第4話
話し合いを経た上、レイブの決定によってブラッドはバンディア家の養子となるそうだ。まだ、国に提出する養子縁組の書類は済んでいないため正式ではないが特に何かあるわけでもなく、一つあるとするならば書類にブラッドの名前を書く必要がある。
従者になるわけではないため仕事などはないそうだが、ブラッドは貴族の養子になるにあたり、貴族に必要な作法や礼儀など学ばなければいけない。だが、まず明日はメイドと挨拶をして回る。このメイドはナーシャという。ブラッドの専属メイドとしてつけられた。彼女に案内をしてもらいながら挨拶をして回るそうだ。この家にきて間もないブラッドは環境に慣れるためも挨拶をしたあと、他の時間は自由にしていいと伝えられた。
また、明後日から勉強は徐々に始まるようだ。
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はぁ、疲れた。挨拶してまわるって変に緊張してしまう。この家とは本当に赤の他人であるし、私が周りにどう思われているのか不安だ。
この後の時間は好きに使っていいと言われた。昼はもう食べたから、おやつでも作ることにしよう。ただ、道具も材料もない。どうしようか…。そう思っていると、そばにいたナーシャに声をかけられた。
「ブラッド様、午後はどういたしましょうか。」
「あ、えっと、お菓子を作りたいと思っているんだけど、道具も材料もないから、どうしようかなと…。」
「まあ!ブラッド様はお料理ができるのですね。でしたら、厨房をお借りして作りましょう。」
「え、でも、私がいたら邪魔になりませんか?」
「いえいえ、そんなことはありません。ブラッド様が不安であるのでしたら、隅の方をお借りしましょう。」
ブラッドは半ば流されるように厨房へ向かった。
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うーん。来たはいいものの、何を作ろうか決めてない。まあ、とりあえず簡単そうなものはクッキーかな?
「ナーシャさん、クッキーを作りたいんだけど、道具と材料ってどこにありますか?」
「ブラッド様、私にさんは不要ですよ。道具と材料はこちらです。」
あ、挨拶まわりでも言われたのに癖でさんをつけてしまった。
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よし、できた!いい感じの焼き目がついたし、おいしそう。
–––料理上手の熟練度が1から2に上がりました。
めちゃくちゃ簡単に上がるね。…どうやらこの音声は周りには聞こえてないらしい。
時間的にもちょうどいいし、すぐお菓子食べようかな。でも、1人で食べるには作りすぎちゃったし…配る?
「ブラッド様はとても手際がいいですね。どこかで作ったりしていたのですか?」
「いいや、作ったことはないと思う。でも、褒めてくれて嬉しい!ナーシャ、お菓子をレイブさんやリーシャさん、アリムさんにお礼として渡したいんだけど、どうかな?」
「いいと思いますよ。皆さんとても喜んでくださるかと。」
そうだといいな。
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–––コンコン。
「誰だい?」
「ブラッドです。お仕事中失礼します。お菓子を持ってきました。」
「入ってくれ。」
ああ、変に緊張してきた。やっぱり渡すのやめたい…。もうここまで来ちゃったから無理だけど。
「レイブさん、お礼になるかわかりませんが、お菓子を作ってきたので、是非食べてください。」
「ブラッドが作ったのかい?凄いな。早速1つ食べてみよう。」
–––サクッ。
「ブラッド。すでにリーシャ達には渡したのかい?」
レイブさんの目が光ってる気がする…。
「?ま、まだ渡してないです。」
何かまずいことしたかな?クッキー美味しくなかったのかな?
「じゃあ、私もちょうどキリのいいところまで終わったし、みんなでお茶会にしよう。」
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突然始まったお茶会ではブラッドのクッキーは思った何倍も好評で、みんなに褒めちぎられるほどだった。
リーシャさんには「今度一緒にお菓子を作りましょう!」と言われ、厨房長には「今度おいしいお菓子の作り方が知りたい!」とまで言われてしまった。
趣味程度にはなるが、定期的にお菓子を作ろうかなと思ったブラッドであった。
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作者です。
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したいことをしろと言われましたが流れに身を任せます おむち @omusarada
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