主人公は人殺しをしたわけですが、それに対する罪悪感があるようなないようなあるような……。それは作者が作中で書き切れていないとかそういうものではなく、すべてが作者の計算のうちなのか……。だとしたら主人公はとんでもないサイコパスキャラなのでは……。とにかく不思議な魅力の小説です。
主人公は年相応の感情があるけれど、ときどき強烈な破滅願望を感じさせてくれて、それがとにかく読者に強い印象を与えてきます。
この不思議な主人公を表わす言葉としては「穏やかそうな少年」「どこにでもいる少年」「ラブコメの主人公っぽい」などあるかもしれませんが、私は
「あれ? この主人公。実はとんでもないサイコパス。……もはやモンスターなのでは?」
としか思えませんでした……。
とにかく読んでみてほしいです。魅力的な主人公です。
主人公は普通の少年っぽいんですが、その普通に強烈な違和感を覚えます。
主人公の深層を探り出したらとんでもない底なしで、きっと正解は作者の中にしかないんだろうなって思います。
人を殺した渡辺くん。殺した相手は、学校で隣の席に座る三原さん。
もちろんこんなこと、誰にも言えません。
ですが一人、それを察した人がいるみたいなのですよね。
それは、もう片方の隣の席に座る笹井さん。
彼女は「てめーが殺したんだろ。わかってんだぞ、あぁん!」なんて直接聞いてきたりはしませんが、事ある毎に思わせぶりな発言を連発。渡辺くんは気が気じゃありません。
そんな状況で送る生活。友だちも絡むし、妹からはキモいって言われて涙するし、ふとしたことで笹井さんにドキッとするし……いや待て。これってラブコメじゃね?
ちょっと変わった雰囲気の女の子となんだかんだで仲良くなっていく、ラブコメのお約束じゃね?
なんだ、殺しただのなんだの言ってたけど、心配して損した。それなら安心して見られますね。
なんてことはありません!
だって三原さんが死んだのは事実なんです。担任の先生もそう言ってたし、ニュースにもなったのです!
渡辺、お前なんで殺したんだよ! 笹井さんが気づいているかと同じくらい、そっちも気になるよ!
大きな疑問を抱えながら進む物語。果たして真相は、そして結末や如何に!?
ある日隣の席のクラスメイトを殺してしまった、中学生の渡辺くん。
……ちょっと待った。殺してしまったって何だと思ったそこのアナタ。
そのまんまの意味です。彼はクラスメイトの女の子を、殺しちゃったのです。
幸い(?)今のところ、渡辺くんが犯人だとバレていませんけど、そんな彼に何故かやたらと絡んでくるのが同級生の女の子、笹井さんです。
どうしてこんなに絡んでくるのたろう?
はっ! もしや渡辺くんが殺人犯だと勘づいて、証拠を掴むために捜査しているのでは!?
というわけで人を殺しちゃった渡辺くんは、笹井さんの追求を逃れるために奮闘するのですが……。笹井さん、本当は渡辺くんに気があるんじゃないの?
彼女の本当の気持ちがどこにあるのかは分かりませんけど、とにかく秘密を知られちゃマズイ。
というわけで、可愛い笹井に絡まれるも、殺人犯だとバレるわけにはいかない渡辺くんは、秘密を守るために奮闘する。
殺人犯だという証拠を掴ませないよう気を付けながら学校生活を送る、新感覚のスリリングラブコメ。
よくこんな話を思い付いたなと、斬新すぎるアイディアに脱帽です!