第46話 いざ、決勝大会

 光が差し込んできて、朦朧としていた意識が明確になっていく。

 痛みで苦しんだのが嘘のように全身から痛みが引いて、体に力が漲っていく。

 

 もう痛みとか、骨とか、よくわかない状態は全て終わったんだ。

 

《七日七晩にて、全ての進化を終えます》


 大きく息を吐いて目を開く。

 

「ピヨ」


 腹減ったな〜。

 巨大イモムシ食べたい。


「ピリカ!!!」


 いつもなら誰もいないので、油断していた。

 アシェがギュッと俺を抱きしめていた。


「ピヨ?」

「ピヨじゃないよ! 大変だったんだからね。それに凄くいたそうで!!!」


 涙目で俺を見下ろすアシェは凄く疲れた顔をしていた。

 シルもそうだが、俺が進化して苦しんでいる時は色々と迷惑をかけるんだろうな。


 しばらくアシェがお怒りモードで、俺が誘拐されそうになったとか色々と話をしてくれた。

 そんなアホなことをする奴がいるんだと思ったが、迷惑をかけたようだ。


「今度進化するときはちゃんと教えてね!」

「ピヨ!」


 俺はアシェとの約束をしてなんとか許してもらうことができた。


 ♢♢♢♢♢


 種族:ヤミなヒヨコ

 称号:召喚獣、空王を目指すヒヨコ

 状態:飢餓、

 レベル:1/75

 H P:10000/100000

 M P:50000/80000

 攻撃力:15000

 防御力:10000

 魔法力:15000

 魔法防御力:10000

 素早さ:5000

 魅 力:2000


 特殊スキル:

《神の声:レベル3》、《ステータス閲覧:レベル2》、《大器晩成》、《愛嬌》、《念話》、《恐怖付与レベル2》、《威圧》、《残虐性レベル1》


 通常スキル:

《鳴く(王者の咆哮、威圧を含む):レベル4》、《突く:レベル4》、《毒の嘴レベル1》、《風魔法:レベル4》、《水魔法:レベル3》、《闇魔法レベル3》、《毒魔法レベル3》、《鉤爪レベル1》、《毒の鉤爪レベル2》、《モフモフボディーガード:レベル2》、《硬化》


 耐性スキル:

《打撃耐性:レベル2》《斬撃耐性:レベル3》《重力耐性:レベル5》、《恐怖耐性:レベル3》、《火属性耐性:レベル5》《精神耐性:レベル3》、《毒耐性:レベル3》、《闇耐性:レベル3》、《氷耐性レベル1》、《風耐性レベル1》

 

 称号スキル:《空王の眷属:レベル020》、《魔に染まりし者:レベル3》、《モフモフボディー:レベルMAX》

 

 恩恵:瀕死の踏ん張り。


 ♢♢♢♢♢


 改めて全体的に能力の底上げができたと思う。


 劇的に十倍ほど強くなるような発展はなかったが、それでもダークなヒヨコの時よりも強くなった。


 俺は一度森に帰りたいと思ったが、流石に学園に通っている間は無理そうだ。

 進化を行ってから、アシェがベッタリひっついて、離してくれなかったのもある。


「ピリカは、無茶ばかりするんだから。今は進化したからダークなヒヨコなの?」

「ピヨ?」

 

 その辺をどうやって伝えればいいのか、俺にはわからない。


 ただ、前よりも強くなって腹が減ったので、お腹を鳴らして、食事を所望する。


「ふふ、お腹空いたんだね。私もだよ」


 アシェと一緒に食事をして、今までの三倍ぐらい食べた。

 虫があれば一番良かったけど、魚で補う。


 パリパリに焼かれたサメに似た巨大魚を荒ぶるように食べ尽くした。

 

 相変わらず自分の体よりも大きな物でも食べられるのは不思議だけど、いくらでも食べられるような気がする。


 三匹も食べ終えたところで、お腹がいっぱいになった。


 誰かが胃袋は宇宙だといっていたが、その通りだと思う。


「ピヨピヨ」

「ふふ、いっぱい食べたね。さぁピリカ、決勝大会のために最後の準備だよ」

「ピヨ!」


 進化を終えた、腹もいっぱいになった。


 だから、軽い運動をするとしますか?


「実は、予選で戦ったバッシュ君とコロンちゃんが模擬戦をしてくれるって言ってくれたんだ。だから、決勝大会前に、ピリカの力試しをしようよ」


 ああ、いいぜ。


 腹も満たされて、今の俺は充実しているからな。


 どんな相手でも相手にしてやるよ。


 アシェの友人たちに模擬戦をしてもらう。

 前回は地形の影響で左右された戦いも、フィールドを変えれば、また結果は変わるかもしれない。模擬戦とはそういう意味で様々な戦術や戦略を変えてくれる場所だ。


「最初は俺からだ」

「お願いします! バッシュ君」

「おう!」


 リトルドラゴンを相手に、力比べをしても引けを取らない。

 魔法なしでどこまでやれるかと思ったが、進化したことで圧倒的な差ができてしまっている。


「次は私だよ」

「コロンちゃんもお願いします」


 ソリタリーウルフに乗った少女に水責めをしたのは記憶が新しい。

 だけど、速度も人獣一体にならなくても余裕で対処できてしまう。


「ニャオ」

「僭越ながら、模擬戦ならば、シルちゃんもお手伝いできると思います」


 シルと戦うのは初めてだ。


 速度は、ソリタリーウルフよりも早く、

 力はないが、手数はリトルドラゴンよりも多くて鋭い。


 シルの攻撃を掻い潜りながら、リトルドラゴン、ソリタリーウルフの二体を相手にしても今の俺は十分に戦える。


「イケー!!! ピリカ!!!」

「ピヨーーーー!!!」


 俺は三人を倒すために大量の水でフィールドの外に弾き飛ばした。


 もしも毒を使っていたら、三体を殺せてしまう。


 それぐらいの差が出来上がっていた。


「これなら、本番も勝てそうだね」

「俺たちが協力してんだ。負けんなよ」

「応援している。アシェ」

「ふふふ、アシェちゃんとピリカちゃんのコンビは強くなりましたね。がんばってください」

「みんなありがとう。私、頑張るからね!」


 アシェが激励をもらって、俺たちは決勝大会に挑む!

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