第2話 力の必要性
「何年経ったんだろう」
そんな透き通った声の一言も余韻が聴こえてくる程静かな劣化した廃校。元々は母校”だった”場所が今では廃校なんて、
僕のせいなのかな、みんなのせいなのかな。白と黒のオッドアイで涙も流さず見続ける。
真っ黒いハイヒールで歩くほどに雑音が響いていき、僕の心にどんどん刺さっていく。心の傷から出てくるのはドロドロにしているものが溢れ出てきて僕の怒りも同様に溢れ出てくる。
「もうどうでもいいはずなんだよね」
自分が来る前よりもボロボロになった廃校にさよならをし、薄荷色のくせっ毛のショートを揺らしながら影で見えずらい路地裏に消えていく。
(あの時僕が化け物にならなかったらずっと”シアワセ”だった?)
(このままずっと共生していくの?)
(なんでこんな力あるの?)
(僕は普通に生きれてる……のか?)
暗い路地裏で自問だけが繰り替えしていく。ただただ苦しいだけなのに自分で謎がどんどん溜まっていく。
「僕はただ……」
愛情が欲しい。
こんな力じゃなくて、誰かに…愛情を貰いたい。あの人達みたいな愛情表現じゃなくて、隣に誰かがいるだけでもいいから……
「孤独は嫌だ……」
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ガヤガヤ
「お母さんこれ買ってー!」
「また今度ね」
ネガティブな発想を無くすために近めの場所にあった新しく造られたみたいな綺麗なデパートでボッーとしていた。
『お母さんこれ欲しい!』
『駄目に決まってるでしょ。早く歩いて頂戴』
あぁ、思い出したくないないな。こんな力を持っていなくてもこれじゃあ”シアワセ”じゃないって感じちゃう。
「嫌だな…苦しいや」ボソッ
こんなの思い出したくないんだよ。苦しいだけで、楽になろうかなって思っちゃうから。
そうだよ、あの人は僕を化け物を見るような瞳で見てきたんだ。実際のところ化け物でしたけど…。みんなもゴミを見るかのような瞳で見てきたから、僕が壊れたんだ。不良品にしてくれたんだ。あの人みたいな姿なんて、要らないよ。崩したい。
こんな力があるんだから、僕は普通になれなかったんだ。そうしたら街のみんなも澄んだ瞳で見てくれるかもしれない。
こんな力なんか必要ないんだ。
怪物に鋭利な爪を ゆらゆらクラゲ @yurayurakurage
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