はじまりと変化
第1話 ノーマルライフ
いつもと同じ 始まりの合図
いつもと同じ 予習してきた授業
いつもと同じ 賑やかなクラスメイト
いつもと同じ 廊下に集う生徒達
それを横目で見ているとみゆちゃん達が近くに来る。
「海ちゃん!一緒に帰ろ」
「うん」
みゆちゃん達が話すから僕は聞く側になりながら大好きな家に着く。
震える手を無視しながらドアノブに手をかける。
「おかえりなさい」
「ただいま」
玄関を開けると出迎えてくれる両親。
残しておいてくれた残り物で僕がご飯を食べている時にいつも今日あったことを話す。
部屋に戻ると気絶するようにベットでおちる。
夢の中でいつも思ってる。
こんな日々が続きますように。
いつも話してくるみゆちゃん、カンタくん、
優しい先生達。
僕のことをいつも思ってくれている両親。
寝て起きての同じことの繰り返しが続く…
別に不満なんかなかった。
逆にニッコリと笑えるぐらいワクワクする毎日だった。みんなは髪も切ってくれる。食べ物を残してくれる。人生の道を教えてくれる。こんな人達は今まで会ったこと無いくらい素敵な人達なんだった。
だけど僕は最近可笑しいんだ。
おでこを触ると少し膨らんでいる部分があって、やけに歯が尖っていたんだ。
それに大好きな人達を見ると、
”血”が飲みたくなる。”食べたくなる”。
でもこんな事よくあった。大抵はすぐに収まっていたから大丈夫だと思っていた。でも歳を重ねていくうちに自分の意思で止めないと行けないほどになっていたんだ。……でも、今思うとよく我慢した方だと昔の自分を褒め讃えたい。
『あんたなんか消えちまえ』
『髪の毛切って上げるね、綺麗にしてあげるからさ!』
『ゴミはゴミでも食ってろよ!ゴミ野郎!』
『楽になったらいいんじゃない?地獄に行きなよ!人間のクズが!』
『お前なんぞ”失敗作”だよ』
『なんでここに帰ってくんのよ!さっさと消えなさい!目障りなのよ!』
「消えちまえ、この世界からお前達が」
今はこんな人間か疑うくらい最低最悪な人達のせいで化け物になったんだから。
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『あの悲惨な事件、連続殺人事件と同様にあった学校崩壊事件から2年が経ちました。まだ犯人は捕まっておらず現在も捜索中で……』プツ
「うるさいな」
ラジオの電源を消し、まだ日が出たばっかりの空を見る。自分の息も聞こえないほどの雑音が路地裏に響き渡る。
あの日から僕は”犯罪者”というレッテルが貼られ、世界中に知れ渡った。
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