11. 初めての放課後
十分休んだ後、奏さんと一緒に帰ることになった。なんでも、帰る方向が同じらしい。奏さんみたいな美少女と一緒に帰れるなんて、本当にこの島にやってきてよかったと心から感じる。
「まさか紡くんのお家が、私のお家の近くだなんてびっくりだよ~」
「俺もだよ。でもお子様ランチのおいてる定食屋なんて、他にないだろうからなあ」
そう。お子様ランチのおいてる定食屋のことを奏さんに話したら、なんと奏さんもその定食屋の近くに住んでいるとのことだった。ありがとう、お子様ランチの少女よ。君は俺の恋のキューピットだ。
「うん。私もあそこくらいしか知らないよ。小さい頃はいつも食べていて違和感なかったけれど、大きくなってから考えるとすごく珍しいよね」
そう言って、奏さんはくすくすと小動物のように笑う。
うん。とても可愛い。
「ちなみにそのお家って、今朝話していたおじいさんのお家?」
「ああ、そうそう。昔おじいちゃんが住んでいた家をそのまま借りているんだ。家賃もかからないから助かるよ」
「でも、高校生で一人暮らしって大変じゃない?自炊とか洗濯とか、いろいろやらないといけないし」
「うん、まあ初めてだからなかなか慣れないかもね。でも、ご飯は週に何回かハッピー食堂(勝手に命名)に行く予定だし、洗濯も一人分なら何とかなるかなって思ってるよ」
「へえ・・・でもすごいよ。私じゃ絶対無理だもん」
そう言って控えめに笑う奏さん。
ふむ。奏さんはどこか家庭的な感じがするので、家事が得意ではないというのは意外だった。謙遜しているだけかもしれないが。
そんな話をしているうちに、俺の家の前に着いた。
「今日はほんとありがとう。結構緊張してたんだけど、おかげで楽しく過ごせたよ」
「ううん、お役に立てて何よりだよ。あっ、私の家ほんと近くだから、今度晩御飯とかお裾分けに来るね」
「え、いいの?正直すごく助かるよ」
「うんうん。私が作ったのじゃないけどね。それじゃあまた明日!」
まじか・・・非常にありがたい。家事の手間が省けることもそうだが、何より奏さんの家で作られたものが食べられるということが何よりの幸福だ。
そう感謝しながら、彼女の背中を見送った。
そしてその後、初登校の疲労からか、夕食を食べた後はすぐに眠ってしまった。
ときめき☆天文部 @hoshiyomi-if
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ときめき☆天文部の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます