第184話 道を整備する

 翌日から、さっそくボクたちは道の整備を始めた。もちろんガイアコントロールを使って、道を整えていこうということになった。


「まずはノースウエストの大通りから始めましょう」

「ノースウエストはまだそんなに大きな町ではないですからね。すぐに終わると思いますよ」

「そうだな。俺たちがいるし、頼めばみんなも手伝ってくれるはずだぞ」

「ミュ!」

「ミューも手伝ってくれるんだね。ありがとう」


 そうして数日かけて、ボクとアルフレッド先生、デニス親方、ミューでノースウエストの町の道、すべてをしっかりとした硬い道へと変えておいた。もちろん、ボコボコしていたところはしっかりと平らにしてあるぞ。これなら馬車が通っても、荷馬車が通っても、そんなに揺れることなく走ることができるぞ。


「これならきっと大丈夫だと思います。これ以上になると、石畳の道になりますね」

「石畳の道にもできますが、さすがにリディルくんにはまだ無理そうですね」

「ボクはまだ地面をカチカチにするだけで精一杯ですよ」

「だが、坊主がやったところはしっかりと固まっている。十分だぜ」


 まだまだガイアコントロールをマスターするまでには時間がかかりそうだけど、どうやらデニス親方から合格点はもらえたようだね。土魔法が得意なドワーフのお墨付きとあれば、きっとなかなかの道ができたのだと思う。


「アルフレッド先生、デニス親方、ミュー、次は隣町までの道を整備したいと思っているんだけど、どう思いますか?」

「いいと思いますよ。将来的には必要になりますからね」

「そうだな、どうせ必要になるのなら、今から少しずつ、作っておくか」

「ミュ」


 デニス親方は若干嫌そうな顔をしているな。あの顔は飽きてきた顔だな。それじゃ、デニス親方には好きなことをしてもらって、ボクとアルフレッド先生、ミューで作っていくことにしよう。


 そうして今度は隣町までの道を作り始めた。その間、フェロールは隣町を訪ねて、ビールを置いてくれるところを探してくれていた。無事にビールを置いてもらえるようになったみたいで、今はビールを隣町へ届けてもらう仕事をやってもらっている。


「ノースウエストにくる商人さんが少し増えましたかね?」

「以前よりかは増えましたね。少しはノースウエストにも活気が出てきたでしょうか?」


 アルフレッド先生が首をひねっているが、正直、まだ微妙なようだね。ボクもそう思う。ノースウエストが他の町で認知されるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうである。


「領主様、いつもありがとうございます。道がきれいになって、仕事がやりやすくなりましたよ」

「トルネオさん、こんにちは。いつもノースウエストに物を売りに来てくれてありがとうございます」

「いえいえ、とんでもないですよ。それに最近は売るだけでなく、買うことも多くなってきましたからね」

「そうなんですね!」


 隣町までの道を整備していると、商人のトルネオさんとすれ違った。どうやら今からノースウエストに行くみたいだな。そしてどうやらノースウエストの町の道がきれいになったのが、ボクたちの仕業だと分かったようである。


 それもそうか。こうして今、道幅を広くして、道を平らに押し固めているところだからね。

 隣町はまだまだ先。隣町までの道がきれいに整備されるまでには時間がかかりそうだぞ。


 道が整備されれば、ノースウエストへくる商人さんが増えるかな? ノースウエストを訪れる人はまだいないので、そっちもくるようになってほしいところである。

 そのためには、ノースウエストと隣町をつなぐ乗合馬車が必要になるのか。今はまだ、交通手段が何もないからね。わざわざ歩いてまでノースウエストにくる人はいないか。


「フェロール、乗合馬車をノースウエストまで来てもらうようにするためにはどうしたらいいのかな?」

「ううむ、なかなか難しい問題ですな。一番早いのは、ノースウエストで乗合馬車を準備することですな」

「なるほど、さすがはフェロール! その手があったね」


 そうだそうだ。自分のところで乗合馬車を運営すればいいだよ。そうすれば、隣町が動くのを当てにする必要もないからね。

 隣町には乗合馬車の乗り場を準備すればいいだけなのだ。


「アルフレッド先生、馬を購入することはできますか?」

「もちろんですよ。ですが購入するよりも、借りる方がいいかもしれませんね。馬車を引くくらい強い力を持った馬もいるはずなので、それを借りるといいですよ」

「それじゃ、そうします!」


 どうやら馬を買うのは難しいみたいだな。それなら専門家がいる牧場に馬の管理を任せて、使用料を支払った方がいいのかもしれない。

 次は乗合馬車の準備だな。これはデニス親方とルミ姉さんにお願いすれば、すぐにでも作ってくれそうな気がする。


 善は急げだ。さっそく二人にお願いしに行こう。

 二人は屋敷の工房で何やら作業をしていた。ここのところ、何やら新しい魔道具を研究しているようである。ちょっと気になるぞ。


「デニス親方、ルミ姉さん、二人に作ってもらいたい物があるんだ」

「おう、坊主。なんだ、言ってみな!」

「何か面白い物を作るつもりッスか?」

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