あっという間にストーリーに引き込まれる超良作!

はじめに言おう、星3つでは足りぬ!もっと星持ってこい~!!
・・・と、そう言いたくなるぐらいおもしろい作品です。

このお話、悪役令嬢ものであり原作ストーリーを知っている主人公が断罪エンドを回避するために悪戦苦闘する、というフォーマット・・・。

「あぁ、よくある悪役令嬢ものね」と思ったそこのあなた!断断令嬢(勝手に略してすみません)はそんなありきたりのお話ではありません。

よくある悪役令嬢ものは、
 1 主人公が原作開始までに様々な下準備する
 2 原作開始後に数多の断罪フラグをぶち折って原作の結末を改変してのハッピーエンド。

ストーリーのウエイトは2の原作開始後に置かれ、いかに原作の呪縛から逃れるかと言うところがおもしろさの中心になっているわけです。
これはこれでおもしろいんですが、そもそもその原作自体作者の手による架空なものなので、後付けでいかようにも主人公有利な状態に持っていける、つまりご都合主義に陥りやすいというのが欠点だろうと思うのです。

ところがこの断断令嬢の主人公セーラは
”原作開始直前をゴールに持ってくる”
という選択をします。

原作の結末が改変されてハッピーエンドではなく、原作開始時点がすでに改変された状態、ある意味原作が開始すらされないこと、もっと言えば原作の登場人物にならないことを目指すのです。

伝えたい魅力はまだまだあるのですが、ネタバレにならない部分で本作の大きな魅力を一つ。

作者である海雀さんの書かれる文章が恐ろしく上手い!

とにかく、読んでいて場面や状況がすっと頭に入ってきて映像としてイメージできるのですよ。
それぞれのキャラクターが立っていることも相まって印象に残りやすい。

異世界転生ものを複数読んでいると、どうしてもフォーマットや文体が似通っているものが多いため、別の話とごっちゃになったり、これまでの流れを思い出すのに時間がかかったりするんですが、このお話に関してそんなことは一切ありませんでした。

次のお話が待ち遠しい、どんな結末になるのか楽しみなのに完結してしまうことが寂しい・・・そんな気持ちになる作品です。

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