第56話 レベル上げ

 ハエに出会ったことで、森の危険度が高いことを改めて思い知らされる。


 ここはやっぱり危険な魔物たちが集まる森なんだ。

 レベルが上がって、進化をしたからって世界には上には上がいる。

 学園長が従えるブルードラゴンですら、全く勝てる気がしない。


『兄貴』

『どうしたっピ?』

『頼む! ワシを強くしてくれ! もう、兄貴の足手纏いになるのは嫌や。ワシだって、あんな化け物と戦っても怯まん男になりたいんや! 頼んます! なんでもします!』


 俺だけじゃない。

 

 ハエとの戦いは、ワッシーにも森で生きるということを知らせてくれたんだ。


『もちろんだピ。上がどれほど遠いのかわからないが、この森で生きる物として強くなれるところまでなろうっピ』

『ありがとうございます! 絶対に強くなってやります』


 俺たちはちょっと危険な相手でも、《神の声》さんに協力してもらって、自分たちの実力に近い物たちばかりを狙って戦いを挑んだ。

 あのハエは、俺が進化してもやっと同等になれるレベルだった。


 だが、それも幼体でだ。


 成体になった時は、もしかしたら学園長のブルードラゴン並みに手がつけられない存在になるかもしれない。


『おっ、おお! レベルが上がって、進化できるようになったで?!』

『相談しても、自分で、決めてもどっちでもいい。お前の人生っピ』

『今回は相談にのって欲しい! 頼んます!』

『わかったっピ』


《ノーマルなトカゲはレベルがMAXになりました》

《進化条件を満たしました》


 種族:ノーマルなトカゲ

 称号:人の心を持つトカゲ

 状態:生後一ヶ月週間

 レベル:30/30


《進化先を表示しますか?》


 ♢♢♢♢♢


《進化》


 ・スーパーなトカゲ

 ・リザードマン

 ・ドラゴンもどき


 ♢♢♢♢♢


《現在》


 ・ノーマルなトカゲ


 ♢♢♢♢♢

 

《進化の詳細を見ますか?》


 ・スーパーなトカゲ


 スーパーなトカゲは高級な薬の材料として取引されている。

 ノーマルなトカゲよりも大きく、1メートルほどの身長だった体が、1.5メートルの身長に成長して干した体は最高な薬の材料として使われる


 トカゲって薬の材料になるんだな。

 俺が食材と言われていたと同じで、狙われる存在なのかもな。


 通常スキル:《頭突きレベル2》、《土魔法レベル3》

 耐性スキル:《打撃耐性》、《斬撃耐性》、《重力耐性》


 第一候補になるんだろうな。

 まぁ耐性スキルが手に入るから、俺のスーパーなヒヨコみたいで悪くないようにも思える。


 次の進化先を教えてもらう


 ・リザードマン


 人の形を真似たトカゲの魔物。

 二足歩行ができるように武器を持つことができるようになる。

 他の進化に比べて全体的な能力が低下して、その後の進化はリザードマン系に限定される。


 通常スキル:《武器装備レベル1》、《防具装備レベル1》、《硬化》

 特殊スキル:《仲間と同調》


 トカゲとは別の存在であるが、器用さが上がって人に近くなるリザードマンはありだな。


・ドラゴンもどき


 ドラゴンの鱗が体に生えて、ドラゴンへ進化する道を歩む。

 だが、通常のドラゴンとは異なるために、別種の存在と進化していく。

 もどきは、所詮もどき。


 通常スキル:《ドラゴンのブレス風レベル1》、《ドラゴンの鉤爪レベル1》

 特殊スキル:《ドラゴンの咆哮風レベル1》


 これはない! 絶対になってはいけないハズレ進化だ。


♢♢♢♢♢


 種族:ノーマルなトカゲ

 称号:竜王を目指すトカゲ

 状態:健康

 レベル:30/30

 H P:1000/854

 M P:200/320

 攻撃力:200

 防御力:100

 魔法力:300

 魔法防御力:200

 素早さ:100

 魅 力:10


 特殊スキル:《神の声:レベル1》、《ステータス閲覧:レベル1》、《念話》

 通常スキル:《鳴く(王者の咆哮、威圧を含む):レベル1》、《舌で掴む:レベル2》、《土魔法:レベル1》、《水魔法:レベル1》

 耐性スキル:《恐怖耐性》

 称号スキル:《竜王の眷属:レベル001》、《スベスベボディーレベルMAX》


『兄貴、どない思います?』

『スーパーなトカゲか、リザードマンの二択だろうピ』

『やっぱりそうだよな。ワシもそう思っててん。おおきに最後は自分で決めますよって』

『ああ、進化する時は、守るから言ってくれっピ』

『おおきに!』


 俺たちは狩りをしながら、落ち着ける場所を探して、食料と水を集めた。

 シルは俺が進化をする時は、こうやって色々と用意してくれていたんだろうな。


 帰ったら、シルに感謝の言葉をかけないとな。


 人の世話をするようになって初めてわかることもあるもんだ。


『兄貴、ワシは決めたで』

『そうピ』

『何にするのか聞かんのか?』

『自分で決めたならいいピ、進化した後で見させてもらうピ』

『おう! 待っといてくれ! 絶対兄貴の役に立って見せるからな』


 意気揚々と進化を開始する

 

 ワッシーは進化を開始すると、卵へと変わったかと思えば、今度は自分の皮膚を破るように脱皮を始める。


 それぞれの進化の形があるが、シルの時は寝ているだけだった。


 俺はのたうち回るとアシェが言っていたが、ワッシーは脱皮だったか。


 ワッシーを守るように、脱皮が終わるのを待った。

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