ダンジョン攻略編
第36話 ダンジョンとは?
実家でゆっくりした俺たちは学園へと戻って、新たな一年を始めようとしていた。
ピリカはカリキュラムが変更されて、午前は今まで通りに一般教養の授業と、世界のことわりを知る歴史の授業を受けることになる。
だが、午後からは召喚獣と共に、訓練をする時間が設けられるようになった。
「ピリカ、ダンジョンってどういうものかわかっている?」
「ピヨ?」
魔物が出現する迷宮ではないのか?
「学園にあるのは人工ダンジョンって言われているんだけど、ダンジョンは魔力が溜まるところなら、どこにでもできてしまうんだよ。聖なる獣様たちが領地争いをしているとも言われているんだ。凄く有名なのは、海底神殿に、空飛ぶ島。それにドラゴンの峡谷かな?」
アシェは授業で習ったことを教えてくれているだけだが、俺としてはワクワクしてくる気持ちがある。
なんだよ海底神殿って、それに空飛ぶ島って、空の王が支配してそうじゃねぇか。
俺が目指すべき頂点なんじゃないのか?
「ピヨー!!!」
燃えてきたぜ。
「ふふふ、ピリカも楽しそうで何よりだよ。そのために午後から訓練とダンジョン攻略をしないとね」
ああ、ゴーレムを倒したおかげで大分レベルを上げることができた。
もうすぐで進化に到達できるレベルに達する。
あの苦しみは辛いが、それでもここが安全な場所である以上は、進化をしておきたい。
「次のダンジョンは中級ダンジョンだよ」
「ピヨ?」
「どんなところかって? うーん、初級ダンジョンが三つあるのはピリカも知っているよね?」
「ピヨ」
ああ、ゴーレム、ゴブリン、スライムの三つが初級ダンジョンとして用意されていた。シルが、スライムやゴブリンに触りたくないということで、俺たちはゴーレムダンジョンを選んだが、他の生徒はゴーレムは一番タフなダンジョンだから避けている子も多いそうだ。
「私たちが攻略したゴーレム。他にはゴブリンと、スライムだね。ゴブリンは数や種類が多くて、一フロアだけでも攻略が難しいみたい。スライムは特殊個体が多くてこっちも苦戦している子が多いよ」
なるほどな。ゴーレムは環境に合わせて適応したゴーレムたちが多かった。
環境変化に対応するゴーレム。
個体変化で対応するスライム。
複数で対応するゴブリン。
それぞれが初心者ダンジョンの中でも課題を設けられているというわけか、シルが選んでくれたゴーレムが俺たちとの相性が良かったというだけかもしれないな。
「中級では、さらに難しくなるから、初級に戻って他のダンジョンを攻略してもいい。だから、中級に挑んで難しければ、レベルを上げるために戻るつもり」
「ピヨ!」
オリヴィアちゃんたちと合流した俺たちは、中級ダンジョンの入り口にやってきた。
「お待たせしましたぁ〜アシェちゃん」
「全然待ってないよ。オリヴィアちゃん。今日から新しいダンジョンだからね。ピリカに説明していたところなんだ」
「そうだったんですね。今日も潜るダンジョンは、コボルトダンジョンですね」
「うん。ゴブリンよりも群れで行動する事が多くて、危険度が高くなる」
この世界でいうコボルトは狼男のような風貌をしている。
獣人とは違う種族だそうで、魔物の一種に属しいている。
犬の顔と全身毛だらけの体。
さらに、二足歩行で武器を持って戦う事ができる。
ただ、あまり強くはないので、群れで行動してくる。
ゴブリンは小鬼で力も弱いが、コボルトは噛みつきや引っ掻きなど、攻撃手段も多彩でゴブリンよりも厄介だ。
同じ犬人系のワーウルフなどは、聖なる獣一体であるフェンリル様に似ているので、好まれるが、コボルトは嫌われている事が多い。
俺も見たことはないが、そんなにも嫌われる見た目をしているのだろうか?
「それじゃコボルトのダンジョンいくよ〜」
「はい! 頑張りましょうね」
「ニャオ」
「ピヨピヨ」
俺たちは中級ダンジョンであるコボルトダンジョンへ入っていく。
どのダンジョンも地下へと続くような洞窟形式は変わらないので、入り口にはゴーレムが立っている。
アシェがゴーレムに生徒手帳を見せて、初級ダンジョンを攻略した証明をする。
そうしなければ、中級ダンジョンには入れなかったそうだ。
「中級ダンジョンの一階は、初級ダンジョンの下層ぐらい大変だって言っていたから、気をつけるんだよ」
「ピヨ!」
アシェに忠告されて、俺は警戒を持って先頭を歩く。一番最後にはシルが全体を見ながらついてきている。
今は鈴を外しているので、アシェから力はしっかり伝わってくる。
アシェたちサモナーも訓練することで、召喚して力を与えられるだけではなく、様々な事ができるようになる。
その一つとして、召喚獣の能力の一端を使う事ができるようになる。
「コボルトです!」
「風よ!」
そう、俺が使える魔法の一部をアシェも使えるようになる。
「アシェちゃんやりましたね!」
「うん。訓練で何度か練習した甲斐があったよ」
そう、彼女たちも戦える。
だけど、それは援護に留めておいてほしい。
そうしなければ、狙われてしまった時に危険だからだ。
俺は素早く残ったコボルトを排除する。
一体のコボルトを倒すことは容易い。
同時に三体のコボルトが出てきた。
しかも、見た目は二メートルを超える巨大で獰猛な狼だ。
気持ち悪いというよりも怖いと思わせるのに十分な魔物に見える。
「ありがとう、ピリカ」
「ピヨ」
「さぁ、どんどんいくよ!」
俺たちは中級ダンジョンの攻略を開始する。
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