わたしのからだ

ゆきのともしび

わたしのからだ


わたしのからだはハリボテではない



からだは洋服を着せ替えるためにあるのではなく


あたまはつややかな髪を維持するためにあるのではなく


脚は白くほっそりと、観賞されるためにあるのではなく


ある人間の性的欲求を満たすために


わたしは灯りを落とした部屋に座っているのではない




わたしのからだには


決してみえない流れがたしかに存在し


あるときはそれが淀み


あるときは停滞し


あるときは驚くほど清らかになる


それは森を流れる


静かだがある種の情熱をはらんだ


清流のようだ


その流れの具合によって


こころは収縮し、色を変え


わたしという いのち を


今日もせっせと維持している




どうしてそれが


ある人間の眼には


ハリボテとしか映らないのだろうか




わたしのからだは、道具ではない




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わたしのからだ ゆきのともしび @yukinokodayo

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