第24話 進化3
《ハイパーなヒヨコはレベルがMAXになりました》
《進化条件を満たしました》
種族:ハイパーなヒヨコ
称号:召喚獣、人の心を持つヒヨコ
状態:生後一ヶ月半
レベル:30/30
《進化先を表示しますか?》
《神の声》さん、よろしくお願いします。進化先を教えてください!
♢♢♢♢♢
《進化》
・ウルトラなヒヨコ
・キングなヒヨコ
・ダークなヒヨコ
♢♢♢♢♢
《現在》
・ハイパーなヒヨコ
♢♢♢♢♢
今回は全てがヒヨコだ。
だが、ヒヨコの前についている言葉が違う。
《進化の詳細を見ますか?》
お願いします。
ウルトラなヒヨコ
・超スーパーレア食材!!! 多種族にとって目にするだけで食べたいと欲求を強めてしまう。
見た目にはスーパーなヒヨコと変わらないので、見つけるのが難しい。
食べた者に天国に行ったような幸福感を与える。
他人に幸福感を与える効果だけが異常に上がっている!!!
通常スキル:《オウム返しレベル1》、《雷魔法レベル1》
耐性スキル:《恐怖耐性レベル1》、《精神耐性レベル1》
特殊スキル:《芳醇な香レベル1》、《相手を引き寄せレベル1》
今まで通りならウルトラなヒヨコを選ぶことに躊躇いはない。
だけど、ウルトラなヒヨコで、あのネズミに勝てるのか?
次をお願いします。
キングなヒヨコ。
・ヒヨコの頂点。これより先はなく。これ以上もない。ヒヨコとして一生を過ごすことを決定づける代わりに全ての能力が飛躍的に向上させる。
通常スキル:《全属性魔法レベル1》、《全ひよこに対する命令レベル1》
耐性スキル:《全異常攻撃耐性レベル1》
特殊スキル:《ヒヨコの魔物たちの王となり、命令権をえられるレベル1》
これは! もしも、俺の一生をヒヨコで終わらせる覚悟があるなら、今の俺にとって、もっとも有効な進化に思える。
だが、最後まで見て見ないとわからないな。
ダークなヒヨコ
・空の王を目指すヒヨコの亜種、羽は真っ黒に染まり、王道ではなく邪道を突き進む。その道は王道とは違って楽な道ではない。
簡単に力を手に入れた代償は、酷く険しい道のりになることだろう。
ウルトラなヒヨコと並ぶ超レア食材。しかし、羽の色によって見分けやすく捕まる確率は上がる。
こいつは邪道でも空の王を目指せるのか?
通常スキル:《闇魔法レベル1》、《毒魔法レベル1》、《鉤爪レベル1》、
耐性スキル:《恐怖耐性レベル1》、《精神耐性レベル1》、《毒耐性レベル1》、《闇耐性レベル1》
特殊スキル:《恐怖付与レベル1》、《威圧》
こいつは今までとは毛色が文字通り違うが、明らかに強い。
ウルトラなヒヨコは進化しても、勝てるのか不安が残る。
キングなヒヨコは、その先の進化が見込めない。
なら、ダークなヒヨコか?
《ダークなヒヨコが選択されました》
いや、まだ選択中!!!
《神の声》さん、気が早すぎでしょ!
《進化を開始します。進化速度はいかがなさいますか?》
キャンセル不可ですか、そうですか、わかりました。
時間はない。
だけど、短縮して勝てるとも思えない。
《フルバージョンの1:1進化を推奨します。外敵懸念を理解しました。今回は特別に結界の使用を認めます》
結界? そんなのあるのか?
《進化後の闇魔法の一種です。進化後に使えるものですが、現在の状況を考慮して使用を一度だけ可能にしました》
《神の声》さんご都合主義も凄すぎますよ!
でも、ありがとう。
《では、推奨通り1:1進化を開始します。期間は六日です》
なっ! 前よりも三日も長いじゃないか!
《ダークなヒヨコは特殊個体になるため、進化は体の変貌を伴います。キャンセルは不可能です》
ぐっ、もういい!! やってくれ!! 全てはあいつに勝つためだ。
俺は奴に与えられた恐怖を思い出して、覚悟を決めることにした。
《それでは進化を開始します。魔王に堕ちようと空の王を目指すあなたにご加護が在らんことを》
えっ? 今何か不吉なこと言わなかった?
《全ての頂点にならんとすることを期待します》
「ピッ! ピギー!!!」
グハッ!! ヤバい!!
今までの比じゃない!!!
骨が砕ける! 羽が毟り取られる!!
全てが作り変わる!!」
イテェー!!! めっちゃイテェー!!! 死ぬ!!! これは死ねるぞ!
「ピギギギ!!! ピュー!!! ピューー!!!」
なんとか息をしよとするが、息ができない。
意識を保てないのに、痛みで強引に起こされる。
「ニャッ! ニャア!!!」
『また始まったようニャ! 私はピリカの様子を見た後に、明日から進化をするにゃ』
声は聞こえている。
だけど、返事ができるような状態じゃない。
イテェー「ピューピィーピョー」
もう自分がどんな声を出しているのかもわからねぇー。
全身から羽だけじゃなくて、血も抜かれて寒い。
砕け散った骨は元に戻るのか? ハァハァハァ、しっ死にたくない。
《六日まで残り四日》
絶望の声が脳内に響いて、のたうち回る。
《四日四晩にて、全ての進化を終えます》
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