第28話 召喚獣登録

《sideアシェ》


 いよいよピリカと一緒にサモナー学園の授業が始まる。

 学園の敷地内にいる間はピリカとずっと一緒にいられるのが、凄く嬉しい。


 ピリカは出会った時からモフモフで私の癒しだったけど、召喚するたびに魔力を必要としていた。

 授業を聞いて知ったことだけど、召喚獣には等級というものが存在する。


 一番弱いのは、生まれたとての召喚獣は魔物ランク1。

 一番強いのは、災害級や厄災級と呼ばれる召喚獣で、ランク10


 つまり、1〜10の等級が召喚して登録すると行われる。

 

 これは人を害するほどの脅威度や、魔物同士の強さなどによってランク付けがされて、召喚された魔物は国に登録されて、その後の進化についても研究が行われている。


「ピリカは、ランク3だったよ。凄いね!」

「ピヨ?」


 ピリカの現在の種族はダークなヒヨコと言われていて、食用食材として有名な鳥系魔物に属している。

 つまり、伝説の聖なる獣様の一人であるフェニックス様の眷属になる。


 進化の仕方によっては、人を乗せて空を飛ぶような火の鳥など、どんな進化をするのか未知数な魔物の一体として記録されていた。


「ピヨピヨ」

「うん? シルちゃん?」


 友人であるオリヴィアちゃんの召喚獣はシルバーキャットと言われる種族の進化系で、二足歩行で歩くことができる綺麗な猫ちゃんだ。


「シルちゃんもランクは3でしたよ」

「ピリカと同じだね。二人とも可愛くて強いって凄いね」


 私たちが喜んでいると、どよめきが起きた。


「うわ〜、スゲー! あっちでランク5の魔物が召喚獣で歩いているらしいぞ」


 他のクラスメイトたちの声に導かれるように視線を向ければ、そこにはドラゴン族に属するサーベルサーペントを連れた男の子が歩いてくる。


 鋭い牙が特徴的なサーベルサーペントは、危険な魔物として出会ったら逃げなければいけない魔物だ。

 鋭い牙だけでなく毒の魔法と、水の魔法を得意としていて、他の魔物を丸呑みにできてしまうほどの大きな体を持っているのが特徴なのだ。


「なんだか怖いですね」

「うん。あんまり関わらないようにしないとね」


 私はオリヴィアちゃんと他にも強い魔物がいないか見学する。

 他にもビッグベアーやウルフなどが多くいて、珍しい魔物でいえば、ドラゴン族の一種で海に生息するクロコダイル。可愛い魚が宙に浮いているのも見た。


 魔物は本当に多種多様で、私たちは、ここに集まった人たちと一緒に勉強をしていくんだ。



《sideピリカ》

 

 学園内ではアシェと共に歩くことができるのは嬉しい。

 だが、学園内には大量の魔物が生息していて、サモナーの制御はどこまでが可能なのか不安になってくる。


 そんな時に現れたサーベルサーペントは異常な雰囲気を醸し出していた。

 まるで、弱い魔物を物色するようにキョロキョロと辺りを見て喜んでいるようだ。


 サモナーの少年は強い魔物を連れて自慢げにしているが、あれは危険な存在だ。

 俺もダークなヒヨコとして、魔に落ちたからわかるが、あれは同類だ。

 

 しかも俺のように必要にかられて進化したんじゃない。

 自分から望んで魔に染まった奴だとわかってしまう。

 それは巨大ヌードデバラットと初めて出会った時のような恐怖を感じる。


 だが、あの時ほどの絶望は感じない。


「シャー」


 舌をチロチロと出して、弱そうな魔物を威嚇している。


《サーベルサーペント危険度☆☆☆☆です。地龍と同等ぐらいで、あれ以上の進化は望めない個体になります》


《神の声》さんの言葉である確信を持つ。


 あのサーベルサーペントは弱い。


 いや、今は俺よりも強いが、弱い者いじめをするために早く進化して、自分より弱い魔物を餌として考えているような奴だろう。


「ニャオ」


 俺の横でシルも同じような考えを持ったようだ。

 森に帰れないからレベルを上げることできないが、あいつには絶対に負けたくない。


 もしも戦うことがあったら、絶対に負けてやらねぇ。


「ピリカ、そろそろ行こう。次は授業だから急がないと」

「ピヨ!」


 サモナーの授業は大きな講堂を三つに分けて魔物を連れて行われる。

 魔物を従わせる訓練も兼ねているので、知能の低い魔物は暴れることもある。


 だが、各教室には教官が三名はいて、その横には強そうな魔物が付き従っている。


「初めまして、みなさん。本日の授業を担当します。マクシミリアンです。私の相棒のムーは、鳥族のヨルノゾクと呼ばれる種族です。賢い魔物ではありますが、強さもありますので、あまり言うことを聞かないと食べられてしまいますからね」


 シャレになってない。


 マジで強い!


 あのつぶらな瞳で、こちらを睨みつける視線は、「おう、ガキども。主人の言うこと聞かんかったら殺すからのう」と言っているように見える。


「は〜い」


 アシェたちが素直に話を聞いているからいいが、反抗的な態度を取ったらどうなるのか、心配になるな。

 

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 あとがき


 どうも作者のイコです。

 いつも読んでいただきありがとうございます。

 読者の皆様に支えられて、ここまで投稿することができました。

 本当にありがとうございます。


 色々と宣伝します。


 現在、カクヨムコンテスト用に三本の新作をあげております。


《ヒヨコの大冒険、モフモフボディーで成り上がり》

《ギャルゲーのNTR悪役転生は色々やらかした後だった。》

《悪徳商人は破滅して、再起をするために奴隷少女を利用する。》


 年末年始のお時間ある際に、暇つぶし程度に読んで応援いただければ嬉しく思います。


【書籍化情報】


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 二巻は一月には全国の書店に発送されますが、現在はAmazonや楽天での購入が可能です。

 

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