第34話 冒険は急に 終
地下十階層に入ると同時に砂の城はサンドゴーレムへと変貌を遂げて、巨大なゴーレムが誕生する。
「うわ〜大きいね」
「本当ですね。小さなお屋敷ぐらいはありましたからね」
「え〜! 私にはお城に見えたよ」
俺にもお城に見えたぞ。
あれだな。オリヴィアちゃんは貴族だから価値観が違うんだろうな。
「そうですか? 私のお屋敷よりも小さかったです」
「オリヴィアちゃんのお屋敷ってすごく大きいんだね」
「お父様とお母様が頑張って働いてくれているからですわ。今度アシェちゃんを紹介したいので、ぜひ遊びにきてくださいませ」
「うん。気が引けるけどお邪魔させてもらうね」
そんなのんびりとした会話をしている横で、俺とシルはあの巨体などうやって攻略するのか作戦を考えていた。
『どうやって倒すピ?』
『とりあえずあれだけ大きいから、ぶっ叩けば良いニャ』
『それしかないピ』
俺たちはあなの巨大な砂の怪物を倒すために攻撃を開始する。
しかし、砂嵐を巻き起こして熱風が吹きあられる砂漠地帯は、相手のテリトリーであり、いくらこちらが攻撃を仕掛けようと、上手く相手に当てることができない。
「ピリカたちも苦戦してるね。私たちにできることはないかな?」
「そうですわね。砂と言えば、水なので、オアシスなどがあれば良いのですが、この砂漠地帯にそんなものは……、アシェちゃん。あれは?」
「えっ?」
アシェとオリヴィアちゃんが俺たちを助けるために何かしようとしてくれているが、彼女たちに構っている余裕がない。
「ピリカ待っててね! 私にもできることをするから」
「ピヨ?」
アシェの声に振り返れば、サンドゴーレムの右側へオリヴィアちゃんと回り込もうとしていた。
あんなところで何をしているんだ?
目を凝らしてみるが、二人が向かう場所には何もない。
むしろ、砂嵐の影響が強くて危ない位置に見える。
「ピーーーーーー!!!!」
俺は警告を伝えるために、シルとアシェたちに鳴き声をあげて知らせる。
同時に、自分のほうにサンドゴーレムボスの意識を向ける。
どうやらシルが俺の意図を理解してくれて、二人へ向かって走り出す。
それを狙っていたのか、サンドゴーレムボスが砂嵐を激しくしてシルの行手を阻もうとしていた。
どうやら、最初から狙いはアシェたちだったようだ。
何かで、彼女たちを誘い。
襲うつもりだ。
「ピヨ!」
魔力全部使ってもいい。
お前みたいな奴は絶対に許さない。
俺はできるだけ大量の水魔法を使ってフロア全体を水没させる勢いで水を放ち続ける。
「うおおおおおお!!!!」
俺の水魔法に対して唸り声をあげるサンドゴーレムボス。
どうやら、砂にも水が弱点だというのは間違っていないようだ。
泥水になればなるほど、奴の動きは遅くなっていく。
先ほどまで吹き荒れていた砂嵐も、空気中の水分が多くなると次第に砂嵐が収まっていく。
俺の魔法と奴の砂嵐。
どっちが魔力を放出し続けられるかが勝負になる。
アシェたちの方を見れば、どうやらサンドゴーレムの横にはオアシスがあったようだ。そこにある水を使って何かをしようとしてくれていた。
二人も俺たちばかりに任せるのではなく、戦ってくれているんだ。
ならば、主人を守るのが召喚獣の努め。
俺は全力サポートする。
二人が、そして、シルが止めを刺してくれれば問題ない。
「ピーーーーーーーーーヨ!!!」
気合いは十分だ。
こいよ! サンドゴーレムボスさんよ。
お前の砂と、俺の水。
どっちが強いか勝負だ。
属性はこっちが有利だからな。
お前が水に埋もれるまで出し続けてやるよ!!!」
♢
《sideアシェ》
私たちがたどり着いたオアシスには、このフロア唯一の水源で、思っていた以上の大きさをしていた。
「ここまできたのは良いですが、どうやって援護するんですか?」
「それは……」
「ニャオ!」
「あっ! シルちゃん。そうだよ。シルちゃんに、このオアシスの水を全て重力の魔法で軽くしてもらって、サンドゴーレムにぶつけよう」
「えええ!!! 凄く大胆ですね」
私たちがここに向かうためにピリカが凄く頑張ってくれている。
サンドゴーレムはピリカたちがここに来るのを嫌がっていた。
多分、ここはサンドゴーレムの弱点なんだ。
「今、ピリカが頑張ってくれているでしょ? だからこちらから援護射撃をして、隙ができるなら、ピリカが、無理なら私たちの魔法で」
「わかりましたわ。大した魔法は使えませんが、二人を信じますわ」
オリヴィアちゃんがシルちゃんに作戦を伝えて、オアシスの水を持ち上げて、横から高速噴射を開始する。
ピリカによって弱っていたサンドゴーレムが、シルちゃんの攻撃でダメージを受け始める。
「効いてるよ!」
「ええ、ええ。上手く行っていますわ! シルちゃん。サンドゴーレムを倒せるかしら?」
砂の牙城が崩れたサンドゴーレムをシルちゃんが光の魔法でを魔石を撃った。
正面から、ピリカが、横からシルちゃんが!
私たちはそれを助けるために魔力を注ぎ続ける。
「「いけーーーー!!!!」
「ニャオーーーン!!!!」
私たちの声とシルちゃんの声が重なって、サンドゴーレムが完全に崩れ去った。
「やりまたわ!」
「うん! オリヴィアちゃんやったね!」
私たちは手を繋いで、喜びを分かち合った。
こうして私たちゴーレムダンジョンを攻略するのに成功した!!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき。
どうも作者のイコです。
実は昨日からインフルエンザになりました。
39度の高熱が出ております。
体調が悪く頭が働かないので、本日はいつも以上に誤字が多いかもしれません。
体調が戻り次第、修正しますでの、どうか誤字報告のご協力をお願いします(^◇^;)
『作者を元気づけるために☆が欲しいピ』
『♡もいっぱいくれニャ! 今年はありがとうニャ!』
『また来年もよろしくお願いしますしますピ!」
読者方には、今年もたくさんの作品を読んでいただきありがとうございます。
長編を一作完結させたり、いくつか完結作品もありますので、年末年始の暇つぶしに一読していただくと嬉しく思います。
本年はありがとうございました。
まら、来年もよろしくお願いします。
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