第14話 3度目の召喚

 俺たちはそれぞれの上位魔物を倒したことで、大量の経験値を得てレベルが上がった。進化をするまでもう少しということころでレベルアップが止まる。


『凄いニャ! 大量にレベルが上がったニャ』

『やっぱり強い魔物を倒した方がレベルアップするピ』

『だけど、こんな危険なことはあまりしたくないニャ』


 魔力が残っていた銀猫は、魔法で女王蟻を倒すことができたようだ。


 蟻塚は、地龍のブレスで半壊して住めるような状態じゃなくなってしまった。


 ただ、二人で過ごすなら巣があるから十分な広さがあると思える。

 岩場に食い込むように作ってくれた火の鳥カーチャンに感謝だな。


「ピヨ?」


 魔法陣が出現した。

 どうやらご主人様がお呼びのようだ。


『行くニャ?』

『おう、行ってくるピ。いない間は無理するなピ』

『わかってるニャ』


 銀猫は怠そうに顔を洗う仕草をする。

 俺は別れを告げて魔法陣へ入った。


 ♢


 前回のこともあったから、警戒して魔法陣の中へと入ったが。


「ピリカ〜!!! この間はごめんね!」


 そう言ってアシェが抱きついてきた。

 

「ピヨ?」

「あ〜、このモフモフがたまらないよ〜。前よりも毛並みの艶が良くなってない?!モフモフが最高だよ〜。これだけ可愛いのに強いとかピリカは最高だよ〜」

 

 アシェが一頻りモフモフを楽しんだところでやっと解放される。

 幼女を払いのけることもできないので、されるがままになっていた。


「改めてごめんね、ピリカ〜。会いたかったよ〜。この間は助けてくれてありがとうね。お父さんから、ピリカが森の外まで連れて行ってくれたって聞いたよ」


 正面から俺の瞳を見つめて語るアシェは、答えなくても話し続ける。


「ありがとうね。あの後から熱が出てね。しばらくゆっくりしなさいって言われちゃった」

 

 なるほどな。

 銀猫が怪我をしている間に、アシェも寝込んでいたのか。

 もう大丈夫なんだろうか?


「ピヨ?」

「心配してくれてるの? ふふ、うん、大丈夫だよ。だけど体調が悪いと魔力も安定しないから、ちゃんとピリカをこっちに呼んであげられないんだ」


 ほう、サモナーにも色々な制約があるんだな。


「今日、ピリカを呼んだのはね。もうすぐ学校に行くんだ」

「ピヨピヨ」

「そう、学校だよ。この世界はね、四体の聖獣様に守護してもらっているんだよ」


 どこからともなく持ってきた絵本を開いて説明をしてくれる。 


「四体の聖獣様はね、誰が強いのかケンカして決めようとしたんだって。だけど、決まらないから、世界を作ってたくさんの子供を産んで争わせることにしたの」


 ページをめくって、四体の聖獣が描かれている絵を見せてくれる。


「自分の眷属である子を育てるために世界を作ったんだって。だから人は獣に力を借りて生きていくのが当たり前になっていてね。子供の頃からサモナーになるために魔力を鍛えるんだよ」


 なるほど、四体の獣に挑む魔物をサモナーたちが召喚して、鍛える手伝いをするってことなのか? その代わりに人間たちは困難を魔物たちに代わりにやってもらう。


 そういう関係を築いて生活が成り立っているのか……。


 だが、俺のように王を目指す奴が他にもたくさんいるってことは、結構厄介な話だな。


「私の召喚獣はピリカだから、学校に行くとピリカを呼び出す機会も増えると思うんだ」

「ピヨ?」


 増える? どういうことだ? 今はそれほど多く呼ばれることがないので、自由に森で生きている。

 だが、戦闘中などに呼び出されて、銀猫のやつを一匹にはしたくない。


「あっ、違うよ。ずっと一緒ってわけじゃなくて。サモナーの学校だから、授業中に呼び出して訓練をするんだよ。あとはね、私たちサモナーは大きくなると、ピリカを育てる旅をしなくちゃいけないんだ。その時にも一緒に来てほしいんだけど……」


 そういうことか、つまり俺がアシェの召喚獣として彼女を守って旅をするということか。


 銀猫には悪いが、これから留守にするのが多くなりそうだな。


「ピヨピヨ!」

「えっ! 一緒に頑張ってくれるの?! ありがとう。ピリカ! 大好きだよ。やっぱり私の召喚獣はピリカしかいないよね。実は、この段階で学校に行きたくないっていう召喚獣もいるんだって、だから不安だったんだ」


 アシェは俺に抱きついて喜びを表現する。


「ピリカ、私は絶対にサモンマスターになるからね」

「ピヨ?」

「あ〜、サモンマスターはね。四獣様に挑める魔物を育てたサモナーだけが、もらえる称号なんだよ。世界に数えられるほどしかいないんだから!」


 それからはアシェの夢を語り聞いて、世界について語られる。


「ピリカ、今度は学校で呼ぶと思うから、よろしくね!」

「ピヨ〜」


 森へと帰るまで、ずっとアシェと話をして時間で過ごした。


 それはこの世界の歴史から、サモナーの常識。


 そして、今後の未来を決めるための話。

 

「ピリカ、次に呼ぶまで元気でね」

「ピー!!!」


 アシェに思いっきり抱きしめられて別れた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 ここまでがなんとなく考えていたヒヨコのプロローグになります。

 読者の皆様に読んで頂けたことで、プロ作家部門で46位になれました。

 本当にありがとうございます。


「ピヨ!」

『星が欲しいピ』

『ハートが欲しいニャ』


 ヒヨコとネコもこう申しておりますので、どうか☆と♡をプレゼントお待ちしております。


 どうぞよろしくお願いします!

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