祝100話 花見だわっしょい

 前書き


 どうも作者のイコです。


 今回は、100話目を祝して、@kubomasakesaさんにコメントで頂いた桜と、散った後の虫をテーマにSSを書いていきたいと思います。


 もう、桜が散ってしまった地域も多いと思います。

 虫が大量発生した際には、巨大なヒヨコでどうぞ虫対峙をw


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 一本の立派な大木には、ピンク色をした花が咲くという。


 ただ、それは100年に一度のことで、穏やかな日差しと暖かな気候がなければ咲くことは無い。

 

 しかも数ヶ月の暑さを乗り越え、急激に冷え込む時期を過ごすことで強く強く美しい花を咲かせる。


 そんな気候の変動を味わった時にしか咲かない花。


「見たい! ピリカ! 100年に一度しか咲かない花が咲くんだって!」

「ピヨ!」


 ピンクの花でイメージできるのは、故郷の花だ。


 森や草原、海などがあるこの国は、あまり気候の変動がない地域だと前に聞いたことがある。

 

「ふふふ、アシェちゃんは好奇心旺盛ですわね」

「ニャオ」


 いつものメンバーで集まって、最近の話題について話をしていると、オリヴィアちゃんが仕入れた情報にアシェが食いついた。


「だって! 100年に一度の美しいピンクの花だよ。絶対に可愛くて綺麗だよ!」

「そうですわね。大勢のサモナーが花見に参加されると思いますよ」

「だよね! なら、危険なことも少ないと思うから行こうよ!」


 もうすぐ大型連休があるので、それを利用して大木見学にいくことが決定した。


 ありがたいことに侯爵家のオリヴィアちゃんの馬車に乗せてもらえるので、アシェは楽しい花見に向けて笑顔が溢れている。


 しかし、その笑顔を害する者が現れた。


「なっ! なんなのあの巨大なトゲトゲ芋虫!」


 アシェの叫びもうなづいてしまう。


 大木に張り付く無数のトゲトゲ芋虫の集団に、侵略を受けていたのだ。


 それを集まっていたサモナーたちが撃退していく。


「これも恒例行事なのですよ。100年に一度咲く大木には、大量の魔力が宿ってエネルギーが豊富に含まれているのです。あのトゲトゲ芋虫は、そのエネルギーを奪いにくる害虫ですわ! 毎年花が咲かない原因の一つで、しかも花が咲いたとしてもトゲトゲ芋虫が大量発生して、近づくこともできなくなるのです!


 オリヴィアちゃんの説明に、アシェは憤慨する。


「そんなの許せないよ! 動けないピンクの木をよってたかって襲うなんて」

「そうですわね! ですから、私たちも加勢しましょう!」

「うん! ピリカ! お願い!」

「ピヨ!」


 任せておけ! ちょっとトゲトゲなのは気になるが、やってるぞ!


「ピーーーー!!!(王者の咆哮)」


 トゲトゲ芋虫どもに威圧を放つが全く効果がない。

 俺の相手をするよりも木に登って、少しでも高い位置で魔力を吸い出すことを考えているのだろう。


 今の時期は、花を咲かせるために、高い位置にある枝に魔力が集中している。


 それを狙っていると言うことんだろう。


「ピヨピヨ!」


 そんなことさせねぇよ!


 俺は風の魔法を叩きつけてトゲトゲ芋虫を叩き落とす。

 闇魔法では木を傷つけてしまいそうだからこそ、風と水を使った魔法で攻撃を仕掛ける。


 落ちてきた奴はひっくり返して、腹に嘴を突き立てる。


 うっめえええええええ!!!!!!!


 ヤバっ! なんじゃこいつ!


 見た目はトゲトゲして毒々しい模様をしているくせに、今まで食べてきたどんな芋虫よりもうめぇ!!


「ピヨ!」


 これならどんどん落として食べられる。


 トゲトゲ芋虫祭りの開始じゃ!!!


「ニャオ!」

「ピヨ?」


 俺が荒ぶるほどにトゲトゲ芋虫を落としまくっていると、シルに声をかけられた。


「ニャオ」


 シルが指を刺すと、幻想的な光景が広がっていた。


 人や召喚獣が小さく見えるほどに大きな木に桜の花が咲き乱れている。

 こんなにも一斉に咲き誇り、豪華で、壮大な光景を見れるなんて思いもしなかった。


 トゲトゲ芋虫たちも動きを止めたので。


 俺たちはアシェたちの元へ戻った。


「綺麗だね!」

「凄い幻想的ですね」

「ニャオーン!!」

「ピーーーーヨ!!!」


 巨大な桜に向かって、鳴き声をあげる召喚獣たち。


 これは俺たちにとっては祝福に感じられる。


 舞い散る花びらがとても綺麗で、いつまでも見ていたい。


「少し離れた位置で食事にしましょう。臨時の屋台もたくさん出ているみたいですから」


 近づくとどうしてもトゲトゲ芋虫が目に入ってしまうが、遠くに離れて眺めていると巨大な桜の美しさだけが際立っていた。


 遠くから見ていると綺麗な物も、近づいてしまうとそうでもないことがある。


 桜は三日間ほど咲いた後に、次第に散り始めた。

 

 オリヴィアちゃんがとってくれたコテージに泊まって、桜と屋台巡りを堪能した。


 桜が散った後の方が実は大変だった。


 散った花びらを食べるためにたくさんのトゲトゲ芋虫が大量発生して、他のサモナーたちと討伐に駆り出された。


 綺麗な物は一瞬で、あとは大変な片付けが待っていることを思い知らされる。


「ピヨ!!!」


 うっめえええ!!!


 まぁ、俺だけはトゲトゲ芋虫を堪能できて、幸せだったけどな。


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あとがき


どうも作者のイコです。


いつも読んでいただきありがとうございます!

皆さんのおかげでこうして100話を達成することができました。

本当にありがとうございます!


どうぞ今後もよろしくお願いします。

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