Continue...

只野夢窮

本文

 寝取られた、後も人生は続く。当たり前だ。動かぬ証拠のNTRビデオを送り付けた私は離婚された。案の定である。寝取り男と結婚したから何だというのだろう。

 忘れてはいけない。避妊もできない男に女を幸せにできるはずなどないってことを。

 確かにセックスはうまい。まあ、性器も大きい。昼は真面目に働いてもいる。しかし給料は低い。お腹が大きくなってきたから共働きもできない。そのうち子供が生まれた。男だ。赤ちゃんの癖にすでにちんこがデカく、父親に似たのだと思った。

 出産してしばらくし、そろそろパートに出ようとも思った時、また妊娠した。そりゃそうだ。人妻相手に避妊しない男が、自分の妻相手に避妊するわけがない。やることやった、当然の結果である。

 結局三人産んで、男が二人に女が一人だった。

 それで、子供が大きくなるととても乱暴で手の付けられない子たちになった。親が大人になっても欲望に勝てないろくでなしなのに、子供が自分の欲求を我慢できるわけがない。仕方ない。親なんてのは偉くもなんともない。セックスすればどんな不貞野郎でもできる。自分のことだから身に染みてわかる。

 実家なんてお互いに頼れるわけがない。こんな事情のクズだから。

 結局は高卒で子供を働かせれば何とかなると思った。中学生までは補助金とかたくさんあるし。そう思っていたら中学生の娘が妊娠していた。父親は逃げて連絡が取れないらしい。本人は堕ろしたくない、絶対に産むんだと言っている。

 夫が喚いている。だが性欲に勝てないバカの娘が性欲に負けたのを、性欲に勝てなかった私が責める気にもならない。

 夫が娘の腹を殴った。血が床に溢れる。だがまあ一度の堕胎で妊娠能力が失われるわけでもないだろう。そのうちケロリとしてそこらへんの男をくっついてまた孕むはずだ。

 ああ、まあ、なんとかなるし、なんとかなってきた。

 長男は生意気にも大学に行きたいと言ってきたがそんな金はなかった。出て行った。次男は都会に出て連絡が途絶えた。夫はある日不注意なフォークリフトに左足を轢かれた。娘は地元の半グレと付き合ってる。

 それでも私の遺伝子はばらまかれていくのだろうし、生き物としてはこっちのほうが正解だったのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Continue... 只野夢窮 @tadano_mukyu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ