第38話 サモナー大会のルール

 サモナー大会では、召喚獣には危険度ランクが認定されています。

 ですが、召喚した際にはレベルが一定で固定されているため、一年目を終えたルーキー枠は、召喚獣の危険度ランクを考慮しません。


 ビギナー枠になった際には、危険度ランクに合わせた階級制度を設けている処置です。


 ・ルーキー枠

 ・ビギナーライト級

 ・ビギナーヘビー級

 ・エキスパート級(無差別級)


 の四つで大会が行われます。


 ルーキーとビギナーでは、大きな違いがあります。

 それはサモナーとしての経験値に差があると判断して、クラス分けを行っているため召喚獣の有無では判断されていません。

 

 そのためルーキーの中で、一対一の戦闘に向かないと判断する者の参加は強制ではありません。

 ただルーキー、ビギナー、エキスパートで優勝した者には学園側から、豪華な商品がプレゼントされます。


 サモナー大会ルール


 1、サモナーと召喚獣を二体一対として、一対一のマッチ形式で戦います。

 2、大会参加者は、学園側が指定したフィールドで、審判をつけてサモナーバトルを開始します。審判がいないサモナーバトルは公式としては認められません。

 3、開始時間が定められたら速やかにフィールドに移動してください。5分以上の遅刻、欠席した場合は敗北とします。

 4、勝敗はどちらかが敗北を宣言するか、召喚獣が動けなくなったところで敗北です。

 5、サモナーへの攻撃が故意に行われた場合は危険行為として反則をとる場合があります。

 6、外部の者が乱入した場合は中止として再試合になります。

 7、外部の者が横からサモナー、もしくは召喚獣に対して攻撃した場合は、厳正なる審判の裁量で反則行為か判断をして勝敗を決する。

 8、それでもサモナーが危険が及ぶ可能性がある戦いである以上、全ての怪我や死傷した場合は、自己責任となり学園は全ての責任を負いかねる場合がある。


 ♢ 

 

《sideアシェ》


「以上が大会のルールですわ」

「ありがとう。オリヴィアちゃん」

「どういたしましてですわ。今回、わたくしは参加しませんので、アシェちゃんの全面サポーターとして、マネージングさせていただきます」


 オリヴィアちゃんが色々と詳しいルールを調べてくれて教えてくれる。

 他にも対戦相手のこととか、私たちのレベルとの差を調べてきてくれました。


 オリヴィアちゃんは楽しそうにしているので、いいのかな?


「ピリカ」


 部屋に帰った私をピリカが出迎えてくれる。

 ピリカはいつも私を待っていてくれて、部屋に入るとモフモフのピリカを抱きしめる。


「ピヨ!」

「私はね。たくさん夢があるんだけど、お父さんと同じサモナーマスターになりたいんだ」


 ピリカが不思議そうな顔をして私を見ている。


「サモナーマスターは、召喚獣と共にサモナーも強くなって、たくさんの人から認められる存在なんだよ」

「ピヨ」

「だから、ピリカも一緒に強くなろ」

「ピヨピヨ!」


 ピリカがギュッと私を抱きしめてくれる。

 初めてあった頃から2年がたった。


 ピリカは見た目も魔法も凄く強くなっている。

 私はまだまだピリカの魔法を少しだけ使えるようになっただけだ。

 

 今の私はピリカを強化してあげることしかできない。

 ただ、魔力をピリカに渡しているだけ。

 まだまだ、ピリカに頼りきりだから私もいっぱい頑張らないといけない。


「ねぇ、ピリカ。私は強くなれるかな?」


 不安になることがある。

 ピリカの邪魔をしているんじゃないかな? オリヴィアちゃんみたいに頭も良くない。

 

 取り柄は魔力が多いことと、元気で健康な体だけ。


「ピヨピヨ」

「えっ?」


 落ち込んでしまう私にピリカが優しく背中に乗せてくれる。

 そのまま窓際に行って外を見せてくれる。


「ピヨピヨピヨ」

「うん。外は広いね。空も綺麗。そうだね。クヨクヨしても仕方ないよね」


 ピリカが私を励ますために、声をかけてくれる。


「はは、新しいことをする時って不安になるよね。ごめんね。私が弱気になっていたみたい」

「ピヨ!」


 ピリカが私を乗せたまま、外へと出ていく。

 しばらく風に当たるように走り出して、学園の中を駆け抜けていく。

 まだまだ寒いけど、ピリカの羽毛が暖かくて、モフモフに包まれているのが凄く幸せ。


 気持ちよく風を切ってくれて、私の気持ちも晴れていく。


「ありがとう。ピリカ」


 夕日が綺麗に見える小山の上でピリカが止まる。


「ピリカは走るのも早いね。ハァ〜息するのも辛かったよ。ピリカのモフモフで寒くはないけど。だけど、ピリカの上に乗って走るって、こんなに気持ち良いんだね。悩みなんて忘れちゃった。もう弱気なことは言わない。明日からピリカと一緒に頑張ってサモナーマスターになるからね」


 私はピリカの首にギュッと抱きついた。


 お日様のような温かい匂いがして、ピリカが日向ぼっこしていたのが伝わってくる。


「ピヨピヨ」

「うん。ピリカがいれば大丈夫だね」


 私は今日のことを絶対に忘れない。

 ピリカと私の二人で決意したんだ。


 夜はピリカと一緒に眠りについた。

 

 

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