金曜日の夜、帰宅するとテーブルの上に置手紙があった。 風呂場からはシャワーの音がきこえてくるので住人はどうやら僕だけではない

@ruyanyan

第1話

お兄ちゃんへ。

二人きりの同棲生活楽しんでね。妹より


金曜日の夜、帰宅するとテーブルの上に置手紙があった。

風呂場からはシャワーの音がきこえてくるので住人はどうやら僕だけではない。


僕らの両親のどちらかでもない。

今は海外出張で家にいないのだ。

じゃあ誰なのか。

答えは妹の友達であり幼馴染でもある女子高の美少女生徒会長。美墨あきらしかいない。

俺にとっても幼馴染であり幼い頃から一緒に育ってきた仲であきらの両親とも仲がよく食事会などしたり

年末年始などの行事には親戚ともども集まって一緒に過ごす。


あきらと二人きりか…

彼女の家はお隣でありすぐ帰れる上、大人一歩手前な年頃でもあるので

いきなり男一人の家に突撃してくるのはいい加減控えてもらいたいものである。

だが、彼女にはここに来る理由がある。

彼女の両親もまた家を出ておりらぶらぶ温泉旅行へ出たとのこと。

女の子一人家に残すのは心配ということと家事がてんでだめな娘を一人にしておけないらしい。

ぼくもいつかは結婚したりするのかと子供の頃は考えた事もあったが今は半ばあきらめている。

自分の時間をじゃまされたくないのだ。

それに大人になってから他人と関係を構築するというのは大変なものだ。

子供や学生のように同じクラスになったからと仲良くなることなんてない。

腹の探り合い。利害関係。そんな醜い感情や思考が邪魔をして純粋にその人を見ることができないのが

大半だ。

ほんと終わっている。

生きていく中で知識をつける事はいい事だが、知識をつける事で増えていく「リスク」を排除すべく人は「慎重」になる。

慎重になる事で「行動や言動」が「制限」され息苦しくなる。

嫌な世の中だと思う。

そんな事から解放されるのが自宅だ。

自宅最高。


「おかえりおにぃ」

風呂から出た彼女は抜群のスタイルをみせつつバスタオル一枚で浴室からでてきて冷蔵庫へ向かう。

おにぃと呼ばれてるのは兄のように慕ってくれておりいつの間にかそう呼ばれていた。

懐いてくれて嬉しかったのもありそのまま受け入れて今に至っている。


「その恰好はやめなさい、服を着てからでてきなさいっていつも言ってるのに…」

「おにぃまっさーじしてー」

「話を聞きなさい」

「はーい」

生返事をした彼女は麦茶をCMのごとくのどごしたっぷりで飲むと、リビングのソファの上へ寝転がった。

「はやくぅ」

「はいはい」

こちとら会社帰りである。

「あーおにーのまっさーじきもぢー」

マッサージとともに女子高生の柔肌を堪能した後、一日の疲れを流すべく風呂へ入って

夕食の支度である。

リビングでテレビを見ていた彼女はカレーをコトコトまぜる俺の背後に来ると後ろからそっと抱きしめてきて

鼻を首筋にぴたっとくっつけるとスンスンと匂いを嗅いできた。

「またそれか」

「おちつくの。減るもんじゃないしいいでしょー」

「生徒会長様のすることではないとおもうけど」

「いいの、家の中でくらいわがままでいさせてよぉ」

「はいはい」

おとなしくスンスンされた。


時刻は寝る時間。

布団へ潜って目を閉じてしばらくすると、対面に侵入者が現れた。

「わたしだ」

「おまえか」

正面から抱き着いてきて胸の中でスンスンし始めた。

「ねえ」

「なに」

「おにぃすき」

「またそれか」

「うん」

「私が卒業したら結婚しようね」

「またそれか」

「うん」

「物好きだなほんと…」

彼女の頭を見下ろしながら優しくなでているとしばらくして、深い寝息が聞こえてきて

俺はその寝息のリズムを聞いているといつのまにか眠りについていた。

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