7話 面白い組み合わせ

 入院中、孤槍はほとんど表に出てこなかった。

 俺たちも当然、寂しさはあったが友人――彼氏も寂しがっていた。


 友人はいつもリビングに誰がいるのか確認してくるんだけど、この日も孤槍は自分の部屋に籠って全然出てこねぇの。

 とは言え、強引だが俺なら部屋から引っ張り出してくることは出来る。今後の関係性のため、なるべくしたくはない方法だがな。

 そこで俺は提案してみたんだ。どうするってさ。


 まあ、彼氏だし久しぶりに彼女と話できるってもんだから「じゃあ、お願いする」ってなったんだ。

 そしたらさ、丁度いいタイミングで部屋から出て来たんだよ。

 しかも表に出たいって言うし、色々手間省けて助かったね。

 あとは、俺もソファでくつろげるしな。

 やっぱ病院暮らしはダメだわ。やっぱリビングだよ。ここが一番楽でいい。

 まあ、隣に座ってる憐がなんか言いたそうだけど、知らねぇ。


 人格が交代した直後は寝起きみたいなもんで、ちょっと声が漏れるんだ。

 すると、それに反応した友人が孤槍に声をかけるわけだ。そこで元気よく返事をしたのが――


「なのはとお話したいってー?」


 表に出たなのはだった。

 なのはにとって友人は表で唯一遊んでくれる友達だ。

 そらまあ、嬉しそうに目を輝かせるよな。


「おい、なのはじゃねぇか、どうなってんだヴィヴィ」


 さすが関西人。いいツッコミだ。

 いやー、丁度よく、なのはが出て来たんだもんよ。そりゃ交代するだろ。この二人の組み合わせ面白いし。


「ヴィヴィさんが『T君がなのはとお話したがってるから代わって』って言ってたよ」

「確信犯じゃねぇか」


 友人の反応に俺は超大満足。

 面白すぎて笑いながら手まで叩いたわ。してやったり。


 つーわけで、なのはの子守りは任せた。

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