ピーちゃん

あやなっちは、夏休みのある日、また、早朝の、まだ暗い時間に、松山城に行った。


1本の大きな木の横を通り抜けて、ちょっと違う世界に行ってみた。


「コケコッコー♪」

って、ニワトリ鳴いてる。


「うわっ!朝か...」

って思った、あやなっち。


ニワトリは、あやなっちのほうに走ってきた。

めっちゃ嬉しそうに!


あやなっちの足もとをぐるぐる回っている。


そして、あやなっちの足に飛びついてくる。


「うわっ!なんだなんだ?」

って思ってたら、そのニワトリは、また


「コケコッコ~」

って鳴いて、そのあと

「ピー」

って鳴いた。


「あれ?その声...」

あやなっちは、ニワトリを見つめたら、そのニワトリも、あやなっちのことを嬉しそうに見つめている。

羽をパタパタさせて、あやなっちのまわりを飛び回っている。


ニワトリといっしょに、松山城の大きな広場に行った。


あやなっちは、松山城で売ってる、ところてん大好き。


ところてんを買って、座って食べた。

すっぱくて美味しい。


ニワトリにもあげたら、喜んで食べてくれた。


広場をいっしょに走りまわった。


まわりの人たちも、あやなっちとニワトリを笑って見ている。


広場から、松山の街も見渡せる。


あやなっちは、ニワトリといっしょに、松山の街をしばらく、ながめていた。



「バイバイ~」

ってニワトリに言って、あやなっちは、また、1本の大きな木の横を通り抜けて、いつもの松山の街に帰って行った。


ニワトリも嬉しそうに

「ピー」

って鳴いて、走り去って行った。



家に帰って、妹に

「今、ピーちゃんに会ったよ」

って言った。


「え?ピーちゃんにー?」


「うんっ!相変わらず、足もとを飛びまわってたよー!」


「えーっ!いいなー」


松山に来る前は、福島県郡山市に住んでいた。

郡山の駅前で、ヒヨコを2羽、買った。

そのうちの1羽はニワトリにまで成長した。

ニワトリになったピーちゃんといっしょに遊んだ。


郡山から松山に引っ越す時に、郡山の友達に、ピーちゃんをあげた。

ピーちゃんは、いっしょに松山には来れなかったから。


「また、松山城の大きな木のところに行ってみよう!その木の横を通ったら、ピーちゃんに会えるかも」


「えーっ!ほんとー?でも、なんで松山にいるの?」


「さあ、わかんないけど、きっと、会いたかったのかな~?」

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あやなっち、小4で愛媛県松山市の小学校に転校になる~夏休み、松山城のふもとの1本のある大きな木の横を通り抜けると、いつもと違う世界に行けた ヤッキムン @yakkimn

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