無理ゲーじゃないですか、運命よ‼

「お前、ついてこい」

「……えぇー……」


若干不貞腐れながらも、剣と槍を首元に向けられてYESしか言えない。

ここで誤解を解くのはダメかぁ。

武器を向けられたまま、私の前と後ろに兵士がたち、完全に挟まれた。

こんな状況になったのも、運がなかっただけ……?

それにしても無理ゲーだ。まるで容疑者扱いじゃない。

そのまま真っすぐ1キロくらい歩いたところで、森を抜けて数十メートルくらい先に、高さが10mほどある立派で威厳のある砦が見えた。

おおぉ。なんか異世界に来たって感じがする。


その砦にずんずん近づいていく。

その真正面に来ると、門番らしき怖い人がこちらを睨んで誰だ、と言っているようだった。


「ティモンだ」


案の定伝わったのか、私の前を歩いていたティモンという人が声を上げた。


「通れ」


表情も変えず言った。

そのまま、50m以上ある橋を渡ると、またまた大きくて豪華な扉が見えた。

そちらには門番はいなくて、ティモンが右手の中指につけた指輪を、扉の真ん中にある赤い宝石に近づけると、ギギギギ―――と音が鳴ってゆっくり扉が開いた。

すっご。

魔法?魔法だよね⁉

その後も何度も目を張り、魔王城の中に歩いて行った。


途中で何人かとすれ違いながら数分歩いていくと、一番奥らしき部屋の前までやってきた。

ティモンが先ほどと同様、指輪を赤い宝石に近づけると、ゆっくりと扉が開いた。

その先には、ここに来るまであまり見なかった、現代の日本で使われているような扉が佇んでいた。


コンコン


「失礼いたします。魔王様」

「ま、まおっ……⁉」


早い。異世界に来てから30分もたってませんけど。

もう魔王に会っちゃうの⁉

ていうか、これ、勇者になれないやつだよね?ぴえん。(あ、ちょっと古いか)

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悪役?敵?いえ、これは絶対的に主人公は魔王側です! ラッキーせぶん。 @rakki-7

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