突然プロポーズされたフィリオーネ。シャルペ侯爵令息のゼインは、『カナリア令嬢』にプロポーズするはずだった。
「プロポーズする相手間違ってますよ」
しかし彼は頑として「間違ってない」と言う。
フィリオーネは、従妹のククルと違い、歌が下手。『カナリア令嬢』であるはずがない。
――両親を亡くし、叔父一家に虐げられてきたフィリオーネ。キャネリエ家では『選定の儀』で選ばれた歌姫が当主になるのだが、ククルに「あなたの歌は下手だってみんな言っている」と言われ、自分は歌が下手なのだと思っていたのだ。
『蛇令息』と言われたゼインに出会ったことで、フィリオーネは自分が置かれていた環境について知ることになる。
さまざまな思惑が交錯する中、フィリオーネは歌への自信を取り戻すことができるのか。