第1話 一体ここはどこなんだよ

 いやいやいやいやいやいやいやいや。

 なんだよアレ。

 なんなんだよアレは?

 というかここはどこだ?

 なんで俺はこんなことになっている?


 とりあえず来た道を引き返す。

 一目散に、全速力で学校に戻る。

 校門を通過し、グラウンドの真ん中に来たあたりで壁に当たったような…そんな感じで頭をぶつけた。


「痛ってぇ…何もないのになんでこんなところで…?」


 見えない壁のようなものがある。

 触ると、言葉にするのが難しい変な感触の壁に進行を阻まれる。


 出れない。

 閉じ込められた。

 

 だから一体全体なんなんだよこれ。


 パニック状態のところ、更に追い打ちをかけるようなことが起こる。


「縺ェ繧薙□縺ゅl?滉ココ縺具シ」


 なんか意味のわからんことを言ってる人?がいる。それも複数人。


「あ、あの!ここはどこですか?俺は一体…?」


 その人?に質問をする。すると答えが帰ってきた。すげぇ殺気立って。


「縺ィ繧翫≠縺医★谿コ縺吶°縲よ?縲??驍ェ鬲斐□縲」


 意味のわからんことを言って、しかも剣みたいなのを持って襲いかかってきた。


 マズイマズイマズイマズイ。

 逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。


 足がすくんで動けない。逃げなきゃ死ぬのに。動かない。


「豁サ縺ュ?」


 降り掛かってきた。

 避けれない。

 あ、終わったわ。16で死ぬとは思ってなかったけど、終わったわ。


 その時だった。


「そぉら!」


 今度は日本語を喋る人?が現れた。


「縺雁燕縲√ワ繝ウ繧ソ繝シ縺」

「ったく…、訳わかんないこと言ってんじゃないわよ。貴方、大丈夫?」


 鎧…?のようなものを着込んだ女性に助けられた。


「ここは危険よ。安全なところまで一緒に行きましょ。すぐに元の場所に…とは言えないけどね。」

「驍ェ鬲斐r縺吶k縺ェ縲ゆココ髢薙?蛻?圀縺ァ?」


 女性に手を引っ張られながら走る。

 暫く走って、学校最寄りの駅近くの公園までやってきた。


「安全…という訳でもないけど、ひとまず安心ね。」

「あの…、色々聞きたいことが山ほどあるんですが…まず、一体何なんですかアレ。」


 意味のわからんことが続いたが、確実に俺の命を狩り取りに来たあの人型の何かについて質問をする。


「あれは【パラヒューマ】。元の世界でも、この世界でもない場所から来たと思われる人型の化け物。」


 聞いたことないワードが出てきた。パラヒューマ?この世界?何が一体どういうことなんだ?


「その前に、自己紹介が遅れたわね。私は『金竹かなたけちひろ』。呼び方はなんでもどうぞ。」

「あ、俺…。『橋爪はしづめナオキ』です。俺も呼び方は…なんでも。」


 互いに簡単な自己紹介を行った。


「で、まずここはどこか?なんだけど、ここは…言うなれば【並行世界】ってやつね。私達は【アナザーワールド】と呼んでいるわ。ここは…。」


 色々とちひろさんから説明を受けた。どうやらここは、元いた世界とは違う世界らしい。

 見た目は元いた世界とそっくりだが、人気が全く無い事や、そもそもとして日本語では無い…文字化けしているようなそんな感じの言葉が溢れかえっている。

 ここで起こったことは元の世界でも影響される。と言っても、ごく小規模で、この世界で物を壊しても、同じ場所同じところにある物が壊れるか?というと、壊れる場合もある。というくらいな影響力しかない。

 で、パラヒューマというのはこの世界の住人ではないらしい。

 彼らの目的は一切不明。だが、この世界から元の世界に出てこようとしてるのは確かで、この世界の時空間をねじ曲げ元の世界に出てくるためのゲートを作るために、パラヒューマ達は活動を行い、また時には【パラゾルダ】という巨大生物に変化して暴れてるそうだ。


「で、パラヒューマが元の世界に出てくるのを阻止するために、私達は活動してるの。この【パラトリガー】と【パラストーン】を使ってね。」


 そう言ってちひろさんは何かを取り出し、見せてくれた。

 パラトリガーというのは、レイピアとか欧州で使ってそうな剣の、のナックルガードとグリップだけになったような武器…というか、オモチャみたい物。

 パラストーンは…でっかい宝石みたいな…あーこれ、ニチアサとかでよく見るやつだ。


 というか、そんな大事そうなもの見せて大丈夫なのだろうか。


「本来はダメだけどね。ここから出たら組織が…。」

「隕九▽縺代◆縺橸シ∵黒縺セ縺医m??シ」


 ちひろさんが何かを言おうとした時、パラヒューマが現れた。


「マジ…。仕方ない、ナオキくん。少し物陰に隠れてて!」


 言われるまま後ろのトイレの壁に隠れ、俺は顔を少し出した。


「あーもう…いつもいつも!どうしてこう邪魔ばかりするかな…?」

「螂ウ繧呈ョコ縺幢シ√ぎ繧ュ繧呈ョコ縺幢シ」

「言っても無駄か…。もういい!あの世に送ってやる!!」


 そう言って、ちひろさんはパラストーンを取り出す。あコレ、ニチアサで見たやつだ。


《ヤマネコ!スタートアップ!》


 システム音声みたいなのがパラストーンから流れる。あ、マジでコレ、ニチアサで見たやつじゃん。

 音声が鳴り終わったパラストーンを、パラトリガーにセットした。え、これもしかしてもしかするともしかしちゃったりするの??


 特撮とかアニメとかでうん百回と見た光景を生で見てる。ハッキリ言って異常な光景だが、俺は何故か、既視感と興奮を抑えれなかった。


 そうして待機音が流れる。パラトリガーを真正面に構え、指をトリガーにかける。


「着装!」


 トリガーを引いた。パラトリガーからヤマネコみたいなのが飛び出て、暫く暴れ回った後にちひろさんに被さった。


《ヤマネコ!アクティベート!》


 マジで特撮やアニメで何百回と見た光景を、最初から最後まで見届けてしまった。

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