第72話
激しい修行も、巨大芋虫が取れるなら最高な環境だと言える。
巨大芋虫は、地中の奥深くに隠れているので今まで見つけることができなかったのだ。しかも、それを掘り起こすためには修行を積んで、かなり奥深くまで土を掘り返す必要があるので、俺は必死に修行を頑張れる目的ができた。
「ブオー!」
師匠の呼ぶ声の方を見れば、巨大な牛がこちらに向かってきています。
《ブルブルバッファロー、危険度☆☆☆☆》
十メートルはありそうな巨大な牛は、地龍を思わせるほどにデカい。
『今日はあれの相手をする。今のお前なら倒すこともできるが、進化は禁止じゃ』
俺は進化するヒヨコであることを告げて、進化を禁止されている。
現在の能力でどれだけ戦えるのか? それに応じて進化した際に能力を向上させられるからだ。
『わかっていますピ。だけど、あれを相手にするって倒せばイイピ?』
『そうじゃな。毎日課題を作りではあるが、今朝の訓練は終わっておるな?』
体力作りと技の熟練度を上げることを義務付けられている。
そこに師匠から攻撃を受けまくるガード強化を最近は行っていた。
だが、師匠と出会って一週間ほどが経つが、未だに反撃の糸口すら見えていない。
攻撃の速さや鋭さが凄いということもあるが、モフモフボディーはどうしても動きがしずらい。
羽毛を二倍にした状態では、体が丸々としたあの状態では動いても遅すぎて成果が出ない。
「ピーーーーーー!!!!(王者の咆哮)」
俺は咆哮をあげて、ブルブルバッファローの意識を向ける。
「ウモーーーーーーーー!!!!!!」
圧倒的な鳴き声が降り注いでくる。
全く、この森は凄い魔物がどれだけ出てくるんだ全く。
突進を掛けるように自身の周りにある土を払う仕草を見せる。
岩山も巨大な木々も関係ない突進が俺一人を倒すために放たれる。
まるで小山が動いたような激しい突進を躱しながら観察を行う。
かなり激しい突進ではあるが、師匠の蹴りやパンチに比べれば怖くないと思えるようになってきた。
モフモフガードを発動して、回避行動を取りながらゴロゴロと丸まりながら転がって避けることもできる。
「ピヨ!」
どうやら一度突進行動に入ると、突撃をかけて勢いを殺すまでは止まることができないようだ。
だけど、逆に勢いがある間はどこまでも突進していけるようだから、タイミング的には、勢いを殺して止まる時。
もしくは突進準備に入った時がスキがありそうだ。
「ピヨ」
よし、やるか。
タイミングを測るためにも、まずは突進の時。
もしも、失敗してもモフモフガードでコロコロしながらガードをすればダメージを蓄積させなければ防げる。
「ピーーーーーー!!!(王者の咆哮)」
先ほどと同じように、咆哮を上げると突進を行う姿勢を取る。
相手もこちらの動きを見定めるために、狙いをじっくりと定めているようだ。
なら、こっちはそのスキを習わせてもらう。
風魔法で遠距離攻撃を行う弾丸を作り出す。
魔法のイメージを強く持って、ブルブルバッファローの突進する目玉を狙って放つ。
「ピーーーーー!!!!」
放った瞬間に気づいた。
「ブモーーーーーー!!!!!」
突進する瞬間は目を閉じてやがる。
頭を下げて、角を突き出して全てを薙ぎ払う。
逃げるのが遅れた。
なんとかモフモフガードでクッションを作って防いだが、一撃でかなりのダメージを負った。
危険度が高い魔物はやっぱり簡単には倒させてはくれないな。
師匠ならどうする? 師匠なら、走っているブルブルバッファローでも横から蹴り倒しそうだ。
そこまでの脚力が俺にあるのか? 敵にダメージを与えるイメージを持て!
結局、魔法に頼って失敗した。
それに待っているだけでいいのか?
「ピヨピヨ」
やってやるよ!
魔法は防御だけに使う。
モフモフガードも使わない。
あの巨体を近接攻撃だけで倒す。
「ピーーーーーー!!!(王者の咆哮)」
三度目の正直だ。
相手が突進行動に入る。
こちらが大したことのない相手だと認識してくれたのか、先ほどよりも突進行動が雑になっている。
俺は奴が突進を開始すると同時に、風で防御壁を作り出した。
モフモフガードを解除して、相手の突進に備える。
「ブモーーーーーーー!!!!」
突進を開始した奴の横に飛んで、鉤爪を発動する。
イメージは岩を砕くほどの威力を込める。
「ピーヨ!!!」
思いっきりクリティカルヒットした鉤爪は、巨大な爪痕を残して、ブルブルバッファローを吹き飛ばした。
「ピヨ!!!」
自分で放った一撃だったが、まさかの威力に驚いてしまう。
「ブオー」
師匠にまだだと声をかけられる。
確かに、ブルブルバッファローは俺の攻撃を受けても踏みとどまっている。
甘かった。あれだけの巨体なんだ。耐久力も高い。
追撃をしなかったために、相手の体制を整えさせてしまった。
だけど、もう一度同じことをやる。
カンフーカンガルー師匠は、何度も熟練度を上げることを重視していた。
なら、今回のも一回当たりではダメなんだ。
これを毎回できるようになる。
それが、この練習なんだろう。
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