴れてやるのじゃ!」
キンキンキーン、ぐああああ、どしゃ、バキっ、キンキンドーン、キンキンドーン!
ちなみにバトルはこんな感じの描写。
「……勇者、てゅきなのじゃ!」
何があった魔王ちゃん!! あれ、読み飛ばしたかな? 何回読み直しても魔王と勇者がキンキンキーン、ぐああああ、どしゃ、バキっ、キンキンドーン、キンキンドーン! なんだけど!?
そこで22話が終了……。
ふう、ツッコミどころ満載の展開だった。
感想はどうしてやろうか……。
◇◇◇
投稿者:ワラワラ [2019年 08月 19日 05時 36分]
感想欄。
感想? ね、え、わッッ!!
ストーリー盛りすぎ、めちゃくちゃ、ネーミングセンス最悪ね。
なんで第一王女が爺と馬車で旅してんの? 危ねぇだろ?
チョロインがチョロすぎ、臭いまである。
それから全能ゴッド? 一番ウザいわ!
なんで閑話で一番力入れてんのがゴッドなんだよ!
読むの疲れましたわ、漢字もさ、無理して使ってる『宥める』とかさ、『なだめる』にするかルビ振ってくれ! 頭悪くてごめんね、読めんわ。
ていうか難読漢字使うほどシリアスじゃないよね? 難読漢字使ってるわりに汚名は挽回しちゃダメだからw
全能神なのに『ボクも頭痛が痛くなってきたよ』とか書いちゃダメよwww
あと投稿するときな、ペンネームって特に決めてないなら入力しないほうがいいぞ。
マイページにリンクされないからwww
まだまだ書き足りないけど、こんなもんか文字数もう少し増やせよな。
『感想を書く場合の注意事項にある、「■敬語で書く」などの項目を確認した上で書き込んでいただきますようお願いします。 よろしいですか?』
はいはい、知らねっての。
送信ポチっとな!
◇◇◇
『ピコンッ! 全能神ゴッド様からワラワラ様にメッセージが届いてます』
お! 感想返しじゃなくてメッセージ?
やっぱり初心者なのかね、何を送ってきたんだろ?
それにしても苦情や悪質な文句、商売目的に運営の警告まで毎日毎日懲りもせずによく送れるよなぁ。
メッセージがたまりすぎて読む気が失せるわ。
さて通常は空気スルーなメッセージ機能だけど、ゴッドちゃんからのメッセージぐらい読んでやるか。
『件名:ありがとう』
まあ、妥当な入り口だな。
肝心の内容は? お礼だけなら感想返しでいいんじゃない?
『やぁ、今回は僕の作品を読んでくれてありがとう。なんだかんだ最後まできちんと読んでくれたのは嬉しいよ。だけどね、僕はこの作品のことは君たちと同じぐらい大切な子どもだと思ってるんだよ。だから、少しだけ悲しかった。それに君は僕が応援してた作者さんを殺したよね? 感想を書くときは敬語かどうか確認し……――』
長文がえぐい、これは顔真っ赤っかのクレームですわ。
マジで
『めんごめんご反省するなり、改行してないからほぼ読んでないわwww 物書きなら3行でまとめろwww』
ほい、送信っと。
『ピコンッ! 全能神ゴッド様からワラワラ様にメッセージが届いてます』
返事早っ! さすが暇をもて余しているだけあるわ。
あんまりしつこく来るならアカ転生でもしよう。
まあ、一応読んでみよう――
『件名:お願い』
お願い……ねぇ、いきなり神様からお願いされてる俺。
もう俺も小説書いちゃおうかな、んで本文は――
『ごめん。少し熱くなっていたみたいだよ。それでさ、色々と小説に詳しい君にお願いがあるんだ。僕の作品は読むだけじゃ伝えられない魅力があると思うんだよ、だって僕が作ったんだからね。それで、君には僕の作品を
んん? 待て待て、神様は一応、曲がりなりにも、腐っても? 作家目指してんだよな? 自分の作品の描写が足りない部分を実際に?
チョットナニイッテルカワカラナーイ。
『ピコンッ! 全能神ゴッド様からワラワラ様にメッセージが届いてます』
また来た……、件名は『恐いのかい?』いや、正直に言おう恐いだろ!
ホラーだわ、さすが底辺作家だ、色んな奴がいるなぁ。
『さあ、答えてほしい。 はい/いいえ どっちかな?』
あれ? 回答欄がクリック出来るようになってるけどこんな機能あったかな?
アンケート機能とか? アンケートもやりすぎるとどっちがオリジナルか分かんなくなる……あ、話が逸れちゃった。
うん、もちろん考えるまでもなく『いいえ』の一択だわ。
いつまでもこんな底辺作家に絡んでも仕方ない、さっさとアカ転生しよ。
――ポチっと!
んん? はい/いいえの“いいえ”をポチる瞬間、〝いいえ〟が〝イエス〟にッ!?
ちょっ!!
『ははっ、逃がさないよ? さあ僕の創った世界においで――』
パソコン画面から目が潰れそうになるレベルの光が――
そこで俺は意識を失った……。
◇◇◇
「ここは……?」
思わず声に出してしまうほど俺は混乱している。
だって俺はさっきまで自宅でパソコンやってたはずだ。
こんな大草原の小さな家がありそうな場所なんて知らない、ただ……空気が無駄にうまい。
『あはは、テンプレだね』
「はい? いや誰だよって周りに誰もいない……」
『そりゃキョロキョロしたって僕は
外? 俺も外だし? ってかこの話し方はあの底辺作家の神様か?
さっきまでパソコン越しに会話はしてたわけだし、まぁ、向こうの一方通行だったはずだが……。
『あはは、ひどいなぁ。でもまあ正直……、底辺作家なのは認めるよ、僕には子どもたちのような素晴らしい発想が湧かないんだなぁ。不思議だよね、僕は何でも出来るはずなのに小説は創れないんだよ』
また何を言ってるか理解が追いつかなくなってきた。
『まあ、落ち着いてよ。僕はね、君たちの世界の他にもいっぱい世界を創っているんだ。だけどね、君たちヒトの思考は僕にも読めないというか予想外でね。とっっっても楽しいんだ。それで僕は君たちの世界をずっと眺めてたんだよ』
……んで、こいつの話だと人間が書いたサブカルチャーにどハマりして、自分も神様だし万人受け出来る小説ぐらい書けると思ったわけだ。
『そうそう、でもねぇ僕には分からないんだ。不老不死に憧れたり、神をも殺す力を持とうとしたり、あと……無限収納や瞬間移動だっけ? 君たちが欲しがるチート能力を持ってて何が楽しいんだってね』
ああ、なるほど……。
『お、さすがワラワラだね。もう僕の分からないが分かるのかい?』
「ワラワラは本名じゃないんだけど、自称神なら本名で呼べばいいだろ。何でも出来る神なら、何でも出来ない俺たちの気持ちは永遠に分からないと思うぞ」
持たないから欲しがる、俺には到底出来ない事をやってのける作家達を妬む、印税ウハウハの作家を羨む、神様は全部持ってるから俺の気持ちは分からない。
『ふふっ、本名はもちろん知ってるよ。だけどこの世界での君の名前は〝ワラワラ〟だから間違いじゃないんだ。ふふっ、全部持ってるから面白い小説が書けない……か、確かにそうかもしれない。僕には人気のある作品を読んでも、何がそんなに人気なのか分からなかったよ、なるほど、そういう事だったんだ……』
ある意味、一番共感が出来ない存在だしな。って――
『何で俺の心の声が!? だって? ははっ小説を読んでるわりに気づくのが遅いな。ワラワラ、君の考えてる事はね、僕の作品の感想欄に全部送信されているんだよ。感想への感想返し、僕の作品は残念だけどワラワラが読んでくれるまで誰もいなかったから、こんなに感想で溢れたのは初めてだ』
いや、嬉しそうに言ってるけど……。
――これ、マジ?
『マジ、だよ。君には僕の世界で生活してもらうよ』
は? 僕の世界ってランキング上位の作品やら人気少年マンガをごった煮にした闇鍋小説か? あのくそつまんねぇ?
『……黙れ、ドン!』
なんだよ、カタカタって音が聞こえるだけ。びっくりして損し――
【ぶつり、ワラワラの右腕は音もなく地面に落ちた】
「あぐゥウうぅッッぅぅ……!!」
痛いイタイいたいィ!? なんで? 腕、腕が……右腕が……ないッ!?
『ああ、ごめん。つい感情的になったよ、腕をもいでしまった』
痛みで脳が焼けそうなのに、耳に入ってくるカタカタという小さな音。
【ワラワラの右腕が生えて痛みがなくなった、落ちた右腕は地面に溶けて消えた】
打鍵してるのが文字に? この浮かんでいる文字があいつの描写……あはは、あは? アハハハハハハハ――
【一瞬にしてワラワラは正気を失ったが、何とか理性を取り戻したようだ】
……は? 正気さえ文字一つで?
『大丈夫かい? 君の口の悪さは人を殺すからね、言葉の刃って知ってるかい? 僕はともかくあの世界の人たちは心があるし、君みたいに心が強い人ばかりじゃないんだ。いいかい? 親しき仲にも礼儀あり、親しくない仲なんだし読み専が偉いわけじゃないんだ』
もちろん読んでくれる人がいなければ寂しいし、厳しい意見がなければ上達しないかもしれないと続いたが、俺の頭も心もぐちゃぐちゃだ。
ぐちゃぐちゃなのに冷静、正気を失わないのがこんなに辛いものだとは思わなかった。
『君はやり過ぎたんだよ。アカウント転生を繰り返すせいで運営も対応できない、だからね、少しだけ僕の世界で反省してもらうよ。ああ、君も不老不死のチートを授けるし、テンプレ展開もいっぱいあるから楽しんでほしい』
テンプレ展開ってアレとかソレ? マ、ジ、か?
――きゃああああぁぁぁぁ!!
『ほぉら! 早速始まった、さあフローラビアンカを助けに行こう!』
いや、ポパイパワーくれよ、じゃないとフローラビアンカと一緒に盗賊に拉致られるんだろ!
『嬉しいな、最初の頃のストーリー覚えてくれてたんだ! だったらわかるよね?』
神様がポパイパワーをくれるのはブタ箱に入ってから……?
『せいかーい! 序盤のストーリーを変えたら後のストーリーや伏線が台無しだからね!』
いやいやいやいや、ストーリーも伏線もクソも――
『……黙れ、ドン、ドン!』
【ぶつり、ワラワラの右腕は音もなく地面に落ちた、ばつん、左足が音もなく弾けた】
「ゔッッ!」
『なるほど人は本当に痛い時は言葉を発することが出来なくなるんだね! ああ「っ!」の表現の意味がやっとわかったよ。いやぁ、生の感想は勉強になるなぁ』
……。
『あ、ごめん話せないよね。ストーリーも進まないし、元に戻そう』
【ワラワラは五体満足の健康体に戻った。フローラビアンカたちの時は止まっている】
時間まで……。
『どうしたのかな? そろそろ時間を動かすよ、フローラビアンカを――』
その前にっ!
『なんだい?』
〝ぶつり〟とか〝ばつん〟って音が出てるから表現としておかし――
『……!』
【ワラワラの身体が爆散した】
【ワラワラの身体は再構成された】
……もうやだこの世界。
――無料小説投稿サイトの底辺作家の作品を好き勝手に扱き下ろしていたらその作品の異世界に飛ばされた件。
――――――――――――
拙作をお読みいただき、ありがとうございます!
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