第2話 めちゃくちゃニチアサで見た
「そりゃあ!」
まるで猫…というよりは、チーターとかそういう類のネコ科動物のような、そんな動きで次々とパラヒューマを相手取るちひろさん。
手の甲に備え付けられた爪のような武器で次々と切り裂いていく。
「逞帙>?∫李縺?シ√け繧ス縺鯉シ」
「はぁぁぁあっ!!!」
すげぇ苦しそうに、また意味のわからん言語?で叫び出すパラヒューマ。そのうち、一体のパラヒューマが頭部から青い液体を出しながら、身体が宝石のようになっていき、最後にはそれらが砕かれる。なるほど、そういうタイプの死に方なのね。
そうして暫く戦闘が続いた。ふと、遠くを見ると巨大なドラゴンみたいな怪物…、あぁそうだ、【パラゾルダ】だったな。パラゾルダが倒れるのを目撃した。あっちはあっちで片付いたっぽいっすね。
「これだけ数が多いと流石に…、『アレ』使うか…。」
ちひろさんが別のパラストーンを取り出す。もしかしてもしかするのでは無いですか?心の中にいるアニメ特撮オタの俺が俺に訴える。(フォームチェンジとか必殺技の類が来るぞ!)ってね。
《アマガエル!スタートアップ!》
今度はカエルときましたか。ちひろさんは、アマガエルのパラストーンをトリガーに入れて押し込んだ。
《アマガエル!アップグレード!》
お、なんか音声違くね?とか思った矢先、やたらメカメカしいデカいカエルが出てきた。え、召喚系のタイプでしたか?
いや違う、ちひろさんがそのカエルに近づくとカエルの身体がバラバラになる。ヤマネコを模した姿の鎧に張り付くように、各部にカエルを模した追加武装が取り付けられた。
「一気に行くよ!」
と意気込んだちひろさんがトリガーのボタンを押す。
《ヤマネコ!アマガエル!チェインブースト!!》
システム音声が流れる。あ、これ必殺技の流れですね。
「喰らえ!」
手に取り付けられたカエルの頭のようなものから、赤いロープのようなものが飛び出した。アレか、カエルの舌か。
ロープはパラヒューマ達を取り囲み縛り付ける。この場にいたおおよそ全てのパラヒューマが捕まったに違いない。
そしてちひろさんはクラウチングスタートのポーズを摂る。手のカエルがヤマネコの爪に変わった。
「サラウンドスラッシュ!」
あ、それ自分で言うんだ。
ちひろさんが猛ダッシュでさっきの取り囲んだパラヒューマに突っ込む。腕を大きく広げると、爪もエネルギーを纏い巨大化。その爪を一振すると、パラヒューマ達は叫び声を上げながら次々に結晶化した。
振り返り、腕をスナップする。いいタイミングでパラヒューマ達の結晶が一斉に砕けた。正直めちゃかっけぇ。
「これで全部かな…。もう出てきてもいいよ。」
物陰に隠れていた俺は外に出る。その瞬間だった。
「豁サ縺ュ?√%縺ョ蛻?縺ョ鬢碁」溘→縺ェ繧鯉シ」
後ろから生き残りのパラヒューマが襲ってきた。しかも俺目掛けて。
「危ない!避けて!」
と叫びながらこっちに走ってくるちひろさん。俺も回避行動をとる…が、予想以上に相手の方が早かった。
刃先が目の前に迫る。またしても16歳でゲームオーバーの危機が迫る。
いよいよ本当に走馬灯のようなものが見えてきた。思い出すなぁ…いやいや、思い返すな。死にたくないんだよ俺は。
だが、現実は非情。刃先が顔の前まで来た。終わりました。この物語は俺の死を持って終わりです。
「スズメバチ!オーバーブースト!」
なんか聞こえた。
光線?のようなものが見えた。
光線は、パラヒューマの頭を撃ち抜いた。そのまま勢いでパラヒューマは吹き飛んだ。
「間一髪だったか…。大丈夫?」
まるでドレスのような、しかしどことなくメカメカしい。そんな鎧を身に纏った女性が現れた。
「貴方、ケガとかはない?」
スタイルも抜群で、これまたアニメから出てきんじゃないかと疑いたくなるビジュアル。ブロンドの紙に青い瞳、とても日本人の顔パーツじゃないものが使われてるのに顔立ちは日本人。いやすげぇ美人ですね。はい、大丈夫です。むしろ元気出ました。
「貴女は…、『女王蜂』?確かパラゾルダの対処をしていたんじゃ…。」
「そっちはもう終わったわ。帰ろうとしたら貴女達を見つけたの。間一髪ってところね。ところで…なんでこの世界に民間人が?」
なるほど、貴女は女王蜂さんですね。だからスズメバチのシステム音声が流れたのか。よく見ると鎧も蜂を模してなのか黄色に黒のトラ模様で、背中に羽根が生えてる。
「どうやら、アナザーワールド生成時に巻き込まれたそうです。生成の瞬間、ちょうど裂け目に居たっぽくて…。」
俺が迷い込んだ経緯みたいなのをちひろさんが女王蜂さんに話している。というか、この世界、貴女方が作ったんですか。
「あー…、言ってなかったね。パラヒューマ達が元の世界に出てくる。これは説明したでしょ?
けど、それは普通単体のみとか数体が出てくるのみで把握が難しいの。ま、そっちはそっちで元の世界で対応するんだけど…。」
「今回のように大規模な出現や、パラゾルダを召喚する際には、大規模な時空間の歪みが計測されるの。
その場合、私たちの組織がアナザーワールドを展開して、アナザーワールドで対応する。こうすることで、外の世界には被害が出ない。というわけ。アニメとかでいう【バトルフィールド】と思えばいいわ。」
なるほど、何となくだが理解はできた。で、俺どうやってここから抜け出すのか?
「私の手を握って。」
「手を…、ですか?」
女王蜂さんの手を俺は握る。すると女王蜂さん、空中に向かって発砲した。
「何してるんですか??今のは一体…。」
「この世界から出るわ。絶対手を離さないで――――。」
視界が一回転した。頭がクラっときた。脱出したらしいが、俺はそのことをよく覚えていない。
こうして俺は、元の世界に帰還した。
平行世界のパラファイター よっちゃん @765Sport
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