vol.4 やっとハッピー

さて、『トルコブルー』記念句会記についてはすべて書き終えたが、最後になんでもないことを書いてこれを完結させる。


私は紅里に優しいと自覚しているし、周りからもよく言われる。優しくしているのは双子の姉・みさきに対してもそうだが、既婚者であるので多分自然とこちらが遠慮している。大切な同期であり、私を秋草に誘ってくれた恩人であるのはもちろんだが、つい人より優しくしてしまうのは、彼女たちが元気だからに他ならない。


こう思う背景に紅里、そしてみさきに何があったかまではここでは書く必要はない。とにかく彼女たちの元気な姿を見れるだけで私はすごく嬉しいし、少しでも力になりたい気持ちが湧いてくる。そして彼女たちが私を頼ってくれて、秋草がない山口県から多くの句会に参加してくれている事実もとても嬉しいし、その中で交友関係を広げている姿を見ると、それだけでも私が秋草に入った意味があると感じている。今はもう少し若い頃にやりたかったことを、ギリギリ許される年齢で急いで消化している感覚だ。


『トルコブルー』記念句会から2週間後、私は再び山口に行った。そして双子と会い、5時間飲んだあとのカラオケで歌った曲は、Theピーズの「やっとハッピー」。まさにタイトルそのものの気分であった。

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野名紅里『トルコブルー』記念句会記 上川拓真 @bakamikawa

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