第74話 障害と召喚

 師匠との修行の日々は、一ヶ月をすぎてしまった。


 アシェと約束した三ヶ月の期日が、残り一ヶ月ほどになってしまった。


 授業が始まればな数ヶ月に渡って森で過ごすことはできなくなるだろう。

 アシェに協力したいと思う気持ちはもちろんある。

 だけど、師匠の修行を受けて、確実に強くなれている実感はあるのだ。


 大型の魔物を狩ることでレベルも上がってきている。


 今のように自由に修行に明け暮れる日々ができなくなるのは痛い。


『師匠、お話がありますピ』

『なんじゃ?』


 ブルブルバッファロー以外にも、フライングビッグバッドに、エンドレスブルなど、巨大な魔物や、大量発生している魔物を相手に修行を続ける日々だった。


 スキルの熟練度を上げて、どんな時でもくるいなくスキルが発動できるようになりつつある。


 俺が師匠から学んだ攻撃も実践で使えるようになった。

 師匠の修行は効果があったと思っている。


『俺は召喚獣ですピ。サモナーとの契約で、もうすぐ森を去らねばならないピ』

『ふむ、それは仕方ないのう。サモナーとの連携は、魔物に新たな力を与えてくれる。一人で修行するのとは違う成果を得られるだろう』


 師匠にもサモナーがいたのだろうか? もしも、居なくなったなら悲しいな。


『ここを去る前に師匠と一手、対戦を願えないでしょうか? それを持って召喚獣としての役目に戻りたいのです。できれば進化した状態でお願いしますっピ』


 正直、今の進化するヒヨコのままでは勝てる気がしない。

 だけど、進化した魔黒鳥としてなら勝負になるのではないかと思っている。


『ならば試験を与えよう』

『試験ですっピ?』

『そうじゃな、今のままでは勝負にならん』

「ピッ!」


 やっぱりまだ師匠には及ばないか……。


『お願いしますっピ』

『うむ。ならばついてくるがいい』


 師匠についていくと森を抜けて、岩山に戻ってくる。

 岩山から空を見上げた師匠。


『あれを落としてみよ』

『あれッピ?』


 師匠に言われて見上げてた先には、十メートルのブルブルバッファローを遥に超える巨大な鳥が空を飛んでいた。


「ピヨ?」

「ブオー」


 俺が首を傾げると、師匠がその辺にあった石を使って、巨大な鳥を撃ち落とした。


「ピヨ!!!」


 落下してくる鳥は、師匠の攻撃を受けたにも関わらず落下寸前で急浮上して上空に戻って行った。

 仲間が攻撃されたのに、全く動じることなく飛び続けている。

 

『師匠、あれは何っピ?』

『アホウドリだ』

『アホウドリっピ?』

『そうだ。あいつらはアホほどに強くて頑丈でな。アホだからいつまでも空を飛び続けている。だが、アホみたいに強いから誰も落とすことも叶わぬ』


 師匠でも一撃では落とせないほど巨大な鳥。

 アホみたいに飛んでいるだけに見えるのに強いって、どんなやつなんだよ、アホウドリ。


『できないか?』

『進化は無しですッピ?』

『当たり前じゃ。あれを進化して落としても意味はないわい』

『わかったっピ』


 俺は風の弾丸を作り出して、アホウドリ目掛けて放った。

 当たった。当たったのに全然効いていない。

 

 師匠が石を投げるよりも、風の弾丸は威力がないと言うことだ。


 おかしいだろ! かなりレベルが高くなって進化もしているのに、全く効かないってどういうことだよ!


『先は長そうじゃのう』

『くっ!』


 師匠は岩山を降りて行った。

 師匠が軽く投げた石よりも魔法の方が弱くて悔しい。


 アホウドリの性質なんて全く知らない。


 アホウドリは、アホだからその名前が付いたと言われていたはずだ。

 近くで仲間が殺されても全く気にしない。

 着地する際には、顔面から着地する。


 どこまでもアホな鳥だっていう認識だったのに、アホが故に強いって最強じゃねぇか。


 ♢


 それからの日々はアホウドリを追いかける毎日になった。


 上空を見上げては、どうやってアホウドリを倒すのか考える。

 空を飛べれば簡単に倒せそうだが、魔法でいくら攻撃してもダメージを与えられない。


 だから、風の足場を作って空を渡る方法を思いついて実行した。


「ピーーーー!!!(王者の咆哮)」


 空に跳び上がって咆哮を上げても全く相手にされない。


 レベルやランクが違いすぎる。


「ピヨピヨ」


 さて、どうしたものか? 相手にもされていないのがなんとも悲しい。


 進化をして空を飛ばない状態で、あそこに届かなければ、俺は師匠と戦うこともできない。


 師匠は軽く石を投げただけで、アホウドリは落ちかけた。


 師匠と同じことが俺にできないか? 羽で石を掴むことができないので、足の鉤爪を使って石を掴んだ。


 そのまま力を込めてアホウドリ目掛けて投げる。


「アホーーーー!!!」


 あっ! 石が当たった瞬間にアホウドリが落下していく。

 墜落寸前で、浮上して行ったが、師匠と同じ状態にまで行けた。


 もしかして、こいつら魔法は無効化できるが、小さな石を認識できないんじゃないか? やっぱりアホだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 更新のお知らせ。


 現在、執筆作品が大量になっておりまして、色々と立て込んでおります。

 ヒヨコさんは完結までは書きたいので、二日に一度の更新でペースを落とさせていただきます。


 お待ちしていただいている方々には申し訳ありませんが、コンテストが重ねっていることでWEB以外の投稿も増えて、一杯一杯で申し訳ありません。

 

 今後も更新は続けますので、どうぞお付き合いくださいませ(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

 

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