病院へ行くまでの勇気

幸せ色に♪ 🌈

病院へ行くまでの勇気

あれ、彼女から電話だ。

当直の日の夜中に電話がかかってくるなんて、こんなの初めて。


どうしたんだ。何があったんだろう。

考えているうちに、電話きれちゃった。

すぐに、かけ直さないと。


なんで、電話にでないんだ。

すぐに折り返しかけたんだけどなぁ。

何かの間違いだったのかな。


こんな時間に起きていて、携帯をいじっていることさえ、心配になっちゃう。

心がざわついちゃってるのかな。


昨夜はちょっと追い詰めすぎちゃったかなぁ。

だって、君は自分のこととなると、いつも後回しで、無理ばかりしてさ。

はぁ、どうしたものか。


電話でてくれよ、まじで。

でてくれない。

俺、落ち着け。


もしかしたら、話をするのがきついのかも。

メッセージいれてみよう。


どうした?何かあった?と、まずは入力。

返事こないなぁ。

今、救急で患者さんは運び込まれてこなそうだから、

今のうちに一度、家に帰らせてもらうように、医局長にお願いすることにしよう。

 


ただいまー

ちゃんとお布団にいられて、えらいね。

少し前に、電話くれた?よね。

何かあった?


どうして帰ってきたのかって。

君のことが心配だったから。

あとは、兎にも角にも君の顔がみたかった。

顔がみれて一安心だよ。


ねー、大丈夫? 大丈夫なの?

本当に?

1人で抱え込まないでね。

今、何が一番苦しい?

黙っちゃうの?

俺にお話できないかな。

ちょっと頑張ろう。

もう一度聞くね。

今、何が一番苦しい?


病気になってしまったことが、今一番苦しいんだ。

うん。でもね、原因不明なの。君の病気は。

だから、自分をそんなに責めないで。


あとは? 心配なことある?

俺と約束しちゃったけど、明日の病院に行きたくない… なるほど。

心療内科に一度相談にいってみようって言ってたあれか。

うーん、様々な身体症状に加えて精神的苦痛・・・

君の病気は、20~40%がうつ病を合併することや、

うつ病の発生率は一般と比較すると

2倍以上になることが報告されているの。

だからさ、そんなに深く考えずに、ちょっと相談くらいの

イメージでいてくれたら大丈夫。


病気が発覚してからの君は、ずっと苦しそう。

いつ、どうやって、声をかけようか迷うほどだった。

何かあったんだろうなと思い始めてから、だいぶ時間が経っちゃった。

1人で頑張らせてごめんね。



涙がでてきちゃったね。

そうだよね、つらいよね。しんどいよね。

でもね、心療内科への相談に頑張っていけると、だいぶ違ってくると思うの。

君にとって、それがベストかなって感じてる。

一歩踏み出すのに、かなりの勇気がいると思うんだけど、

そこさえ乗り越えられたら。だいぶ楽になるはず。

君の今現在の抱えている悩みや不安を全部解決することは難しい。

1つでも解決できたらいいなという心持ちで、明日を迎えられたら最高かな。

あとは、一人で抱え込んでいたものを他人に話すという行為をすると、

何だかほっとして、前向きな気持ちに軌道修正できる場合もある。


君は、昨夜俺に話してくれて、やっと打ち明けられてすっきりしたって言ってくれたでしょ。それと同じ感じ。

でも、明日は知識がない俺とは違って、専門分野で長けている人とお話ができるわけだから、解決とまでいかなくても、いいアドバイスがもらえるはず。


ね、お願い。

頑張ってくれない?


明日頑張った後には、少しでも晴れやかな気持ちになれてるといいな。

きっと、大丈夫。

お外に出たら、きらきら眩しいくらいかもしれないね。

世の中まで、明るく見えていたらいいな。


その明るい世界で、

2人穏やかに、楽しみをみつけて過ごしていこう。


そして、君に笑顔が戻るまで、俺は支え続ける。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

病院へ行くまでの勇気 幸せ色に♪ 🌈 @shiawaseiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ