第249話 コボルトさんたちの歓迎会をする

 思い立ったが吉日。ボクはさっそくみんなにお願いすることにした。みんなで一個ずつ作れば、すぐに必要な数がそろうことだろう。


「リディル様、俺もその魔道具を作るのを手伝うぞ」

「ローランドくんも? それじゃ、一緒に作ることにしようか。アルフレッド先生、デニス親方、ルミ姉さん、作り方を教えて下さいね」

「ミュ!」


 アルフレッド先生たちからコボルト族専用の姿を変える魔道具の作り方を教えてもらう約束をしたところで、夕食の準備を始めることにした。

 今日は新しい住人が増えた、特別な日だからね。みんなでお祝いしないと。


 そんなことを話すと、デニス親方とルミ姉さんがとても喜んでくれた。どうやらいつもよりも、お酒を飲むとができると理解したようである。まあ、その通りなんだけどね。そのときに、みんなに姿を変える魔道具を作ってほしいって、お願いすることにしよう。


 そうしてコボルトさんたちも含めて、みんなで夕食の準備を開始する。アリサさんには、ノースウエストの住人たちに、コボルト族が来たこと、そして今日、歓迎会をするという話を伝えてもらうようにお願いしておいた。すぐに伝えてくれるそうである。


「人数が増えてきたから、歓迎会は庭でやらないといけないね。そのためにはテーブルとイスを用意しておかないと」

「大きなダンスホールを作っていただきましたので、そちらでもよろしいのですが、そうなると、テーブルとイスが足りませんからな」


 困り顔になっているフェロール。そうなんだよね、もう予備のテーブルとイスがないんだよね。

 だがしかし、これが庭での歓迎会になるのなら、テーブルとイスは魔法で作り出すことができる。それに、地面に直接レジャーシートを敷いて、その上で食べても構わないのだ。そう考えると、庭の方が有利だよね。雨さえ降らなければの話だけど。


「テーブルとイスの準備はボクがするよ」

「それではわたくしは料理を準備しておきましょう」

「俺はどうする?」

「ボクとミューと一緒に外の準備だね。どの辺りに設置するのがいいのかを、一緒に考えてほしい」

「任せとけ」


 そうして役割分担を決めたところで行動を開始する。ガイアコントロールには大分慣れて来たので、今ではほぼ間違いなく、ガイアコントロールを使うことができるぞ。ただし、大きな物を作るときに限る。

 小物を作ろうとすると、まだまだうまくいかないんだよね。


「ガイアコントロール! ふう、こんなもんかな」

「ミュ」

「すごいな、リディル様は。こんなにすぐに完成するだなんて思わなかったぞ。やっぱり魔法は便利だな。俺も使いたかった」


 こればかりはどうしようもないんだよね。精霊魔法を使える人族は少ないみたいだし、ローランドくんは魔力を持っていないみたいだからさ。

 必要になりそうな分だけのテーブルとイスを作っていると、続々とドワーフさんとエルフさんたちが集まってきた。


 そして庭で準備をしているボクたちの手伝いや、料理を作る手伝い、お酒を並べる手伝いなんかを、率先的にやってくれた。とっても助かるね。

 みんなが手伝ってくれたおかけで、それほど時間をかけることなく歓迎会の準備が完了した。


 今日は新たな住人が加わった、とてもめでたい日なので、もちろんお酒も解禁する。普段はドワーフさんたちが飲みすぎるので、制限させてもらっているのだ。

 そうでないと、翌日にはお酒がなくなっているからね。恐ろしい。


 今では畑で働く人数も増えており、作物の生長を促すことができるエルフさんたちもそろっている。しかもドワーフさんたちが次々とお酒を造る魔道具を作ってくれるので、以前に比べてずいぶんとお酒を造ることができるようになっていた。

 それでもなくなるのだから、すごいな~。


「えっと、新しくノースウエストにコボルトさんたちが加わりました。色々と問題が起こるとは思いますが、みんなで協力して、さらにいい町にしていきましょう! それと、コボルトさんたちのために、姿を変える魔道具を作りたいと思っています。協力をしてくれる方を募集してます! 乾杯!」

「協力するぞ、乾杯!」

「任せとけ、乾杯!」

「乾杯!」


 あちこちから、協力するという声が聞こえているな。これなら数日の内に、必要な数の魔道具がそろうことだろう。こうしてお酒も飲んでいることだし、ドワーフさんたちの協力を期待してもいいよね? 一人につき、二個ずつ作ってもらっても、許してもらえるかもしれない。


 多分だけど、これからもコボルト族がやってくるような気がするんだよね。ケットシー族も、まだ来ているみたいだし。

 どうやら今後もますます、ノースウエストの住人が増えることになりそうだね。みんなが安心して生活することができるように、住居もさらに増やしておかないといけないね。


 そして町の中心までの道も、しっかりと整備しておかなくちゃね。やることはいっぱいだ。でも今は、コボルト族が来てくれたことを歓迎しないといけないね。

 あ、お酒を飲んでいるコボルトさんたちが大騒ぎしているね。どうやら火酒やお神酒が普通に飲まれていることに驚いているみたい。

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