想像超人 イマジネーター

第８話 合

　『（こいつがキング・・・！）』

「さてナイト、いやイマジンナイトよ。まずは貴様からだ」

キングはゆっくりとナイトの方へ歩みよる。

『させるか！”メロディランチャー”！』

　イマジネーターがランチャーを構えキングに向かって乱射する、しかし直撃しているにも関わらず、キングは意に介さない様子で粛々と歩く。

『（ぜんぜん効いてない！？）』

『そんなはずがない！イマジネート・・・』

「小賢しいぞ」

　キングは持っていた錫杖（しゃくじょう）をイマジネーターの拳に触れさせる、たったそれだけだがイマジネーターは拳を動かせなかった。それどころか逆に力を奪われているような気さえしていた。

「あっちで指をくわえて見ているがよい」

　そのまま杖を軽く振ると、イマジネーターの身体は宙に浮き飛ばされていった。

「邪魔者はいなくなったな、さて」

「くっ・・・！」

　ナイトはキングに向かって構えをとる。

「奴に仲間がいたとは驚きだが、肝心の奴自身は他愛もなかったな。前にやりあったときはもう少し強かった気がするがな」

「お前（キング）なんかに本気を出す必要はないってことさ、僕もただの前座さ」

「ほざけ」

　キングは杖を逆手に持ち、短剣のようにして振りかざす。ナイトは自慢の俊敏さで攻撃をかわしていくが、キングも巨体の割には軽やかな動きでナイトに追いついていく、次第に両者の距離は縮まっていき、振り下ろされた杖をナイトが間一髪でかわす。

「いい動きだね、だけどっ！」

　ナイトは距離を取り、遠距離から光弾を発射する。しかし直撃した弾は煙を上げるだけでダメージを与えられている気配がない。

「フフフ・・・効かぬよ、効かぬ」

『それはどうかな！』

　キングの背後にはバトルキャリアーに乗ったイマジネーターの姿があった。キャリアーにメロディランチャーを装着して、再びキングに射撃を浴びせる。またもや射撃に効果はみられないが、キングの視界が煙で狭められた隙にイレイザーガントレットをつけたイマジネーターがキングに飛び掛かる。意表を突いた攻撃は見事成功し、キングは杖を取りこぼしてしまった。そしてイマジネーターは杖を砕く。

『（やったぁ！）』

『これでお前は為すすべなしだな！』

「・・・・・・・・クックックッ」

「アーーハッハッハッ！！！！！！」

『何がおかしい！』

　杖を失ったキングの身体は次第に巨大化していく、その異変に気付いたナイトがイマジネーターに警告する。

「危ない！離れろォ！！！」

　途端に地面が揺れだす。

『何だっ！？』

「フフフ・・・我、いや俺の杖は俺自身の有り余るパワーを抑えるための制御装置でもあるのさ、そしてお前らは愚かにもそれを・・・破壊した、粉々にな」

　巨大化は止まらず、とうとうイマジネーターたちの２倍ほどの大きさにまでなった。人型のフォルムは四足歩行の獣に変わっており、怪人というより”怪獣”という名前がふさわしかった。

「改めて名乗ろう、俺こそが”一天のキング”！！この世界ごと貴様らを破壊してやろう！！！」

　イマジネーターとナイトが見上げるキングの姿は、先程とは打って変わって巨大だった。

「グオオオオオオオ！！！！！！」

　怪獣となったキングが咆哮する。空気がビリビリと震え、その振動はイマジネーターと融合しているシュンにまで届いていた。シュンはまるで全身が震えるような感覚を覚え、イマジネーターにもその恐怖は伝わっていた。

　突如キングが２人に向かって突進する、想像世界のビル群をなぎ倒しながら進む姿は雪崩のようだった。

『避けるぞ！』「うん！」

　２人はありったけの力を足に込めて跳躍する。しかしそれと同時にキングは反転し背を向ける。

『！？ぐあっ！！』「うぐっ！！」

　空中にいて身動きが思うように取れない２人の身体をキングの尻尾が横に薙（な）いだ。とっさに防御したものの大きく吹き飛ばされてしまった。

「フンッ」

　キングが軽く鼻を鳴らす。

ブロロロロロロ・・・・・

　遠くからバイクのようなエンジン音が聞こえてくる、ナイトを背に乗せてイマジネーターがバトルキャリアーに乗ってキングに向かってきていた。先程の突進で倒壊したビルをジャンプ台にしてキャリアーごと空中からキングに飛び掛かる。

『イマジネート・・・スマッシャーー！！！！！』

「イマジナイト・・・クラーーーッシュ！！！！」

　イマジネーターは手に、イマジンナイトは脚にエネルギーを込めて必殺技を放つ。キングに命中し一旦は押し込むが、次第に押し返されていく。

「フハハハハ！！俺の力の前にひれ伏せ！！！！」

『舐めるな、ツインスマッシャーーー！！！』

　イマジネーターはさらにもう片方の手にも力を込め、両手で殴りつける。

「『うおおおおおおおおお！！！！！！！！！』」

『ハァ・・・ハァ・・・』

「ッハァ・・・」

　死力を尽くした２人は地面に膝をつき、肩で息をする。目の前には横たわるキングがいる、ピクリとも動かないその巨体だったが、突如轟音と共に立ち上がる。

「フハハハ！！貴様らのような奴の攻撃など俺には効かぬわ！！！！」

　２人の攻撃を受け焼けた皮膚も、キングが起き上がる頃には既に治っている。さらに全身から水晶のような部位が発達し、禍々しい印象を与えている。

「まぁ、いいウォーミングアップになったぞ」

　そう言って足元に転がっていたバトルキャリアーを踏み抜く、たったそれだけでキャリアーは武器もろともバラバラになってしまった。

『・・・・・・』「・・・・・・・」

　とうとう２人は言葉すら発さなくなってしまった、これまで数々の戦いを繰り広げてきたイマジネーターの脳裏にさえ”敗北”の２文字が色濃く浮かび上がってきた。

『もう、ここまでだろうな・・・』「悔しいが・・・」

≪あきらめるな！！！！！≫

　突如としてイマジネーターの頭にシュンの声が響く、本来聞こえないはずのナイトにもシュンの激励は聞こえていた。

≪あきらめちゃだめだ！！２人には僕がいる、タツミがいる、ユアがいる！！！一人一人は決して強くないけれど、２人には僕たちがついてる！！きっと勝てるさ！≫

　何の根拠もない励まし、しかしそこに込められた純粋な思いを２人は感じ取っていた。

『そうだ、こんなところで立ち止まってはいられない！』

『私たちの世界を守るために！！』

　すると粉々になったバトルキャリアーと武器たちが光をまとって浮かび上がる。

『ナイト！私を肩車しろ！！』

「はぁ？この非常時になにふざけてるんだい？」

『いいからやってみろ！』

　渋々イマジネーターを肩車すると、浮かび上がった武装が２人の周りをグルグルと回りだす。

『よし行くぞ、合体だ！！！！』

「させるかぁ！！！」

　キングがイマジネーターたちにビームを放つが、今までが生み出してきた武器とバトルキャリアーが２人の身体を包み込んで鎧となる。大きく爆炎が上がり、その中から出てきたのはキングと同じくらいの大きさの巨人が現れた。身体はマッシブになり、全身に様々な武装が装備されている。

『「グレートイマジネーター、見参！！！」』

　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

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説明しよう！のコーナー

・一天のキング

　チェーサーズを取りまとめるリーダー格、他の幹部同様エネルギー弾を用いて戦う。本来は四つ足の獣であり、錫杖は力を抑えるための制御装置の役目を果たしている。

・グレートイマジネーター

　イマジネーター、イマジンナイト、そしてバトルキャリアーが合体した最強のイマジネーター。全ての武器を無制限に使うことができ、怪獣と化したキングにも引けを取らないパワーを持つ。