はじめに言おう、星3つでは足りぬ!もっと星持ってこい~!!
・・・と、そう言いたくなるぐらいおもしろい作品です。
このお話、悪役令嬢ものであり原作ストーリーを知っている主人公が断罪エンドを回避するために悪戦苦闘する、というフォーマット・・・。
「あぁ、よくある悪役令嬢ものね」と思ったそこのあなた!断断令嬢(勝手に略してすみません)はそんなありきたりのお話ではありません。
よくある悪役令嬢ものは、
1 主人公が原作開始までに様々な下準備する
2 原作開始後に数多の断罪フラグをぶち折って原作の結末を改変してのハッピーエンド。
ストーリーのウエイトは2の原作開始後に置かれ、いかに原作の呪縛から逃れるかと言うところがおもしろさの中心になっているわけです。
これはこれでおもしろいんですが、そもそもその原作自体作者の手による架空なものなので、後付けでいかようにも主人公有利な状態に持っていける、つまりご都合主義に陥りやすいというのが欠点だろうと思うのです。
ところがこの断断令嬢の主人公セーラは
”原作開始直前をゴールに持ってくる”
という選択をします。
原作の結末が改変されてハッピーエンドではなく、原作開始時点がすでに改変された状態、ある意味原作が開始すらされないこと、もっと言えば原作の登場人物にならないことを目指すのです。
伝えたい魅力はまだまだあるのですが、ネタバレにならない部分で本作の大きな魅力を一つ。
作者である海雀さんの書かれる文章が恐ろしく上手い!
とにかく、読んでいて場面や状況がすっと頭に入ってきて映像としてイメージできるのですよ。
それぞれのキャラクターが立っていることも相まって印象に残りやすい。
異世界転生ものを複数読んでいると、どうしてもフォーマットや文体が似通っているものが多いため、別の話とごっちゃになったり、これまでの流れを思い出すのに時間がかかったりするんですが、このお話に関してそんなことは一切ありませんでした。
次のお話が待ち遠しい、どんな結末になるのか楽しみなのに完結してしまうことが寂しい・・・そんな気持ちになる作品です。
転生した先は悪役令嬢だった。メイドにも嫌われていた主人公。
破産する運命を知っているので、主人公は逃げ出そうと画策。
メイドにも失礼な態度をとられるが、家庭の経済状況を執事に聞き出したところ、思いがけなく味方になってくれ、ブドウ畑を借りて職業体験することになる。農民は冷ややかな態度をみせるが、ブドウは他の畑よりも良い出来になる。
主人公は皆に教えてあげると豪語するが、魔法を使うには体力も必要ということがわかった。このまま、良い領主となって村人に慕われるのか、運命通りに破産して落ちぶれるのか、はては無一文のまま、逃げ出すのか?
読んでいて飽きない作品となっています。メイドとのやりとりも面白く、どちらがご主人様なのかと吹き出してしまいます。
異世界ファンタジーがお好きな方におススメの作品です。
からの傍若無人な展開から始まると思いきや・・・作者様の想定通りに視線が誘導されており、見事な緩急からの導入となっています!
悪役令嬢、という形の作品は数あると思うのですが、「そっち」にしたらタグのような救いがないんじゃないかとハラハラしていたので、安堵の吐息すら思わずでてしまう1話です!
そんな安心からも束の間。次に登場するメイドさんもなかなか癖が強くどの話でどんなキャラが出て来たのか決して忘れることのできない見事な紹介を披露してくれます!
また大抵こういう場合、実は・・・のような展開がすぐさま広げられるはずなのですが、主人公令嬢の資質もチョイスが絶妙で思わずくすりと笑わせてくれる見事な流れ・・・!
現在最新話まで読了済のため、ネタバレを踏まぬようふわふわとしたレビューとなっています。
だからこそそんな令嬢様の物語をあなた自身の目で確かめてみることをお勧めします!