第7話 進化 2
《スーパーなヒヨコはレベルがMAXになりました》
《進化条件を満たしました》
種族:スーパーなヒヨコ
称号:召喚獣、人の心を持つヒヨコ
状態:生後一週間
レベル:10/10
《進化先を表示しますか?》
《神の声》さんも進化して、話せることが増えたんだな。
よし! 《神の声》さん、お願いします。
進化先を教えてください!
♢♢♢♢♢
《進化》
・ハイパーなヒヨコ
・走れる鳥
・火を吹く鳥
♢♢♢♢♢
《現在》
・スーパーなヒヨコ
♢♢♢♢♢
ハイパーなヒヨコと走れる鳥に火を吹く鳥?
《進化の詳細を見ますか?》
お願いします。
・ハイパーなヒヨコ
ハイパーなヒヨコは多種族から高級食材として取引されている。
スーパーなヒヨコよりも大きく。
1メートルほどの身長だった体が、2メートルの身長に成長して肉としての品質が最高級品へ昇華される。
うん。もうわかってた。
高級食材って、どれだけの価値がわるのかわからないが、危険が多くなるってことだな。
通常スキル:《硬化》《水魔法》
耐性スキル:《打撃耐性》《斬撃耐性》《重力耐性》
多分、前回のスーパーなヒヨコの進化系になるから、これが第一候補になるんだろうな。まぁ耐性スキルが手に入るなら、それは悪くないようにも思える。
魔法の種類も、風に続いて、水が増えるのはありがたい。
ポテンシャルは、やっぱりノーマルに見えるけど、こいつが一番かな?
次を見せてください。
《神の声》さんにお願いすると、次の進化先を出してくれる。
・走れる鳥
飛ぶことを放棄した鳥。
代わりに足が長くなり、素早く動けるポテンシャルを持つ。
地上最速の鳥を目指します、変わりに空王の眷属候補を辞退します。
通常スキル:《高速移動》、《連続突き》、《飛び蹴り》
特殊スキル:《走る鳥王への道》
鳥の王も様々存在するんだな。
鳥と言っても形も様々で飛ぶ以外にも走ることを選択することもできるのか。
しかも特殊スキルが、空王ではなく鳥王と表記が変わるなら、別に悪くないように思う。
火の鳥もどきよりも強そうではあるけど、ないな。
今のところはハイパーなヒヨコの方がいいな。
・火を吹く鳥
口から火を吹くことができる鳥。
胃に火吹き袋を持ち、体内で炎を生成することができる。
魔法ではないので、体力が続く限り火を吹くことができる。
空王の眷属候補を辞退します。
通常スキル:《火を吹く》
耐性スキル:《火攻撃無効》、《水攻撃弱点》
うわ〜、これは火の鳥もどきを選ばなかった際に出現する火属性の鳥を別種にした感じだな。
正直、メリットとなるいいところが何一つ感じられない。
やっぱり、ハイパーなヒヨコの方だな。
《ハイパーなヒヨコ》が選択されました。
《神の声》さん、相変わらず気が早いね。
《進化を開始します。進化速度はいかがなさいますか?》
これなんだよなぁ〜。
今回は、銀猫のやつが襲ってくる可能性もあるから、あまり時間をかけたくないんだよな。
《フルバージョンの1:1進化を推奨します。しかし外敵懸念を理解しました。それでは成長1:能力0の進化はいかがでしょうか?》
成長1? 能力0?
つまりは体は成長させるけど、能力は成長させないってことかな?
《はい。それならば1日の進化で成長を終えられます。しかし、能力が育っておりませんので、強くはなりません》
それは怖すぎるな。それなら見た目の成長はいいから、能力だけ上げるのは?
《成長0:能力2。3日の成長時間が必要になります》
基準はわからないけど、1日で終わるのか、3日かけるのか……
《フルバージョンであれば5日必要になります》
ぐっ! 最初の進化が3日だったから、かなり時間がいるんだな。
なら、能力2でお願いします。見た目は、まぁいいや。
《それでは進化を開始します》
・成長0:能力2の進化をお伝えします。
《全ての頂点にならんとすることを期待します》
俺は、巣へと戻ってきた銀猫の姿を確認して、意識を手放した。
子守唄のような《神の声》さんの声が耳に残りながら、眠りに誘われるはずだった……。
「ピッ! ピギー!!!」
キタ! 寝ようと思っているのに寝かせてくれない痛み。
イテェー!!! めっちゃイテェー!!!
身体中ばバキバキに砕け散るような痛みが全身を駆け巡っていく。
こんなの寝てられるわけがない。
「ニャッ! ニャア!!!」
『ちょっと! どしたの? そんなにのたうちまわって!!! そんなに暴れて痛そうで!』
銀猫が問いかけてくるが、痛みで応えることもできない。
《三日三晩にて、全ての進化を終えます》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《side銀猫》
私は前世の記憶を持つ人間だ。
と言っても記憶はないし生まれた時に、たくさんの兄弟姉妹たちと共に母のお乳を飲んでいた。
だけど、危険な森の中では兄弟姉妹たちが次々と死んでいく。
母も私たちを守るために戦いをして、大きな傷を負って亡くなった。
そうして、生きていくうちに一度目の進化をすることができた。
そのおかげで、私は一人で生きていくだけの力を手に入れられた。
だけど、力を得ても危険がなくなったわけじゃない。
私は一人で生き残りながらもどうにか、日々の糧と誰かと話せる可能性を考えて生きることを続けた。
そんな私は巨大なヒヨコに出会うことになる。
ヒヨコは男性の声で、危険にも感じるが見た目が可愛い。
文字通り食べてしまいたいくらい可愛い
だけど、話しかければ、言葉を返してくれた人は貴重で。
しかも自分の巣に案内してくれて安全まで提供してくれた。
こんな人を裏切るのは気が引ける。
私は理性を持たない獣じゃない。
だから、ヒヨコの進化を手伝うことにした。
そして、後悔する……。
バキバキと骨が折れて再生する音がなん度も聞こえて、「ピーピー」と泣くような声がなん度も聞こえて耳がおかしくなる。
それは三日三晩続いて、私の精神が参ったところで彼が目を覚ました。
進化したのに、全く見た目は変わらない彼からは、グリーンベアーよりも遥かに強者の風格が漂う。
「待たせたな。裏切ることはなかったか、ありがとう。さぁ次は君の番だ」
彼の真摯な言葉に、私は恐る恐る進化を選んだ。
美しい銀猫の進化先を……。
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