芸術家の物語と言えば、あれよあれよと売れていくシンデレラストーリーか、辛酸を嘗め尽くした後で世に出る苦労自慢か。本作はその間を行きます。きちんと形になるまで続けるには何が必要か。ネタバレを避けるため明かしませんが、本作を読めば納得します。そして、それは画家だけでなく、カクヨムに小説を投稿するワナビにとっても同じなのだと気づくのです。世に評価されることを、何者かになる、と言います。これは、まだ何者かになっていないものの、その道に戻る人の物語です。