第99話 ボディガードの1日(ヒヨコより)

 今年10歳になる少女の護衛をするボディーガードとしての、俺の朝は早い。


 明け方と共に目を覚まして、まずは目覚めの一杯として水を飲む。


「ピヨ!」


 アシェが朝に飲める用に準備をしてくれた水入れ嘴を突っ込んで豪快に飲んでいく。やはりこれが一番体を起こすのに最適だ。


 続けて、外に出て一鳴きするのも忘れない。


「ピーーーーーヨ!!!」


 ヒヨコから鶏になったなら、コケコッコーと鳴くのかもしれないが、その予兆は今のところ見られない。


 一鳴きした後は、決まったルーティンを開始する。


 そう、朝食の確保だ。


 学園から出たことで、食堂にいってご飯が出てくるわけじゃない。

 いや、タオ師匠は、食事を提供してくれるが、俺が食べたいものではないので、自分の好きな物は自分で確保しにいく。


 このヤオ領は、海辺なので、海藻や海の幸が山のように存在する。

 ヒヨコの体で泳げるのかって、舐めてもらっちゃ困るな。


 ヒヨコは、海の上で浮くんだ。

 この巨体でもアヒルさんのように足をバタバタとさせることで水上方向ができるんだぜ。


「ピヨ!」


 だが、あまり沖合に行ってしまうと波に体をさらわれてしまうが、入っても浜辺から近い浅瀬だけだ。

 そこで十分な位の魚の魔物を取ることができる。


「ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ」


 体を浮かせた状態から、海の中で泳いでいる魚を狙って一撃を加える。


 そんなやりとりをしていると、かなりの時間が過ぎてしまう。


 俺は水滴をブルブルと体を震わせることで、吹き飛ばして、アシェが起きるまで乾かすために浜辺を歩きながら、浜辺にいる魔物を討伐していく。


 これはアシェが街に行く前の準備運動だ。


 プロのボディーガードは常に体を鍛えるものだからな。貪欲に経験値稼ぎを忘れないぜ。


「ピリカ! そろそろご飯だよ!」


 浜辺にアシェが呼びに来る頃には、海から上がった水分は全て蒸発する程度に乾いている。だが、このままタオ師匠の家に入ることはできない。


「もう、また海に入ったの? 海の匂いが凄くするよ」


 アシェに水をかけてもらいながらブラシをしてもらう。

 そう、海の香りが強いまま、家の中に入ったら怒られたのだ。


 だからこそ、しっかりと身だしなみを整える。


「はい。とりあえず洗えたよ」

「ピヨ!」


 朝のシャワーを終えた俺は、風の魔法を使って全身にドライヤーをかけていく。

 温風が出せるわけではないが、風乾燥をすることで水滴を早く蒸発させる魔法を編み出した。


「ふふ、その魔法は凄く便利だよね」


 アシェにも伝授してあげると夜にお風呂に入った後に髪の毛を乾かすのに使うようになった。


「そろそろ良さそうだよ。ご飯食べよ」

「ピヨ!」


 アシェに濡れているところはないか確認してもらって、OKをもらって屋敷の中へと入っていく。

 テーブルには、タオ師匠以外のメンバーが座っていて、俺たちが到着するとタオ師匠とブタウサギ先輩がやってきた。


「おはよう。みんな、今日も良い日差しだね」

「「「おはようございます」」」


 アシェやオリヴィアちゃん以外にもたくさんの人がタオ師匠の屋敷では働いている。それぞれに召喚獣と過ごすために、テーブルとは別に、召喚獣用の食事スペースもあるので、かなりの広さが食堂には必要になる。


 それでも問題なく入れる規模なのが凄い。


 元の世界では、タオ師匠の家で使われている家具をオリエンタル調というんだろうな。雰囲気があって俺は結構好きな家具が置かれている。


「ごちそうさま。さて、夏休みも終わりが近づいてきて、アシェとオリヴィアは学園に戻らなくちゃならない。だから残りの時間は少しだけ変わったことをするよ」


 どうやら遊んでいる時間は終わりのようだ。


 ボディーガードとして過ごした時間も終わりだな。


「あんたらには、ここから見える山に行って三日以内に帰ってきてもらいたい。食料などの物資を提供しよう。地図もだ。お目付役としてブタウサギをつけるから、危険もそこまではないだろう。ただ、行って帰ってくるだけだ。出来るかい?」

「はい! 大丈夫です!」

「体力に不安がありますが、アシェちゃんと一緒ならやってみせます」

「いい返事だね。なら、これは私からの最後の試練だ。あの山に生える。月見草と呼ばれる薬草をとってきておくれ」


 どうやら、これはタオ師匠からお使いミッションということなのだろうな。

 今まではヤオ領の街と海だけが、ボディーガードの範囲だった。


 だが、これからの三日間は、山への道のりをボディーガードしないといけないようだな。ふふ、腕がなるぜ。


「あっ、それとピリカは進化禁止だよ。山に飛んで行けてしまうからね」

「ピヨ!」

「まぁ必要だと思えば進化をすれば、いいが、極力しないで行ってきな」

「わかりました!」


 アシェが返事をして、俺の進化は封印されてしまった。


 くっ、強い魔物が現れない限りは縛りプレイということか、面白いやってやろうじゃねぇか!


 俺たちはこうして、お使いミッションに旅立つことになった。


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 あとがき


 どうも作者のイコです。


 更新が1日遅れてしまって申し訳ないです。

 どんどんプライベートが忙しくなっておりまして、ちょっと更新を二日に一度から、月曜日と木曜日に限定させていただきたいと思います。


 更新が遅くはなりますが、しっかりと更新していきますので、お付き合いいただければ嬉しく思います。


 昨日は、道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました ~おじさんとスライムのほのぼの冒険ライフ~の書籍が発売されました。


 ほのぼの癒しストーリーを楽しんでもらえるように書きましたので、もし読んでやっても良いぞという方がおられましたら、書籍や電子でご購入いただけると嬉しく思います(๑>◡<๑)


 応援をお待ちしております。

 どうぞよろしくお願いします(๑>◡<๑)

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