6話 変人

 俺の友人は、孤槍の彼氏でもある。ちょっと変わった人間だ。


 最初友人には俺が多重人格であることを伏せていたんだが、闘病垢で投稿するところを、なのはが間違えて孤槍の垢でポストしたことでバレた。

 アカウントを間違えたという内容だったのだが、友人がLINEで反応してきたことで、なのはが返したんだよ。

 普通なら、七歳の人格とのやり取りだし、ふざけてんのかって怒られても仕方がないんだが、友人は普通に会話してくんの。


 七歳児が書いた稚拙なLINEがいきなり送られてくるんだぞ?

 意味不明すぎるだろ。よくそれで怒ったりしないよな。


 その出来事を次の日にLINEを見返して知った俺は過去一焦った。

 なのはのやつ何してくれてんだってさ。

 ここまで来たら、もう正直に話すしかないって思って打ち明けたんだ。そしたらなんて言ったと思う?


「え、薄々わかってたけど。むしろあれで隠してたの?」


 なーんて言ってきやがった。まじかこいつ、って感じ。

 普通はさ、自分の彼女が多重人格って知ったら面倒臭いとか思うだろう。

 それが原因で精神病院に入院したわけだし。なんなら入院が原因で予定してたデートに行けなくなってるし。

 その時のデートは色んな人に都合つけて大勢でやる予定だったんだけど、それ全部キャンセル不可だったらしく孤槍抜きでやったからな。

 しかも、デートが中止になったのに、友人はわざわざ大阪から東京に出てきてたし。


 そんな俺たちとよく一緒にいられるなって話なんだが、ある時、雪音が訊いたんだ。


「面倒臭くないの?」ってさ。


 そしたら、友人は何て言ったと思う?


「多重人格面倒くせぇって人と、彼女出来たら、もれなく友達いっぱいついて来たぜって人、どっちが良い?」


 な、変わってるだろう?

 基本人格の孤槍がエッセイ書くんじゃなくて、俺が書いた方が面白いって言って勧めてきたのもこの友人だし、ほんと変わってるよな。

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