11話 よちよち

 今日は憐が表に出てた。

 退院してからは憐が表に出る頻度はめっきり減ったけど、俺が参ってる時は出てくれる、いいやつだ。


 憐が振り返って俺たちの名前を挙げていくんだけど「あのー」とか言い出した。

 俺も友人も、すぐにまた新人かってなるくらいには慣れたもんだ。

 今度はどんなやつだって思って固まった。


「赤ちゃんがよちよち歩いてるんですけど……」


 うん、赤ちゃんだな。

 友人も「ついに赤ちゃんまで出て来たか……」とか疲れた感じで言ってる。

 わかる、その気持ちわかるぞ。


 見た感じ三歳くらいだな。

 すっげぇたどたどしいけど歩けてはいる。

 なのはも人形遊びやめて赤ちゃんに釘付け。興味津々。どっかで見た光景だな、これ。


 見られてたからなのか、赤ちゃんがなのはの方に歩いて行った。

 そしたら、こともあろうに、なのはの持っていたクマのぬいぐるみを口の中へ入れたんだ。


 あ――って思った時には、もう遅いよな。

 なのはギャン泣き。


 あーあ、なーんて思う暇もなく、怒ったなのはがビンタ。

 今度は赤ちゃんがギャン泣き。


 二人揃って泣くもんだから、友人がなのはを表に出してって言ってくれた。助かる。


 その時リビングにいた俺たちで赤ちゃんをあやし、なのはを友人が慰める連携プレー。

 やっぱ俺に子供の面倒は無理だ。

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