第7話
本人がいない前でつらつら語られる謝罪のようで弁明でもある意味の無い言葉を聞きながら、私は泣きながら帰ってきたあの日の朱璃唯の顔を思い出していた。先生もあの泣き顔を教室で見たはずだ。見た上で、このやっつけ仕事のような謝罪をしているのだ。
謝罪というのは学校に登校できなくさせてしまったという『結果』においてだけの謝罪であった。嫌がる子供の口を無理やり開かせ物を詰め込んだことや、精神的ショックを与えたことに関しての謝罪はなかった。
大真面目に謝罪をした気になってる二人に無反応でいるわけにはいかなかった。まず私は時間を割いて話し合いの場を用意してくれたことに礼を述べた。
「お忙しい中、先生と直接話す機会を作ってくださってありがとうございます」
二人はいえいえ、と恐縮したふりをしている。
「あの・・・今日私は先生たちからの謝罪を求めてここに来たわけではないんです。私はなぜ娘が嫌がることをしてまで先生は給食を食べさせるようなことをしたのか、その理由を知りたいと思って来たんです」
二人の顔が曇った。自分たちは厄介な奴に絡まれているという、一転して被害者側になったかのような表情をした。
これは二人の、いや学校側の考え方なのかもしれない。謝罪して怒りながらもさっさと帰ってくれれば(都合の)良い保護者で、深堀してくるような保護者は(都合の)悪い保護者なのだろう。
つまり私は悪い保護者で厄介者なのだ。
我が家のコッペパン祭り 千秋静 @chiaki-s
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