ディアラ



「……行くか」

ウィルはディアラの後ろに乗り、彼女はバイクを走らせる。


──正直言えば、僕が眠っていた10年間で予想以上のことになっていた。

カルロスを創設したのは私。

けど、それはただの、子供たちの集まりだった。

楽しいことをする。よくある仲良し集団だった。

小さな、集まり。


それが気付いたらアメリカを討っていた。

いつのまにか、テロリストになっていた。

いやまぁ、仕向けたのは僕なんだけど。

たった10年。されど10年とよく言うけど、流石に、予想外すぎた。


私と僕が作った、カルロス。

そこに、返り咲く。




────


「もうすぐ、カルロスに着く」

始まりを告げたのはディアラだった。

いまだ、名前しか思い出せないウィル。

2人の旅はもう直ぐ終わる。


山超えて、砂漠を越え、樹海を超えた。

道路を走って、カルロスがうっすらと見えてきた。

「!」

コートを纏い、フードを被った男がバイクの前に立ちはだかる。

「な!」

右手には黒いハンドガン。

無言で、銃口を向ける。


ばん!と1発の弾丸が撃ち込まれた。

「飛べ!」

無意識でウィルが叫んだ。

言い切る前に2人はバイクから飛び降りた。

弾丸はバイクを貫き、そのまま爆発した。

男はゆっくりと、2人に近づく。


男はフードをとり、その赤髪を晒す。

ディアラにはその顔が見覚えあった。

「ロディア!」

10年前、共にカルロスとして遊んだ友。

彼は無言で、トリガーを引いた。


人外じみた速度で弾丸を躱し、腰のホルスターからガバメントを取り出した。

同タイミングでトリガーをひく。


2つの銃弾が空中でぶつかり合う。

鈍い金属音が響いて、スライドが次弾を弾倉へ誘拐する。

「ロディア!なんで!」

疑問をロディアにぶつける。

「お前は、危険だ」

それを答えとして、再度トリガーを引いた。








「……ケリー・パターソン、か。

カルロスへ行くのだな」

ウェリーバルがケリーへと問う。

「ああ」

リシャーラは隣で彼の手伝いを行なっている。

ケリーはリシャーラをチラッと見て、答えた。

「それ、貸せ」

ウェリーバルは目線でケリーのハンドガンを指した。

意図を汲み取り、ケリーは彼にガバメントを渡した。

彼は細部まで銃を眺め、

「異様なまでに磨かれたフレームに、独特のアイアンサイト。見事だ。だが、

やつらは人ではない。

ニヤリと笑って、奥へと向かった。

滲み出る汗で、水溜りができていた。

リシャーラがタオルを持って近づいてきた。

「ほら、やるよ」

「ありがとう」

純粋な善意を受け取り、タオルで汗を拭き取った。

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ケリーウィル 讃岐うどん @avocado77

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