《破壊》



 おいおいなんて破壊力だよ…あんな威力シュナさんでも無かったぞ、瞬間的爆発力なら間違いなくSランクに相当する威力だった。

 俺も避けてなかったら確実に大勢のモンスターと一緒にくたばっていたから危なかった。

 

 「危ないよ!!今回は俺がやるって言ったから危険性度外視でやったのに急に敵との間に入るから攻撃が止められなかった。けど…良かった俺の攻撃がレイに当たんなくて」

 「ああ、初めの攻撃が無かったら気づけてなかった。でもここら辺のモンスターは全部片付いたな」

 「いやまだいる、奥のモンスターも仕留めた多分あっちの方にモンスターの生活場所がある。」



 こいつ、視力も良いのかよ隙がねえ。本当にAランクかよって思ってしまうほどに俺が受けた衝撃は相当の物。

 と思ったが、、



 「ごめん、走るの早い…疲れるゆっくりにしてくれ」


 言った通り絶望的に足が遅い様で、ランニング程度に奥に向かうも着いていけず、速度を落として欲しいと言う始末、先行ってとかじゃないから1人だと隙も大きいから明確な弱点もあるのかと知る事が出来た。

 

 本番ではモリアは俺の部隊。

 指示を出すにはモリアをどう活かし弱点を守って行くのかを軸に考えるのも良さそうだ。



 「ありがとう、後はレイの力俺に見せてくれよどうせ俺より凄いんだろ」



 目の前にいる頑丈そうなモンスター3体を前に言ってくる。正直行けるかは五分ってとこか、まあ何とかなるっしょ


 「ハードル上げんなよ、本気で行くが過度に期待するのはよしてくれ万能なのが取り柄の冒険者だから…

  汝の求める所に深淵の海よ、我の呼びかけに応え、水の力を解き放て。波立つとともに、願いを実現せん。ミスフィクア」



 俺はおきにいって詠唱を久々に使うと、何と驚いた事に水魔法なのに相手を瀕死に持っていった。俺の魔力はそんなにあったのか…いや前に言ってたな心臓に変な魔力があったってそれが無くなった俺の魔力総量は本当にアシェリーさんに匹敵するのか。




グルルッ


 やはりまだギリギリの所で生きていた。俺はすぐに反応し、雷の上級魔術でオーバーキルをする。

 成果報酬が貰えないくらい跡形もなく消し去ってしまった。2人ともに。



 「はあ…やっぱレイも凄いじゃんか、魔術もその威力でおまけに剣術もあんだろ?ちょっとでも俺の方が凄いって思った俺が恥ずかしい…どうしてみんなこんな早く強くなれるんだよ、」

 


 俺は十分モリアの魔術も凄いと思ったのだが過小評価のしすぎで悲観的になっている。それでも俺の魔術が自分でもびっくりな程に強くなっているのもあるが───


 「俺も自分を過小評価してたみたいだ、俺はもっと戦える!教えてくれてありがとよ。モリアをおいて俺は強くなっていく」


 かける言葉が見つからなかった俺は何故か挑発的な言葉を選択した。何言っても今のモリアには通じない気がしたからこの選択は仕方ない事。



 しかしそれが功を奏したのか、その後の2人の動きは見事なものだった。

 モンスターもそこまで強いというわけでは無いが、完全に2人は無双していた。俺は剣術で相手を翻弄し、広範囲をモリアが仕留める。初めてで不安定な部分もあったが大きなミスもなく依頼を進めた。



 「これで終わり…疲れた。」

 「まだ終わりじゃ無い、異様なオーラがする魔物がどこかにいる備えて!」


 ルド程の索敵能力を持ち合わせてはいないが今までで培ってきた感覚がまだ危険が残っているぞと伝えてくる。こんな感覚は味わった事がない。




 「下か………来る、魔物だ。レイ下がっててここは俺にやらせて欲しい。名誉の為に頼む」

 「構わないけど危なかった時は助けに入る」



 モリアは今までに無い集中を高めている。俺が立ち入る事が出来ない程の極限の領域。

 魔物が出てくるタイミングに合わせ瞬時に剣を振り先程と同じ衝撃波を繰り出すが、今回の魔物はさっきのと比べるとレベルが違う。当たったが致命傷までにはならなかった。



 ガルルルル


 相手も、擦り傷だ。と言わんばかりの余裕な声を上げる。相当頑丈な魔物。

 しかし俺は助けに行かない。まだモリアの集中は切れていない、なんなら増しているように見える。俺はその集中は邪魔してはいけないのだ。


 

 「硬えけど、俺の火力はこんなもんじゃねえぞ…

  パワーだけが俺の強さだああああ!!」



 モリアは剣を地面に叩きつける。すると俺に向かって

 「こっちに来い」と手招きをしていたので俺は取り敢えず従ってついて行くことにしたが、それはすぐに分かった。


 モリアの剣から円状に地面から爆発をしている。

 剣の近くは衝撃がない為安全と言うことか。

 もの凄い音を立て、魔物に向かって少しずつ円が波のように近づいていく。それはまるで死刑宣告が徐々に近づいているようだった。

 確実に勝ったかのように見えたが、モリアは力を使い果たしたかのような声で話しかけてくる。


 「これが避けられたら俺は打つ手が無い…」

 「どうしてここまで…」

 「俺は魔剣が無いと何も出来ない奴だ。だから手加減なんて出来ないんだよ。でもレイならあんな魔物半分の力でも余裕だろ。」



 そんな話をしていると、普通にモリアの攻撃は魔物に的中した。しかし流石は防御が堅い魔物なだけあって何とか耐えている。

 (俺はおこぼれを任されたってことかよ)

 ちゃっかりしているな、モリアも。



 俺は風魔法で加速して接近、流れるように魔物にトドメの一撃を決める。



 

 「終わったぞ、これで間違いなく終わった。帰ろう本番に備えて休憩しよう。」

 「俺達は消耗し過ぎた。ガルファーに怒られるだろうな

  でも久しぶりに依頼が楽しかった気がする、ありがとうなレイ。おかげ元気が出たわ」



 常にマイナス思考なモリアだが最後には少し明るくなった。流石に頑張り過ぎて帰ってから何言われるか大体想像つくがやった事には2人とも後悔はしていない顔だった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生に嫌気がさしたので転生してみました。 みかみかのみかん @m_use

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ